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『妃教育から逃げたい私』福山潤が演じるキャラとOP曲の魅力を語る/インタビュー

『妃教育から逃げたい私』クラーク役&OP主題歌担当・福山潤さんインタビュー|「君としか恋しない」は、この作品と出会わなければ一生歌わなかったかもしれない“どストレート”なラブソング

序盤のクラークはレティシアの視界にまったく入っていない!?

――ヒロインのレティシアの印象と、白石晴香さんのお芝居を聞いての感想をお聞かせください。

福山:レティシアはオノマトペ(行動を擬音で表すこと。寝ている時の「スヤスヤ」など)を口に出すことが多かったり、まくし立ててしゃべることも多く、第四の壁(フィクションと現実を隔てる壁。演劇では舞台と客席、アニメでは作品から視聴者へ呼びかけること)を超えたりなどの行動をふんだんにする、おもしろいキャラです。

 

 
上品でありながら無邪気で、けれど粗雑にならないように、というところを白石さんが上手に演じられていますが、時々、こちらが予想もしないようなテンションになるところもかなりおもしろいので、こちらは真っすぐに気持ちをぶつけて跳ねのけられたり、無視されるだけです(笑)。

――収録は皆さんで一緒にやられているんですか?

福山:100%全員というわけにはいきませんが、ほとんど一緒に収録できました。現場の男女比は女性のほうが多く、それぞれの世代の人がいると、受け取り方が世代ごとに違うのがおもしろいですね。

その他のキャラを担当しているアンサンブルの人たちは更に若いので、昔僕らが慣れ親しんだ西洋時代劇としての佇まいなどを指導されているところを見ていて、不思議な感覚になりました。

――「自分はもうベテランになったんだな」と?

福山:確かにベテランにはなりましたが、やっていることは新人みたいなものなので(笑)。遊べるところがふんだんにあり、現実と違う妄想シーンを演じることも結構あって。思い切りやらせてもらえるシーンが序盤からたくさんあったので、「コメディ回になったらかなりやってもいいんだろうな」という懐の深さを感じさせてもらいました。最初の頃はふざけたくてしょうがなかったけど、ずっと我慢していました(笑)。

――お気に入りキャラやアニメの見どころのご紹介をお願いします。

福山:アニメではクラークとレティシアがメインで描かれていますが、ブリアナとナディルの二人もかなり重要なキャラだと感じています。

 

 
原作ファンの方がわかるような、この先に待ち受けているエピソードを匂わせるフックがあるんですが、原作とは違う構成になっていて。お話自体は変えていないけれど、「アニメとして動かすならこうしたほうがいいだろう」と、シナリオやコンテにかなり試行錯誤された形跡が感じられました。

ドタバタラブコメとして、とてもおもしろいテンポになっているので、現場でもみんなで楽しみながら演じていました。

――電子コミックのコメント欄を見たところ、クラークの健気さに同情する声が多かった印象です。また、「レティシアはどうしてここまで拒絶するのかわからない」という声もありました。

福山:序盤はそう感じるかもしれませんが、見続けていくと、クラークはレティシアの視界にまったく入っていなかったんだなとわかると思います。そうなると問題があるのはクラークではなく、レティシアのほうだということがわかると思うので、楽しみにしてほしいです。

――逆にクラークの一途さや、レティシアがいるところにどこにでも現れることが、ウザいと思われるかもしれません(笑)。

福山:その心配はまったくしていません。レティシアがいい感じにポンコツなので(笑)。彼女が失敗したら、救いに行くのもだいたいクラークですから。最近、見かけることが少なくなった「おかしな二人」の珍恋愛を楽しんでほしいですね。

 

OP曲「君としか恋しない」は“どストレート”なラブソング。この作品と出会わなければ一生歌わなかったかもしれないジャンル

――クラーク役だけでなく、OP主題歌「君としか恋しない」も担当されていますが、この曲のコンセプトやどのように作られたのか教えてください。

福山:曲の制作に入る前に、まず歌詞をどうしようかという打ち合わせをさせていただきました。曲のほうはさわやかな感じでいくことになっていましたが、上がってきた曲を聴いたら想像以上にさわやかで。今まで歌ってきた曲はダークな感じだったり、ちょっと皮肉を効かせてみたり、ただただおもしろい、ドタバタな要素を入れてみたりしていましたが、今回はまったくひねらずに、とにかく「君としか恋をしないんだよ」と繰り返すような方向の曲になりました。

