
冬アニメ『全修。』スタッフ連載インタビュー第十一回:脚本担当・うえのきみこさん|「コミュニケーションは苦手なのが普通で、みんな少しずつ距離を縮めて平気を培っていく」
ナツ子が何を全修するのか、見届けて
──コンテ制作が行き詰ってしまったナツ子。うえのさんも創作中に行き詰ってしまったことはありましたか? また、そんなときはどうやって解決してきましたか?
うえの:行き詰まったら、歩く。全然関係ない作品を見る。人に話を聞いてもらう。新幹線に乗る。それでもダメだったらいったん寝て、明日の自分に何とかしてもらいます。
──本作は「コミュニケーション」というのもひとつのテーマだと思います。うえのさんは、アニメ業界において「コミュニケーション」は大切だと感じていますか?
うえの:とても大切ですね。アニメ業界じゃなくても仕事をする上でとても重要なんじゃないでしょうか。でも「コミュニケーションが得意です。誰とでも仲良くなれます」なんていう人あまりいないですよね。そんな人、狂気ですから疑った方がいいですよ。コミュニケーションは苦手なのが普通で、みんな少しずつ距離を縮めて平気を培っていくんだと思うんです。人との関わりを諦めなければ何とかなりますから。
──ナツ子はアニメ『滅びゆく物語』に夢中になっていましたが、うえのさんが夢中になったアニメ・もしくはバイブルとなっているようなアニメ作品はありますか?
うえの:『映画ドラえもん「のび太の魔界大冒険」』とTVシリーズの世界名作劇場『赤毛のアン』は、時々、無性にみたくなって見返します。
──うえのさんがアニメ作品の脚本を担当するうえで大切だと思っていることを教えてください。
うえの:脚本は最初に読んでもらう人が最初の観客だと思っています。大切にしていることは作品によって違ってくるかもしれませんが、作品を作る上では、誰かの「楽しみ」になりますようにという気持ちを込めています。
──うえのさんが思うアニメ業界の面白さ、楽しさ、やりがいを感じる瞬間を教えてください。
うえの:業界の面白さ……は、まだよくわかりませんが、たくさんの人たちと、ひとつの作品を作り上げることはやりがいを感じます。いろんな人に出会えるのも楽しいですね。
──最終話を楽しみにしている方々に、見どころを含めたメッセージをお願いします。
うえの:ここまで観ていただいて本当にありがとうございます。ナツ子が何を全修するのか、最後まで見届けて下さい。
構成 M.TOKU
作品概要