「闇の道」を進む水篠 旬とは――坂 泰斗さん×上田麗奈さんが語る冬アニメ『俺だけレベルアップな件 Season 2 -Arise from the Shadow-』の深層/インタビュー
TVアニメ『俺だけレベルアップな件 Season 2 -Arise from the Shadow-』の放送に先駆けて、全世界で上映された『俺だけレベルアップな件 -ReAwakening-』は、Season1の特別編集版とSeason2の13・14話を先行上映したものだった。戦いも水篠 旬の強さもスケールアップしていることが感じられる13・14話だったが、今回はSeason2について水篠 旬役の坂 泰斗さんと、向坂 雫役の上田麗奈さんに話を聞いた。
Season1を経ての『俺レベ』、そして旬と雫の魅力を語る
──Season1は作画も音楽も素晴らしく、凄まじいエネルギーを持った作品だったと感じています。
坂 泰斗さん(以下、坂):強さを表現するのに戦闘描写の説得力ってすごく大事だと思っているんですけど、その意味で、Season1の作画であったり音楽や演出は本当に素晴らしくて。水篠 旬が最弱から強くなっていくまでを、説得力のある演出で描いてくれていたなと思っています。
上田麗奈さん(以下、上田):画の説得力は圧倒的な魅力でしたよね。しかも回を重ねるごとにクオリティが上がっていく。制作陣の熱量とクオリティがレベルアップしていくのは、作品ともマッチしていると思いました。しかもどんどん画作りが繊細にもなっていくので情報量がすごかったです。
この作品の魅力はアクションシーンにあるよね、という統一された意識。ここが大事だとわかってやっている感じが、本当に頼もしいなと思いました。しかも音楽があることでアクションシーンが映えるんですよね。
あと、個人的には目力。旬くんは時折君主の目をするんですけど、ここにきっとなにか重要な意味があるんだろうなという描き方をしているから、考察が捗るんですよ。画の説得力と坂さんのお芝居が、作品の魅力を底上げしていると感じました。
──ここで改めて、それぞれが演じているキャラクターの魅力について教えてください。まず水篠 旬はE級ハンターでしたが、ダンジョンでの事件をきっかけに[システム]の力を手に入れ、本来不可能とされる「レベルアップ」が可能なハンターになりました。
坂:旬はSeason1終了時点で、スタート時より精神的にも肉体的にも変化をしてきたキャラクターです。彼はどんどんレベルアップしていくんですけど、進む道はどうしても明るくない。言ってしまえば影というか、闇の道を突き進んでいるんです。それはSeason1の終盤の描写でも感じるところなのかなと思います。
──転職クエストでは[ネクロマンサー]から、さらにその上級職である[影の君主]に二次転職していましたからね。
坂:その新たな力を得て、彼がSeason2でどうなっていくのか。それを見ていただきたいなと思っています。
──上田さん演じる向坂 雫はS級ハンターですが、Season1ではまだ謎の多いキャラクターでした。
上田:描かれ方として、旬くんはE級ハンターで泥臭いところから始まり、そこから強くなっていく。一方で雫は、第1話の時点で強い人だとよく分かる描かれ方をしていました。引ったくりからバッグを奪い返して女性に返すところも、神秘的で、息が上がる様子もない。強くて余裕があって、一目置かれる存在であることがそれだけでわかったので、そこは彼女の魅力のひとつなのかなと思っています。
Season2からはちょっとずつ彼女の内面が見えてくるので、人間らしい部分も垣間見えてくると思います。神秘的なだけではない、とっつきやすさみたいなところもあるので、そこは注目していただきたいです。旬くんと出会って、どのくらい心の機微が描かれるのかな?と思っています。
坂:旬と雫は、これまでは絶対に交わらない立場にありましたからね。旬が強くなっていったことで、Season2では雫と交差する瞬間もあるのかな?と思っています。
──Season1では旬が注目され始める描写もありましたので、上級ハンターとの絡みもSeason2のポイントなのでしょうか。
坂:今までは弱すぎて視界にも入らない存在だったし、彼自身、自分の力を隠していこうとしていたけど、強くなるにつれて、否が応でも、世間から注目されてしまう。そこでその力を利用する人もいるし、それに阿ろうとする人もいる……。ようやく世間が彼に注目をし始めて、さまざまなことが起こっていくんです。それぞれの思惑が動き始めて、それが複雑に絡んでいくのがSeason2になるのかなと思っています。
ただ旬は倒した他者を使役する力があるので、自分だけで完結しようとするんです。そのため旬自身が外部に働きかけることはない。だからこそ、彼に惹かれるのはわかるので、彼が誰とどう関わっていくのかは是非楽しみにしていただきたいです。
──[影の君主]の力について、どう思いましたか?
坂:結構この能力は作品の核心に触れていくものだと思っているんです。つまり死者を使役するという能力に深い理由が隠されていて、なぜ旬がその力を得るに至ったのかも、考察が捗るくらい意味があることなんです。自分が倒した者を自分の力にしていくということが、作品全体を通しての、暗い影の道を描いている……。だから、Season1で描いてきたものすべてが繋がっているんですよね。たまたまこの力が手に入ったわけではないというか。
上田:確かに、導かれるようにクエストが出てきて、どんどん人から離れさせられているような感じもありましたよね。この道のりが、人ならざる者への道のり、みたいな。私はこの能力を使っている旬くんを見ると、ちょっと悲しくなるんです。
坂:そうですよね。Season1のときもあったんですけど、殺意を向けられたときにシステムから「排除しろ」と命令される。強くなりたいという根本的な欲求と、第三者的なモノの意思があるというか。でも他者を殺めて自分の力にするというのは、やっぱりちょっと儚い道なのかなって思います。
──本当はこうなりたくなかった、という思いもあるのですかね?
上田:そこはどうなんだろう…。
坂:自ら進んで他者を殺めようとしているわけではないんだけど、強くなる過程で、誰かを倒すことにあまり抵抗がないんですよね。
上田:あと彼としてはどうしようもなかったというか。そうせざるを得ない状況でもありましたよね。E級から始まり、死にかけたところから能力に目覚め、強くなっても殺されそうになったりしていたので。旬くんはお母さんのためにも強くならなければいけなかったし、死ねないというのもあるから、そうはなりたくなかったと考える余裕すらなかったんじゃないかなぁって思いました。
坂:確かに、必死に生き残る選択をしていたらそうなってしまったというほうが、正しいかもしれないですね。