――本当にシンプルでどストレートなラブソングだったので、自分が昔見た少女マンガ原作のアニメのような懐かしさがありました。

福山:確かに昔はこういう曲がたくさんありましたよね。この作品の中心にいるのはレティシアで、彼女目線で描かれているアニメのOP曲を歌うのが僕ということでクラーク目線になるので、キャラクターソングではないけれど、そう思われるくらいでもいいのかなと。キャラクターを演じる声優がOP曲を歌うことで、本編へと地続きにできるのであれば、クラークの歌にしてもいいんじゃないかという僕の中の想いも結構大きかったです。

歌詞の方向性が決まったら作詞の松井(洋平)さんがどう料理してくれるのかを待つだけでした。実際に歌詞を見たら、打ち合わせのときに上がった言葉も入っていて、レコーディングも楽しくさせていただきました。

――「たった一つの誓いを 左手の薬指に飾り付けたいと ずっと願ってたよ」など、愛の告白というより、もはやプロポーズしていますね。

福山:していますね。恋のドキドキをどうこうではなく、想いをただダイレクトに伝えていて。それもまたいいのかなと。

――この曲のように追いかけられたい女子には刺さりまくりかもしれません。

福山:僕のイメージでは、男性からのラブソングといえば、「黙って俺についてこい」みたいな感じで、女性目線だと「純白なドレスであなたの元へ」みたいな感じがありました。でも今の若い人たちは男女関係なく、恋愛結婚や温かい家庭に憧れる人は憧れると思うので、「素敵だと憧れる純白の夢は ヒロインの胸の中だけじゃなくて 振り向かせるためいつだって 高鳴る鼓動になるんだって」などを入れてもいいのかなと。このフレーズは、雑談の中での「男性でも結婚願望が強かったり、セレモニーはしっかりやりたい人もいる、と言っちゃってもいいじゃないですか」という意見が反映されています。そういったところは、作品の要素と離れた部分を松井さんがうまく融合して歌詞に落とし込んでくださいました。

 

 

――自分が福山さんと世代が近いから懐かしさを覚えたり、共感してしまうのかも。

福山:僕と松井さんも同じ世代なので、僕が言ったことをだいたい松井さんが翻訳してくれるんです(笑)。なので若い方だけでなく、お父さんやお母さん世代にも刺さってくれたら嬉しいです。

――むしろ今のラブソングは歌詞の中で匂わせる曲が多いのでここまでストレートな曲は新鮮に感じるのでは?

福山:そうだといいですね。こういうラブソングの世界観は、少女マンガに限らず、普遍的なもので、脈々と続いていると思うんです。なので今までなら女性目線で歌うことが多い内容でも、男性目線で歌ってみたらどうなるのかな、というのがこの曲の始まりです。

――サウンドも今の打ち込みなど派手なアニソンではなく、昔のアニメブームの頃の主題歌のような、小気味いいリズムのアップテンポでさわやかな曲調です。

福山:僕もそういう方向がいいなと思っていましたが、極力、サウンドに希望を出したり、関わるようにはしなかったです。でも最初の打ち合わせで、「なるべく複雑なメロディではなく、同じメロディが多用されているほうがいいですよね」という話はさせていただきました。

――確かにAメロ、Bメロ、サビの構成なのに、モチーフメロディの繰り返しのようなループ感がありますね。アーティスト名義の楽曲でこんなに甘々な曲をこれまで聴いたことがないような。

福山:それを前向きにやろうと言ったのも初めてです(笑)。このアニメのOP曲じゃなければ、たぶん一生歌うことがなかったと思います。プロポーズみたいな曲ですけど、僕はまだ独身なのに、どの口で歌っているんだと言われそうだし、どちらかといえば愛がすべてだと思っているタイプではないので。でもその側面はウソではないと思うし、僕の中でもこういう要素がゼロというワケでもなくて。ただ、新曲がタイアップではなかったり、自由に選べるのであれば、もしかしたら選んでいなかったかなと思うジャンルの曲ですね。

今回、ストレートでシンプルにいきましょうと言ったのは、これまでのOP曲でダブルミーニングにしたり、ひたすら仕掛けやおもしろいことをしてきたので、「またそういう方向で来るだろう」というファンの予想を逆手に取った部分もありました。作品自体も、クラークがレティシア一筋だとわかった時点で、あとは二人がどう結びついていくのかというだけなので、ストレートでわかりやすいこの曲は作品の後押しになるんじゃないかなと。

――物語が進んでいく中で、OP曲を聴くたびにクラークの想いへの理解が深まったり、どんどん応援したくなると思います。

福山:そうだといいですね。また、クラーク目線で歌っていますが、相手を表す「君」は女性だけでなく、男性として考えても成立するので、男女関係なく好きな人を想って聴いてもらえたらと思います。

 

“絶対自分だけでは出てこないであろう”2Aのフレーズがお気に入り

――レコーディングでは、ここまでストレートな歌詞を歌うのは少し恥ずかしかったのでは?

