
春アニメ『ガンバレ!中村くん!!』音楽担当・辻田絢菜さん&音楽プロデューサー・川﨑 龍さんインタビュー|中村くんは鍵盤ハーモニカ、広瀬くんはフルートといったようにキャラクターごとにイメージ楽器を設定しています
内気な男子高校生・中村くんの同級生・広瀬への“片想いをめぐる妄想と暴走”を、どこか懐かしい80~90'sタッチでコミカルに表現した「ガンバレ!中村くん!!」。本作のTVアニメーションが、2026年4月1日(水)より放送・配信中です。
アニメイトタイムズでは、アニメーションのスタッフに制作秘話をお聞きするインタビュー連載を実施。第6回は音楽担当の辻田絢菜さんと音楽プロデューサーの川﨑 龍さんに、第13話から逆算して制作していったという本作の劇伴について、お聞きしました。
原作を読んだとき、かわいいだけではなく芸術性が高いと思いました
──最初に原作を読んだときの感想を教えてください。
音楽担当・辻田絢菜さん(以下、辻田):まずタイトルロゴがすごくかわいくて、どこか懐かしいなとも感じました。実際に中身を読んでいると、ちょっと表現が難しいのですが、独特なポップさみたいなものを感じて。かわいいだけではなく芸術性が高くて、ビジュアルをみただけでもとてもすてきな作品だと思いました。
ラブコメと言ってもロマンティックが先行しすぎず、まずは友達になりたいという等身大の内気な高校生らしいどきどきが描かれているところに、自分としても共感度がとても高く中村くんの心情に没入しました。
──本作において、おふたりはどんなお仕事を担当されましたか?
音楽プロデューサー・川﨑 龍さん(以下、川﨑):まず、そもそもの関係性の話なのですが、実は辻田さんと僕は東京藝術大学作曲科の同期なんです。僕は中退しちゃったのですが、商業音楽の活動をしていくなかで、(本作のアニメ制作を担当する)ドライブで色々な音楽を作ったり発表したりする機会ができて。
──そうだったんですね!
川﨑:役割分担で言うと、辻田さんが作家性のなかで自由に音楽を書き、それに対して僕が劇伴の文脈や記号性みたいなものに齟齬がないかをチェックしました。本作は物量的にもかなり大きなプロジェクトになるということで、劇伴の仕事を多くやっていた僕にプロデューサーから、「手伝いに入ってくれないか」という話があったんです。
──劇伴の文脈。
川﨑:アニメの劇伴って、もちろんその作品に合った音楽を作るのがベースではありますが、「こういう音が流れると、こういう流れになる」というお決まりの記号だったり、「こういうシーンですよ」と伝えるための王道の形だったりというものがあると思っていて。本作はそこに当てはめ過ぎないようにはしつつ、あまりにも逸脱して違う意味が生まれちゃうことがないように、僕の方で少し調整しました。
辻田:川﨑くんに曲を見てもらって、その意見を反映しつつ私が改めて曲を調整するといった形で進めていきました。
登場人物の気持ちと動きに密着した音楽になっています
──音響監督の岩浪美和さんから、本作はフィルムスコアリングで制作されたとお聞きしました。
川﨑:岩浪さんからは、本作は人間関係が少しずつ変わっていく物語であり、ラブコメのコメディに対して汎用曲を当てて、コテコテな感じにしないほうがいいというお話があって。加えて、世界的にもスタンダードだから、今回はフィルムスコアリングが必要だと言い切っていらっしゃったんですよ。当時は「そうなんだ」くらいの捉え方でしたが、実際に全話制作したいまはフィルムスコアリングで作る意味が分かったというか。「そういうことだったんだな」と、つながりました。
──フィルムスコアリングで制作することでの難しさはありましたか?
辻田:そのとき、そのときでお話にあわせて作っていくので、制作も1年以上かかっていますし、色々と大変でした。その分面白さも、やりがいもありましたね。
川﨑:結局、それが中村くんと広瀬くんとの関係が1年をかけて少しずつ変わっていくというアニメのストーリーラインにも合っていて、音楽としてもまとまったと感じています。僕たちもずっと中村くんの心情を感じながらリアルタイムで作曲をしていたので、最後のほうは本当に気持ちがリンクしていたような気がします。
辻田:「中村くん、がんばれ!」という気持ちで、最後のほうは曲を作っていました。
川﨑:あとは、フィルムスコアリングとは言っても、すべてのアクションに細かく音楽を付け過ぎてしまうと、いわゆるミッキーマウジング(※)になってしまうんです。それをやると、心情ではないところにフォーカスしてしまう可能性もあって。そのバランスが難しくもありました。
辻田:作中では動きが面白いシーンもあるので、そこはパシッと動きに音楽を付けることがありました。たとえば、第11話のショッピングモールのシーン。あそこはわりと動きに密着した音楽になっていて。
川﨑:岩浪監督からは、キャラクターの歩数にあわせた音楽にというリクエストがありました。
辻田:まさにそれはミッキーマウジングで、テンポ感やBPMを計算して音楽を作りました。あのシーンはアニメーションの動きの面白さと音楽がリンクしているんじゃないかなと思っています。一方で、拾ってはいけないギャグも拾ってしまうとノイズになってしまうので、シーンによってバランスに気を付けました。
川﨑:気持ちにフォーカスした音楽、動きに注視した音楽と、色々なパターンで曲を作っていますね。
(※)映像の動きに完全にあわせて、音楽や効果音を付けること


































