
努力と気配りと優しさが支える、温かくて心強い現場──アニメ『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』久野美咲さん×伊瀬茉莉也さん×土岐隼一さん×豊崎愛生さんによるキャスト座談会【連載 第3回】
7月より好評放送・配信中の『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』。大切な弟・レグルスくんのため、ひいては菊乃井領の人々のため、適切な教育環境を整えることが重要だと思い始めた鳳蝶。「青の手」「緑の手」スキルと、オトメンな前世の記憶を駆使して状況の改善に乗り出しますが……?
今回は主役として、そして、座長として頑張る久野さんと、そんな彼女を支えるキャストのみなさんの、優しさてんこ盛り座談会です。全4回シリーズの3回目です。
鳳蝶くんの気持ちを最優先にして歌わせていただきました
──いよいよ鳳蝶くんが領地を立て直すために動き出しました。すでに様々な施策を思い付いているようですが?
久野:鳳蝶くんは最初、レグルスくんのために色々と考えたり、思いを伝えたりしていたんです。それがどんどん視野が広がって、身近で大切な菊乃井領のみんなや、それだけでなく、麒凰帝国の国民のためにはどうしたらいいかというところにまで考えが発展していきました。これってものすごく素敵なことだなって。
鳳蝶くんがそう思えるようになったのは、周囲の人のサポートのお陰なんですよね。ロマノフ先生を初めとしたエルフ族や百華公主のような神様、菊乃井家で働いている人たちが鳳蝶くんの要望をきちんと聞いてくれて、親身になってアドバイスやヒントを与えてくれたからこそ、色んなことを思い付いたんだと思います。だから、鳳蝶くんの聡明さだけでなく、周りの人たちのお陰なんです。ひとつ心配なのは、鳳蝶くんは知恵熱を出すことが多いので、そこは気をつけて欲しいです(笑)。
豊崎:鳳蝶くんって、空気を読みすぎてしまうんですよね。例えば、料理のレシピを開発するときも、料理長さんにすごく気を遣って話を持っていく。それは彼のいいところなんですが、同時に危ういところだとも感じています。すでにロマノフやロッテンマイヤーは鳳蝶くんに対して、もっと子どもらしくていいんだよって思っているようですし……。
久野:鳳蝶くんは貴族の立場の自分が何か言うと周囲の人が気を遣っちゃうだろうなっていうところまで考えて気配りや心配りをしているんです。素敵なんですけど、ちょっと考え過ぎちゃうところもあるんですよね。
──そんな鳳蝶くんの趣味のひとつに歌がありますが、歌の収録ではどのようなディレクションがありましたか?
久野:初めて歌うときは「とりあえず歌ってみようか」って(笑)。
──特にディレクションはなく?
久野:最初の歌唱シーンは、素敵な庭園で色とりどりの花や自然に囲まれて気持ちよく歌っているという状況だったので、「気持ちよく歌えば大丈夫だから」とディレクションいただきました。なので、そのときの鳳蝶くんの気持ちを最優先にして歌わせていただきました。
第2話で歌った『ハバネラ』も「鳳蝶くんが前世で好きだった歌だから、気持ちよく歌ってくれればいいから」とディレクションいただきました。今後も歌のシーンがあるのですが、どんどん上手くなっていく設定なので、頑張らないといけないなと思いました。
──歌唱の正確さや巧みさより、鳳蝶くんとして歌うことが重要なんですね。
豊崎:でも、久野ちゃんは本当に努力家で、『ハバネラ』を歌ったときはフランス語の発音を自分で書き起こした、努力の結晶のような手作り歌詞カードを作ってきたんですよ!
久野:カタカナで書いてある歌詞カードと、原曲の音源を事前にいただいていたんですが、実際に歌うとなると耳から聞こえてくる音とカタカナの歌詞が微妙に違っていて……。
土岐:これが、その手作り歌詞カードです。(※スマホ画面)
久野:あぁ! あのとき、土岐くんに撮られた写真だ!(笑)
土岐:フランス語のアクセントがカタカナに直してあるんですが……ところどころ付いてる○印はどういう意味なんですか?
久野:なんか、ちょっと、空白というか、発音しない音がある? 詰まった音のような「ンデュテュッ ンジュッ」みたいな(笑)。
土岐:確かに、フランス語ってそうですね!(笑)
久野:この部分が特に難しくて……。
伊瀬:鳳蝶くんって、ただでさえセリフが多くて大変なのに……。
豊崎:モノローグもあるしね。
伊瀬:そう。物語の中心部分を担ってくれているので、それだけでアフレコが終わるとヘトヘトになると思うんですけど、そこから歌を収録するんですよ。別日じゃないんだって、びっくりしました。久野ちゃんが気力と体力をすべて注ぎ込んで頑張っている姿が、本当に素晴らしいです。
土岐:鳳蝶くんじゃないけど、自分だったら知恵熱出そう。
伊瀬:これが自分だったらどうしようって考えちゃうよね。
豊崎:でも、まあ結局……全部、百華のせい……ですよね。
── 一同爆笑。


































