「闇の道」を進む水篠旬とは――坂泰斗さん×上田麗奈さんが語る冬アニメ『俺だけレベルアップな件 Season 2 -Arise from the Shadow-』の深層／インタビュー

スタッフともキャストがお互いを高め合う現場

──Season1は分散収録だったそうですが、Season2からはどのような形態だったのでしょうか？

坂：Season2からは、皆さんと一緒に録ることができました。キャラクターもすごく増えて、より皆さんと一緒に作る空気感というものが大事になってくるので、なるべくみんなで一緒に録れるような形にしていただけたのは嬉しかったです。

──やはり皆さんと掛け合える良さはありましたか？

坂：それは大きかったと思います。誰かと会話をするとき、横にいてくださるだけでニュアンスだったり熱量感は変わってくるので。緊張感のあるシーンでは実際に感情をぶつけ合ってくださったり、和気あいあいとしたシーンでは実際に楽しい雰囲気になったり…。人と一緒に録るからこそ出せるものはあったなと思います。特にSeason1は、ずっと一人で録ることが多かったので……。

──Season1の水篠旬は、だいたい一人で行動していましたし、セリフ量がものすごく多かったと思うんです。放送中はのめり込んで観ていたんですけど、冷静に考えるとすごい量だぞ、と驚きました（笑）。

坂：確かにすごい量でしたね（笑）。旬にスポットが当たっていたSeason1だったので、僕も観てくださる方が画面から離れないようにしたいなと思って、モノローグがひたすら続く中でも、表現として差を付けていかないとなと思っていました。

──上田さんは、アフレコはいかがでしたか？

上田：私も、皆さんとやることでニュアンスなどのプラスαはあったと思います。家でリハをやっているだけではこのニュアンスは出なかったな、ということばかりだったので、すごくありがたかったです。

特にSeason1に関しては、雫についてわからないことが多すぎた上に、他の人の声を聞けない状態でお芝居をすることになっていたので、ちょっとふわふわしていた印象があったんです。でもSeason2で皆さんと話していく過程で、私の中で、ようやく「雫ってこういう人なんだ」っていうことがわかってきたというか。やっぱり比較する対象がいることで、雫の強さとか若さが際立ってきて、このセリフはもうちょっとこのニュアンスかな？と図りながら言うことができました。

──Season1を観て、これだけ熱量のある映像になっているんだとわかったことも大きかったですか？

坂：それが、Season1の放送が始まったかどうかの段階で、Season2のアフレコをしていたような気がするんですよね……。ただ、アフレコの段階で制作スタッフの皆さんとコミュニケーションを取れる機会が多くて、この方たちと一緒に作品を作っているんだ、というのは感じることができていたし、熱量も感じていたんです。

それこそ、作画を担当されるA-1 Picturesのスタッフの方に挨拶をさせていただいたり、SE（サウンドエフェクト／効果音）を作っている方と直接挨拶をすることもできたので、こちらも気合いが入るんですよね。そこはお互い高め合いながら臨むことができていたと思います。

　
上田：私も同じで、制作に携わっているスタッフさんと話す機会があったんです。Season1の終わりくらいに「ボールド（セリフの尺の長さがわかる表示）はあまり気にしなくてもいいですよ」と言ってくださったことがあり、すごくアフレコがやりやすくなりました。

それに、語尾の感じを録音するときはこういう調整をしていますとか、音響周りのお話を聞けたことで、「じゃあ次は音響さんが録りやすいように、こういう風にチャレンジしてみようかな」と臨むことができました。皆さんが考えていることが聞けると、本当に相乗効果で、こちらもレベルアップできるんですよね。そういうことがこの作品には多かったと思います。

──これは主に坂さんへの質問になるのかもしれませんが、海外でのプロモーションの反響はいかがでしたか？

坂：本当にすごかったです。わかりやすいところだと、Xでの告知に海外の方からのコメントがすごく多いんですけど、僕自身海外のイベントに何度か参加させていただいて、登壇した時にその熱量を感じていました。普段僕はイベントでガチガチに緊張することはないタイプなんですけど、熱量がすごすぎて、ちょっと記憶が飛ぶくらいだったんです（笑）。皆さんが楽しみにしてくださっていたんだな、というのは感じていました。

──特にすごかったことというと？

坂：4,000人の前で生アフレコをしたんですけど、さすがに緊張しました。終わったあともスタンディングオベーションが起こったので、喜んでくれたんだなと思いました。そういう感情をダイレクトに感じられたことも良かったです。

上田：今、海外でのイベントも増えてきましたよね。キャストや監督が登壇することはよくあると思いますけど、アクションディレクターの菅野芳弘さんが登壇されていたりもして、すごく熱いな！と思いました。

坂：Season2はさらにスケールが大きくなりますし、全世界で絶対に楽しんでいただけると思いますので、まだ観たことがない方も楽しんでいただけたらなと思っています。

　
［文＆写真・塚越淳一］

作品概要

俺だけレベルアップな件 Season 2 -Arise from the Shadow-

あらすじ

世界各地に異次元と現世界を結ぶ通路“ゲート”が出現して十数年。
“ハンター”と呼ばれる超人的な力に覚醒した人間たちと、ゲート内のダンジョンに存在するモンスターとの戦いは絶え間なく続いている。

本来、ハンターの能力は覚醒時から成長せず、そのランクも変わることはない。

しかし、人類最弱兵器と呼ばれていた低ランクハンターの水篠旬は、
二重ダンジョンでのレイド中に自分だけが「レベルアップする」力を手に入れ、戦いの中で能力を高めていく。

転職クエストをクリアして、影の兵⼠を従わせることができる職業『影の君主』を手に入れた旬は、病気の母を治す可能性のある「命の神水」の素材を求めて新たな戦いに身を投じていくのだった。