
『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)』戸谷菊之介さん(夏目悠宇役)×鈴代紗弓さん(犬塚日葵役)×貫井柚佳さん(榎本凛音役)インタビュー|ぶりっこでも可愛いと感じさせる犬塚日葵のお芝居は「私、可愛いでしょ?」という愛嬌に全振り!?
悠宇はイケメンな陰キャ!? 日葵と凛音の関係性も変化していくようで……?
──キャラクター同士のテンポのいい掛け合いは作品全体の魅力かと思います。掛け合いの収録のこだわりについてもお話ください。
戸谷:僕は流れに身を任せようと思っていました。鈴代さんが日葵として勢いよく来てくれるから、そのおかげでやりやすかった印象があります。悠宇はモノローグでだけ面白いことを言ったりしてそこのテンポ感も良かったりするのですが、掛け合いもモノローグも反応が全部一緒にならないようには気を付けていました。

本当にこの作品は原作や脚本の段階から面白いので演じていて楽しかったです。悠宇と日葵の間に入ってくる凛音も最初はクールだけど関係性が深まってからのデレ具合が本当に可愛くて健気で、ひとつひとつが尊い印象を受けると思います。そこもたまらないのですが、悠宇としてはちょっと辛い部分も後々に出てきたりします。後々の展開に関わるのでこれ以上の言及は避けますが、ぜひ期待していてください。
鈴代:この作品は悠宇と日葵の掛け合いが多くて、先ほど戸谷さんが言ってくれたようにキャッチボールで言うと私が投げてそれを戸谷さんに返してもらうパターンが多いんです。戸谷さんはこちらが投げたら投げただけ、それを超えて返してくれるから無限に続けられる。だから投げ方を一辺倒にはせず様々なモノを投げたい…!と思いながら演じていました。
原作のテンポがそもそも良いのですが、アニメのテンポ感もまた良くて。凜音ちゃんも割と早くから登場しますし、とにかく展開が次々と移り変わっていくので話数ごとに空気感がちょっとずつ違うのも面白いなと思います。
例えば凛音との絡みだと、友達ならではというか女の子同士だからこそのからかい合いもあって楽しい。本当に濃い30分に仕上がっているはずです。

──日葵についてあざとい部分があるということでしたが、確かに嫌味がない感覚があります。日葵のあざとい部分は演じる際にどんなところに気を付けているのでしょうか?
鈴代:「私、可愛いでしょ?」っていう愛嬌に全振りしています。日葵はこの態度を取って引いてしまう相手にはやらないというか、無意識に相手が引いてしまうことを感じ取れるセンサーみたいなものを持っている気がしていて。だから悠宇も振り回されているんじゃないかなって思うんです。
同じ女子からだとちょっと嫌な風に捉えられかねないようなことを言いがちなのですが、日葵だと嫌な風に捉えられない。多分「ぶりっこしている私も可愛いでしょ」っていうあざといところも含めて許せてしまうような天性の愛され力みたいなものがあると感じていたので、そこの塩梅は演じていて難しい部分でした。
──ありがとうございます。貫井さんは掛け合いについていかがですか?
貫井:凛音が一番素直に掛け合いできる、感情をぶつけられるのは日葵なのかなと思っています。空白はあったけれど女の子同士の友達の中でも旧知の相手だし、日葵は距離感がとてもオープンなのでこうガッとアイアンクローで実力行使に出られるくらいにはぶつけやすくて、そのぶつかり合いが楽しかったなと思います。
後は咲良や雲雀といった他の兄弟もみんなパッションに溢れていて、見ていると笑いそうになってしまうくらいでした。兄弟だからこその掛け合いや、悠宇と日葵の親友という運命共同体だからこその掛け合い、それぞれテンポが違うのが面白いなと思いつつ、凛音は凛音で日葵との掛け合いがあるなと思って楽しんでいました。

──ヒロイン同士の掛け合いは収録時どのような雰囲気だったのでしょうか?
貫井:ネチネチした感じがなかったよね。
鈴代:いい意味でバチバチって感じだったと思う。
貫井:それも相手を攻撃するというより、自分の中での葛藤が多い。
鈴代:相手がどうだというよりも、まず自分を見てもらわないとみたいな。
貫井:相手の足を引っ張ってやろうみたいなこともなく、後半になると日葵と凛音の友情が深まったりするんです。
鈴代:女の子同士で昔なじみだからって、変に気を遣わないのがいいよね。仲が良いとはいえ良いからこそ言えないとか応援してあげたいけどできないみたいな流れにはならず、「へえ、好きなんだ? じゃあ私はこうする!」みたいな。

