
みなさんも「鳳蝶くん応援隊」に入ってください!──アニメ『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』久野美咲さん×伊瀬茉莉也さん×土岐隼一さん×豊崎愛生さんによるキャスト座談会【連載 第4回】
7月より好評放送・配信中の『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』。ロマノフから、見聞を広げるため帝都に行くことを提案された鳳蝶。せっかく大きな都に行くのなら、みんなにお土産ぐらいは買って帰りたいと思ったものの、5歳の鳳蝶はお小遣いゼロ、貯金ゼロ。と、いうことで、お金を工面するため冒険者ギルドに出向くのですが……?
座談会もラスト。今回は役柄を通して作品の本質に迫る、思索回です。出席したキャストのみなさんも驚くほどの、深い内容になってます。
──第7話までの放送が終わりまして、この座談会も最後となります。ここまでで一番癒されたエピソードを教えてください。
伊瀬:第6話から第7話にかけての「トンカツクッキィィィング!」のシーンがすごく好きです! あそこだけ、一瞬、お料理番組だった(笑)。
──急にとんかつの作り方を懇切丁寧に紹介し初めて……(笑)。
伊瀬:今までの『しろひよ』のテイストとは違う、ほのぼの感、癒やされ感があって、物語の世界観が定まってきたからこそ実現出来たエピソードだと思います。
久野:美味しそうでお腹が空いちゃいますしね(笑)。私は同じ第6話の、鳳蝶くんがレグルスくんに子守歌を歌うシーンにすごく癒やされました。前世で覚えた沖縄の子守歌なんですが、前世では難しくて歌えなかったのに、レグルスくんのためならスルスルと簡単に歌えてしまう。レグルスくんへの愛情やこれまで育んできた時間が、いい意味で鳳蝶くんを変化させたんだと思って温かい気持ちになりました。
──レグルスくんを想う気持ちが鳳蝶くんを変えたんですね。
久野:それってすごく素敵なことですよね。鳳蝶くんは普段、周囲の人にすごく気を遣って言葉を選ぶので、モノローグと実際に発するセリフが違っていて、本音を言えないことが多いんです。でもこの場面では、前世の記憶と今の鳳蝶くんの気持ちが混ざり合って、心からの素直な気持ちで子守歌を歌っていて。演じている私もとても幸せな気持ちになりました。感動のあまりちょっと鳥肌が立って泣きそうになったことを覚えています。
豊崎:私はレグルスくんが頑張っているシーンがすごく好きです。ちょっと先のエピソードになっちゃうんですけれど、甘えん坊で泣き虫なレグルスくんが、小さな体で必死に立ち向かって行くのを見て、根性あるなって……。またそれを鳳蝶くんがお兄ちゃんとしてハラハラしながら見守っている姿にも癒やされます。
久野:本当に百華公主の心持ちで見守ってくださってるんですね。
豊崎:この「誰かが見守ってくれている」というのが、『しろひよ』のとても大切で優しいポイントだと思っています。まっさらな状態のレグルスくんがいて、その弟を見守る親代わりの鳳蝶くんがいて、さらに彼を見守るエルフ族がいて、さらにその先に神様がいる。そういう見守られ連鎖が起こっているシーンにすごく癒やされるし、心強い気持ちにもなります。
現実でもきっと同じことが起こっていて、ひとりぼっちだと思っていたとしても、分からないことがいっぱいあったとしても、冷たくされても理不尽なことがあっても、きっと誰かがどこか別の場所から見守ってくれている。それは周囲の大人だったり、人生の先輩だったり、意外な人だったりするかもしれないけれど、必ずどこかで誰かが見てくれていて、困ったときに助けてくれる。この温かいメッセージを作品から感じ取ってもらえると最高です。
土岐:僕の癒やされポイントは、今この場でも起こっていることです。
──この座談会中に、ということですか?
土岐:はい。鳳蝶くんと久野さんって、すごく似ているところがあるんです。ふたりとも、自分のことを考えない。今、この場にいる人たちにとって心地の良い空気を作るにはどうしたらいいかを常に考えてくれている。なので、今、まさに癒やされています。
──作品から現実へ、気遣いの連鎖ですね。
土岐:作品内ですと、今後起こるロマノフと鳳蝶くんの行動の変化が、僕の癒やしポイントです。これも先の話なので、具体的には説明できないのですが……。
──ふんわり教えていただけますか。
土岐:みなさんもおっしゃっていたように、鳳蝶くんは誰かのために行動することがすごく多い。その原因は前世が生えてしまって、ちょっと達観した人が中に入ってしまったからなんですが、それで何が起こるかというと、周囲を優先するあまり自分をないがしろにしてしまうという現象です。
──長所も見方によっては違う側面が見えてくる。
土岐:僕はロマノフ役なので、どうしてもロマノフの視点で見てしまうんですが、そんな鳳蝶くんをロマノフが見ると「この子は自分のことを何も考えないな」となると思うんです。ただ、現時点でそのことを指摘しても、鳳蝶くんの性格ではやはり他者を優先してしまう。では、鳳蝶くん自身に気付いてもらうにはどうしたらいいかということを、今後、ロマノフは考えていきます。言葉で諭すのではなく、いったん回り道をして体験を通して教えてあげたほうが理解する瞬間があったりするんです。
だから、どのシーンに癒やされたかっていうよりも、鳳蝶くんがこの先「初めまして」の人と出会ったり、「歌」や「舞台」など彼自身が元々関心を持っていたものに触れたりする瞬間が、僕の癒やしになっています。
──鳳蝶くんが鳳蝶くんとして成長していくのが嬉しいのですね。
土岐:ロマノフはエルフだけあって見えるものがすごく広いですから、彼から教育を受けた鳳蝶くんは、今後、より大きなものが見えるようになるんだろうなって思います。
──土岐さんのご意見がロマノフ先生過ぎる。
土岐:僕、塾の先生をやっていたこともあるので、それでかもしれません(笑)。
──癒やしポイントを尋ねてみたら、結果的に作品のテーマやメッセージに行き着いたような気がします。
伊瀬:確かに。あと、このインタビュー中にすごく感じたんですけれど、みんな、役を通して作品に向き合い、役を通して物事を考えている。
愛生ちゃんの場合は百華公主なので、「見守る」という行為がキーになるお話をされていましたし、ロマノフ役の土岐くんは様々な状況を俯瞰で見ていて、その上で鳳蝶くんと向き合っている。もちろん、久野ちゃんも鳳蝶くんの目線を通して物語を見てる。
そこで「じゃあ、私は?」ってなったとき、私もやっぱりレグルスくんの目線で作品を見てて、そうなると、インタビューの答えもレグルスくんっぽくなってしまって……。「一番癒やされたシーンはどこですか?」って訊かれて「トンカツクッキング!」って単純に楽しかったエピソードを答えてしまったり……(笑)。
──レグルスくん、喜びそうですよね。
伊瀬:レグルスくんは大人たちがしている難しい話の内容は分かってなくて、大好きな「にぃに」と過ごした時間だけが彼のすべてなんです。だから、思い出はにぃにとの思い出しかないし、一番の宝物はにぃにがレグルスくんにかけた「すごく大切だよ」「大好きだよ」という言葉。なので、私もにぃにが楽しそうにしているシーンしか浮かばなかった。
久野:鳳蝶を演じる私にとっては、めちゃくちゃ嬉しいお答えです!


































