
『天幕のジャードゥーガル』第8話「大カトゥン ボラクチン」を振り返り|シタラの「知」がボラクチンを動かす
2026年7月4日(土)より放送がスタートしたTVアニメ『天幕のジャードゥーガル』。トマトスープ先生による人気漫画を原作に、総監督・山田尚子さん、監督・Abel Gongoraさん、アニメーション制作・サイエンスSARUという豪華スタッフで描かれる歴史ドラマです。
第8話「大カトゥン ボラクチン」では、シタラがオゴタイの第一皇后・ボラクチンへと接近。第1話でファーティマから授かった「知」を武器に病の原因を見抜き、信頼を得ることに成功します。一方で、ボラクチンもまた静かに動き始め、シタラとドレゲネによる計画は新たな局面を迎えることになりました。
知識と策略が交錯する駆け引きに加え、遊牧文化を感じさせる料理「ウルム」や、シタラとドレゲネの微笑ましいやり取りも印象的だった第8話を振り返ります。
ボラクチンの病を見抜いた、シタラの「知」
第7話で初登場した大カトゥン・ボラクチン。家柄も特別良いわけではなく、若くもない。ドレゲネですら「なぜ第一皇后なのか分からない」と語る人物ですが、兄弟の不和の可能性をいち早く見抜くなど、その聡明さは印象的です。
しかし、そんなボラクチンは病に伏していました。その原因は、「鉱山のほこり」と呼ばれる雄黄(ゆうおう)を摂取し続けたことによる中毒状態のようなものだったのです。万能薬や不老不死の薬を作れるとも言われる雄黄ですが、シタラはドレゲネの協力を得ながらその正体を調べ上げ、ボラクチンの症状を見事に言い当てます。そして、ジャダ石を毒消しとして渡しながら、それ以上のことについても知識があることを匂わせました。
「長生きしたいからね」。そう漏らしたボラクチンにとって、シタラの知識は大きな価値を持つものだったのでしょう。保守的で大きな権力を持つ大カトゥンへ、シタラは見事に顔を売ることへ成功したのでした。
ウルムで見えるシタラとドレゲネの日常
今回は、料理のシーンも描かれました。
登場したのは「ウルム」と呼ばれる乳製品。搾りたての生乳を加熱・撹拌し、脱脂する過程でできる薄い膜で、乳製品の中でも特に美味しい料理として知られているそうです。私たちの感覚で言えば、湯葉のような感じでしょうか(もちろん味は全く違うはず)。乳脂肪の濃厚な味わいと、サクサクとした食感が特徴とのこと。遊牧文化が生み出した傑作料理、一度は味わってみたい……。
そんなウルムを、ドレゲネはシタラと一緒に食べたかった様子。しかし、シタラはボラクチンに呼び出され、その場を後にします。少し拗ねたような表情を見せるドレゲネは、普段の凛々しい姿とのギャップもあり、とても可愛らしいシーンでした。
ボラクチンに揺さぶりをかけるシタラ
トルイを中心に金国への侵攻が進むなか、ボラクチンの容体は無事に回復します。そして後日、改めてシタラから話を聞きたいと伝えられました。ボラクチンの信頼を得るというシタラの作戦は、ひとまず成功したと言えるでしょう。
話しながら、シタラは改めてオゴタイとボラクチンの知力の高さを実感します。ただ、現在のモンゴル帝国では、各地から集められた知識人や書物の多くをトルイが管理しており、それらを国全体のために活用することが難しい状況にあるようです。
シタラは、その知識や財産がトルイへ偏っている現状を利用し、ボラクチンを揺さぶろうと考えます。帝国内部にねじれを生み出すための一手です。自身の話術が思ったよりも、有効に見えたので上機嫌になるシタラ。
しかし、ボラクチンもまた黙ってはいません。8話のラストでは、今度は彼女の方からドレゲネへ接触……! シタラがボラクチンの懐へ入り込もうとする一方で、ボラクチンもまた状況を静かに見極めながら動き始めていました。
第8話で、ボラクチンという新たな知将が本格的に物語へ加わりました。互いに知略を巡らせながら相手の一手先を読もうとする駆け引きは、本作ならではの見どころと言えるでしょう。
[文/タイラ]
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作品概要
あらすじ
復讐の絆で結ばれた二人が、地上最強の帝国に嵐を起こす――。
母を亡くし、故郷からも遠く引き離された幼い少女・シタラは、
学者一家の心優しい奥方・ファーティマに拾われる。
「勉強して賢くなれば、どんなに困ったことが起きたって何をすれば一番いいのかわかるんだ」――
ファーティマの息子・ムハンマドの言葉に心を揺さぶられたシタラは、
"知"の可能性と大切さを知り、教養を深めていく。
いつの日にか、ムハンマドに追いつくことを夢見て……。
その頃、皇帝チンギス・カンによる地上最強の「モンゴル帝国」が日に日に勢力を拡大していた。
その歴史のうねりは、ついにシタラの住む街をも巻き込んでいく。
帝国の第四皇子トルイによってすべてを奪われ捕虜となったシタラは、
ただ一つ残った“知恵”を駆使して王族に取り入り、帝国を内側から崩壊させようと決意する。
奥方から受け継いだ"ファーティマ"を名乗って。
心に復讐の炎を宿しつつ、表向きは帝国に仕える身となったシタラはある日、第三皇子オゴタイの第六妃ドレゲネと運命的な出逢いを果たす。彼女もまた壮絶な過去を抱え、心の内に帝国への深い恨みを秘めていた。
シタラとドレゲネ。
出逢うはずのなかった二人が手を取り合うとき、運命が大きく動き始める
キャスト
(C)トマトスープ(秋田書店)/天幕のジャードゥーガル製作委員会