貫井:ある意味スポーツみたいな印象だよね。
戸谷:自分の高め合いみたいな?
鈴代:そうそう。日葵に対して怒る凛音の胸を日葵が鷲掴みにするシーンがあるのですが、そういう場面でもお互いに譲らない感じがありました。ある意味、悠宇と日葵以上に日葵と凛音のほうが友情を成立させている。だからこそ、そういうことが遠慮なくできるみたいな感じになっているんです。
──なんだか青春モノのような雰囲気も出てきました。
貫井:とはいえ、こういう作品で元カレという存在が出てくるのは大丈夫なの?って思ったり。でも、やっぱり嫌な感じがしなかったんですよね。
戸谷:きっとまだ、キャラクターたちが本当の恋愛を知らない年齢だからだと思います。
鈴代:「アイツら付き合ってたらしいよ!」「え、マジ!?」くらいの感覚なんじゃないかな。

貫井:みんな無邪気さを纏っていて、だからこそ悩むこともあって、これが青春かって思ったよね。
鈴代:本当に青春だよね。だっていい歳をした大人が「30歳になってお互いひとりだったら……」なんて責任が重すぎて言えないもん。そういうところをいい意味で深く考えていないからこそできるんでしょうね。
──そして、悠宇はそんなふたりのヒロインに揺れ動かされる立ち位置かと思います。戸谷さんはヒロインたちとの掛け合いについて、どんな印象を持っていますか?
戸谷:悠宇は悠宇でかなり揺れ動いているところがあります。日葵との関係にしても親友でないといけないのに、好きになっちゃいそうな場面が随所にでてくる。悠宇は日葵との関係性について、多分それくらいしか考えていないんじゃないかなと。そこに凛音が入ってくることで、日葵との親友という関係性が徐々に崩れていくところはあると思います。

──ちなみに、女性陣は悠宇というキャラクターにどんな印象を持っていますか?
貫井:あの年頃にしては落ち着いているように見えます。モノローグを私たちは見れちゃうのであれなのですが、最後にアウトプットする時は怒っている時でもかなり落ち着いた子だなと思います。
鈴代:高校生なのにもう自分の夢というものを見つけているのは凄いなと。その目標に向かって真剣に突き進んでいるというか、ひとつのことを頑張っているところは魅力的です。そういう一面が悠宇は特に強いと思います。
貫井:だからこそ話しかけづらくて友達が少ないのかもしれない。話したら絶対に友達になれそうなのに。収録中に戸谷さんが悠宇って笑わないよねと話していたことがあって。確かに日葵とじゃれあってニヤニヤしていることはあるかもしれないけれど、誰か他の人といる時に笑っていることってあまりない。
戸谷:原作の七菜なな先生から最初に、悠宇はイケメンな陰キャだと伺っていました。やれやれ系というかちょっと皮肉屋っぽいところがあるし、ずっと日葵に呆れていることが多い。だから、日葵と比べたら愛嬌みたいなものはほぼないかもしれないです。読んでいた時のイメージと先生からの言葉とでギャップはありましたが、それが笑わなかったり友達が少ないことに繋がっているのかなと思っています。

──まとめの質問になります。本作は「いや、しないっ!!」と男女の友情の成立を否定しています。ということは、今後は3人の関係性が動いてくることを察せられます。それを踏まえて最後に今後の見どころをお教えください。
戸谷:最初は親友として関係性を築き2年もの間過ごしてきて、そこに凛音が入ってきてから日葵は常に不安定な感じになっていきます。多分本人たちは駆け引きだと思っていないのですが、その好きになるかならないかみたいな揺れ動きがこの作品の一番の魅力です。ぜひそのドキドキ感を味わってください!
鈴代:タイトルからどんな物語が展開されるか気になると思うのですが、日葵と悠宇の友情がどういうものなのか、そして凛音のような第三者が入ることで感化される気持ちがあるのかどうなるのか…。やっぱり友情でも恋愛でも第三者の存在は大事。3人の関係性がどう変わっていくのかに注目しつつ、クリエイター目線のお話にもこだわっているので、グラフィック面も注目していただけたら嬉しいです。
貫井:登場人物たちが濃いので、きっと視聴者のみなさんも振り回されるかと思います。作中には度々お花が登場するのですが、私はそれが毎回楽しみでした。特に後半に登場するひまわり畑は、友情に落ちたのか恋に落ちたのかはわかりませんが、きっと青春時代の景色が眩しいくらい鮮やかに飛び込んでくる素晴らしいシーンになっているはず。
ぜひ大きな画面でヘッドホンを付けながら味わってください。日葵や凛音とのあんなシーンやこんなシーンも… きっと悠宇と同じ気持ちになれます。そんな中で将来のことや友情、恋というものの揺れ動きも綺麗に描かれていますので、ぜひ全部味わっていただけたら嬉しいです。
作品概要
あらすじ
1つの夢に向かい運命共同体(しんゆう)となった二人の仲は――
特に進展しないまま2年の歳月が過ぎる……!
未だに初恋がこない陽キャ女子・犬塚日葵と、花を愛する植物系男子・夏目悠宇は、高校2年生になっても変わらず、二人だけの園芸部で平和に親友をやっていた。
ところが、悠宇が過去の初恋相手と再会したことで、突如二人の歯車が狂い出す!?
果たして恋を知った日葵は〈理想の友だち〉脱却なるか?
キャスト
(C)2024 七菜なな/KADOKAWA/だんじょる製作委員会










