福山:楽しかったですよ。もうそんなことを言うような年齢でもないし(笑)。むしろ大手を振って真正面から歌ったほうが楽しめるし、今までは悲しみや絶望などを歌っていた自分がこの曲を歌うことがおもしろいと思いました。

あとはオンエアで流れたとき「どんな映像になるのかな?」と想像するのも楽しくて。作品の設定のほうに親和性を持たせた映像になるのか、それともメロディや歌詞に合わせてくれるのか。歌っている時点ではわからないけど、どちらにしても成立するように作っていきたいな、というのはタイアップではいつも考えています。

今回、作曲・編曲の神田(ジョン)さんもイントロを短めにして、すぐタイトルが出てきて動かせるように相当意識されたんじゃないかなと思います。(取材時点では)まだOP映像は見ていませんが、アニメのスタッフの皆さんがいい感じで料理してくれるんじゃないかなと期待しています。

――お気に入りのフレーズを挙げるとすれば?

福山:これは松井さんのセンスだと思うんですけど、2Aの「目を輝かせる時を 見逃したくはないんだ」からの4行は絶対自分だけでは出てこないであろうフレーズですね。その後の「たった一つの誓いを 左手の薬指に 飾り付けたいと ずっと願ってたよ」なんて、「よく出てきたな、松井さん」と感心するばかりで。「どストレートに行こう」と言ったら、本当にどストレートのど真ん中に行くのが、松井さんのすごいところです。

あとサビの「自由な君が好きなんだけど 自由な君を掴まえたいなんて」もおそらく作品の中でクラークが思っていることなんですよね。ここも好きです。

 

 

――間奏明けのDメロでは、クラップのような小気味いいクリックが鳴る中で歌い始めて、「Shall We Dance?」の後の「その手を取って歩き出せば」からスローになって、「結婚行進曲」のようなイメージを連想させるところもいいですね。

福山:神田さんが感じたまま、そういう素敵な構成にしてくれました。

――MVの撮影はもうされたのでしょうか?

福山:先日ジャケットの撮影をして、MVはこれから撮影します。たぶんこの曲じゃなかったらこんなビジュアルにならなかっただろうなと思うくらい、たくさん花を使いました(笑)。

僕が今、超ロン毛なので、イメージにそぐわないんじゃないかなとちょっと心配でしたが、お花をいっぱい使っているけど、ファンシーではなく、CDジャケットという画角で色や空間を切り取ろうというコンセプトが全面に出ていたので、むしろ髪が長いほうが花たちの中で違和感がなくなるかもしれないとすら思わせる印象のビジュアルになると思います。

MVも今までとは違う切り口でおもしろい映像になると思いますので、公開を楽しみにしていてください。

――改めて、この曲の聴きどころのご紹介をお願いします。

福山:どストレートな歌詞なのでストレートに歌っていますが、やり過ぎるとバランスが悪くなってしまうので、意識しながら丁寧に歌っています。皆さんの心にも真っすぐに届けばいいなと。

また、先ほど挙げたお気に入りのフレーズは、レコーディングの後に聴いてみたら「おもしろいな」と客観的に楽しめたので、こういう世界観を楽しめる自分になれたんだなという新たな発見もありました。昔だったら「こんなの恥ずかしいですよ!」とか「どの口で愛を語ればいいんですか!」とか言っていたかもしれないけど、今になって「ちょっと大人になったのかな?」と。僕の大人になったところもちょっとでも感じていただけたらと思います(笑)。

――この曲が5~6月リリースだったら、結婚式に流すのにピッタリですね。

福山:新郎が歌えばいいんですよ。

――あとは好きな人にプロポーズ代わりに歌ってみたりとか。

福山:僕らの世代では、男性からラブソングを作って送ったり、歌われた女性は引いてしまうと言われていましたけど(笑)。

――でも今の若い女性は一周回って新鮮に感じるかもしれませんよ。

福山:どうなんでしょうか? 女性に聴いてもらってキュンとしてもらえるのも嬉しいですけど、僕の周りには結婚して家庭を持ちたいという願望を持つ男性が多いなという印象があるので、聴いたり、歌ったりして共感してもらえたり、告白への背中を押せたらいいですね。ただ、結果への責任は負えないので、成功した方のみ教えてください(笑)。

 

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