
『魔女の旅々』第24巻発売記念! 白石定規先生&あずーる先生インタビュー|アニメイト限定セットのコラボイヤホンや、巨大なイレイナさんを名古屋に出現させたクラファンなど、大展開中の『魔女の旅々』を振り返る
GAノベルより刊行中のライトノベル『魔女の旅々』。その最新第24巻が、2025年3月15日(土)に発売となりました。全国アニメイト・アニメイト通販で発売中のアニメイト限定セットでは、「コラボイヤホン」、「アクリルカード3種セット」が有償特典として付属。
作品のコラボ仕様になっている「コラボイヤホン」には、システムボイスにイレイナ役・本渡楓さん撮り下ろしの電源オンやオフといった全12ワードが搭載されており、あずーる先生描き下ろしイラストを使用したオリジナルパッケージでお届けします!
アニメイトタイムズでは、そんな今作の刊行を記念して、著者の白石定規先生&イラスト担当のあずーる先生へのインタビューを実施。これまでの『魔女の旅々』の振り返りや、先述のアニメイト限定セットのお話、さらにはソレオスで実施したクラウドファンディングについて伺いました。
これまで一緒に作品を作りあげてきたお互いの印象や、作中で特に思い入れのあるエピソード・イラストについて語った場面は必読です!
『魔女の旅々』のこれまでを先生方と振り返る
――いよいよ第24巻が発売となりましたので、まずは現在の心境から伺えますか?
白石定規先生(以下、白石):読者のみなさんが長い間支えてくださったおかげで、作品の執筆が続けられているのだなと新刊が出るたびに痛感しています。毎回アイディアを出し切ったと思うものなのですが、しばらく経つとまたやりたいことが増えてくるんです。今も色々な楽しいものを出し切った気持ちがあるのですが、きっと3月を過ぎたらまた書きたいものが出てきて、第25巻以降も物語を続けられるのかなと。
あずーる先生(以下、あずーる):新刊が出ると既刊のイラストを見返すことが多いのですが、つい先日描いたと思っていたイラストが10巻以上も前のものだったりするので、本当にここまであっと言う間だったなという感覚があります。
――おふたりで作品を作り上げるようになってから10年近い時間が経過したかと思います。お互いの第一印象は覚えていますか?
白石:初めてイレイナさんのイラストを見たのは旅行先だったんです。編集さんからあずーる先生のイラストが送られてきて、「滅茶苦茶可愛い」「これは売れるだろう」と当時から感じたことを覚えています。
あずーる:本当にありがたい限りです。僕の方は物語自体がオムニバス形式の旅もので、地の文が敬語主体で進むのが独特で面白いと思いました。僕自身『魔女の旅々』が初めてライトノベルのイラストのお仕事をする機会だったので、読んでいてワクワクしたんです。キャラクターデザインから関わったのもこの作品が初めてでした。
――作品を立ち上げる際に打ち合わせなどはされましたか?
あずーる:最初は直接的な話し合いはしていなくて、ちゃんとお会いしたのは打ち上げか何かの時でしたね。
白石:それまでは、基本的に編集さんが間に入ってやり取りをしていました。
編集:おふたりとも『魔女の旅々』がデビュー作なのですが、当時はまだ学生だったんです。あずーる先生が卒業のために一時期忙しくなられ、少し中断した時期もありました。白石先生は既に就職が決まっており、かなり忙しかったので自分が間に入りました。刊行されたタイミングで会おうという話になり、3人でご飯を食べにいきました。
――それだけ長い間お付き合いがあって世代的にも近しいとなると、もう戦友みたいな関係性ですよね。
白石:新刊が出る度にイラストを描いていただくのですが、毎回こちらの想像以上のものを仕上げてくださるので、一緒にお仕事をしていていつも楽しいですし、本当にリスペクトしています。
あずーる:同じクリエイターとして感じているのは、よくネタが尽きないなというところです。僕はいつもカツカツの引き出しを漁って何とか捻り出しており、カバーイラストは毎回締め切りギリギリまで引っ張って迷惑をかけてしまうくらいで……。だから、色々なものをインプットして引き出しを増やしていきたいと常日頃から考えています。
編集:『魔女の旅々』のカバーイラストはかなり独特なんです。普通は先に編集が「今回はこういうシーンがあるので、こういうイラストが欲しいです」と依頼します。けれどこの作品はいつもフリーで、私のほうからも提案はしますが、いい意味で大体その通りにはなりません。だから、毎回カバーイラストはあずーる先生の引き出しに頼りっぱなしなところがあります。
――そんな中であのイラストが生まれているとは驚きです。毎回様々な物語が新刊が出るたびに見られますが、白石先生はネタのストックなどはされているのでしょうか?
白石:最近はあまり出来ていないのですが、色々な本を読んで勉強するのが習慣になっています。そういうところから、アイディアの元にならないかと思って色々調べるんです。現状、ネタのストックは次巻や次々巻までは大丈夫かなと。ただ、常に追い詰められてはいますね(笑)。それでも、締め切りは守らねばならないので頑張っています。
――長いこと『魔女の旅々』でお仕事をされてきた中で、特に気に入っていたり手応えを感じたりしたエピソードやイラストはありますか?
白石:最近だと、1巻まるまるホラーテイストでやらせてもらった第23巻が気に入っています。好き放題やらせてくれるのはここぐらいなので楽しかったですね。
元から『魔女の旅々』はホラーやシリアスな話がかなり多いのですが、入れすぎるとひとつひとつの巻のバランスが悪くなってしまう。だから、今までもネタとしては書けるけれど入れていないということがちょこちょこありました。
第23巻ではそんな要素を一気に昇華できたので、自分としても今まで積もったものを成仏させられた気がしています。
――あずーる先生はいかがでしょうか?
あずーる:第21巻特装版のカバーイラストは、描きたいものができた達成感がありました。ノスタルジックな雰囲気の青色が印象に残るイラストを描きたい、というインスピレーションをスタート地点として、そこに様々な色を置いていきつつ全体の印象を青に寄せていきました。それでも、雰囲気は暗くなりすぎないようなイメージで完成させられたと思います。
――では逆に、お互いのお仕事で印象に残ったものもお教えください。
白石:第21巻通常版のカバーイラストが気に入っています。砂漠に行くエピソードだったので、その土地を思わせる民族衣装を纏ったイレイナさんが描かれていました。普段とかなり印象が違って新鮮だったのと、単純にこういう衣装が僕の好みなので、フィギュア化しないかなと思いながら見ていました(笑)。
あずーる:僕は第4巻のアムネシア編です。第3巻までは短編だったのですが、このエピソードは長編で珍しかったんですよね。この頃、一度作品をクローズしようという話が上がっていたため、長編にチャレンジしてみた裏話があるんです。物語の展開だったり伏線回収だったり、ここで上手に今後の『魔女の旅々』を形作ることができたんじゃないかと思っています。
編集:おっしゃる通り、『魔女の旅々』は第3巻でシリーズを1回閉じようかという話が出ていました。ただ、ずっと第1巻から第3巻までが売れ続けていたので、短編から長編にシフトした第4巻を出したらそこで大きくヒットしたんです。