
春アニメ『ガンバレ!中村くん!!』音響監督・岩浪美和さんインタビュー|「音がよかった」と言われたら、失敗だと思っています
内気な男子高校生・中村くんの同級生・広瀬への“片想いをめぐる妄想と暴走”を、どこか懐かしい80~90'sタッチでコミカルに表現した「ガンバレ!中村くん!!」。本作のTVアニメーションが、2026年4月1日(水)より放送・配信中です。
アニメイトタイムズでは、アニメのスタッフに制作秘話をお聞きするインタビュー連載を実施。第5回は音響監督の岩浪美和さんに、フィルムスコアリングで音楽を制作した意図、“音がよかったと言われたら失敗だと思っています”という言葉の真意について、お聞きしました。
第3話は広瀬くんの寝息をバイノーラル処理しています
──最初に本作のシナリオを読んだときの感想を教えてください。
音響監督・岩浪美和さん(以下、岩浪):ふつうに音を付けたら面白くならないかもしれないと思いました。監督と事前に話していたのは、同性愛者の理解に対する入門編として、何なら小学生くらいの子たちにも見て欲しいよねということ。いわゆる「BL」ということじゃなくて、人が人を好きになるのはすてきなことじゃんということが伝わればいいなと思っていました。
──そういう監督との話し合いは、どのアニメを作る時にもされる?
岩浪:どの作品でも、ということではないですね。テーマやアニメの方向性的に、そこまで話し合ってから始めなくても大丈夫ということもありますから。今回は梅木監督が真正面から真摯に取り組んでいらして、同性愛者の方にも取材をされていて。その熱意や作品への想いを受けて、ただのBLコメディじゃないという作品にできればと思い、監督から事前に色々と話を聞きました。
──音響監督は役者の声のお芝居や効果音、音楽など作品の音響演出を統括する役割かと思います。それぞれでこだわった点や制作で意識したことを教えてください。
岩浪:正直、アフレコのことについてはあんまり覚えていなくて。旅行だって、極めてスムーズにいったときは意外と記憶があまり残らないじゃないですか。それといっしょというか。優秀な人たちばかりなので、アフレコもスムーズに進行したという記憶しかないんですよね。本当に微調整程度だったと思います。収録が楽しかったことは覚えていますね。
──なるほど……!
岩浪:裏話的なところでお話できることがあるとすれば、第3話の体育館倉庫に閉じ込められるシーン。気が付いた方がいるかもしれませんが、あそこでは広瀬くんの寝息をバイノーラル処理しているんですよ。なので、ステレオのイヤホンやヘッドフォンで聞くと、頭のなかに広瀬くんの寝息が聞こえてくるようになっているんです。だからあそこは音楽も付けていないんですよね。
──そんな工夫が……!
岩浪:あの時中村くんにとっては、広瀬くんの寝息が最良の音ですから。きっと、中村くんはあのとき、広瀬くんの寝息で頭がいっぱいだったでしょう。視聴者のみなさんにも中村くんと同じ体験をしていただけたらと思い、バイノーラル処理をしました。
効果音は信頼している方にほぼお任せしていました
──貴重な裏話、ありがとうございます。効果音についてはいかがですか?
岩浪:効果音に関しては、特別に何かをしたということはなくて。作品的に女性の方に担当いただいたほうがいいかと思い、今回は斎藤みち代さんにお願いをしました。昔から色々なお仕事をさせていただいている方で、すごくセンスがいいことも分かっていたんです。彼女に頼めば大丈夫だと思って、ほぼお任せでした。
──そういう意味では、誰に何の作業をお願いするかという人選の段階で音響監督としての仕事の何割かは決まってくるというか。
岩浪:もう9割くらいはそうじゃないですか。キャスティングもそうですよね。キャスティングの段階で上手な人たちにお願いできたら、もうアフレコでもあんまり言うことはないんですよ。役者のみなさんは自分のキャラクターを中心に芝居を組み立てているので、キャラクターに関していえば、僕なんかよりも何倍も考えている訳で。そういう人が持って来てくれた演技というのは、そんなに大きく外れることはまあないですよ。
──上手い人たちが集まったから、もう微調整で済んだんですね。
岩浪:僕の現場はほとんどそうですよ。界隈では、僕の担当作品はアフレコの収録がはやいことで有名らしいです(笑)。































