Ustream特別番組「さとうけいいちnight」レポート！　劇場公開前の『アシュラ』本編をスマホで先行試写もありました！

　9月29日に東映系にて劇場公開される、ジョージ秋山原作の長編アニメ『アシュラ』。その公開に先駆けて、監督を務めるさとうけいいち氏の名前を冠した特別番組「さとうけいいちnight」が、21日午後9時から翌午前3時にかけて、Ustream上で配信された。

　第1部「アシュラスペシャル」は、『アシュラ』のオンライン試写会を中心とした内容。iPhone・iPad用動画配信サービス『ムービーLIFE』、Android搭載スマートフォン用動画アプリ『ビデオストア』を介して、映画全編を配信。

　試写会の前後では、さとう監督をはじめとする製作関係者の本音トークが展開。さとう監督は、「原作をリスペクトしながらも、アシュラが獣から人間になっていく物語をストレートに描いた」と、作品のコンセプトを明かした。

　主人公アシュラの声優を担当したベテラン声優・野沢雅子氏は、「声優をやっていて、アシュラと出会えて良かった」と、本作品が特別な存在であると語る。また、製作プロデューサー・池澤良幸氏が映画祭に参加する際の費用について話した時は、「国はもっとアニメにお金を出すべき！」と熱く訴えた。

　第2部「けいいち’s Party」では、アニメ評論家・氷川竜介氏をゲストに迎え、さとう監督が手がけたアニメーション作品を上映。上映されたのは、今月22日から劇場版が公開されている大ヒット作『TIGER & BUNNY』のテレビアニメ版第1話と、さとう監督初の監督作品『鴉-KARAS-』のOVA第1話。当時の製作裏話を交えつつ、これまで手がけてきた作品に一貫するテーマを語った。

　最後に、番組終了後の監督にインタビューする機会を頂いたのでご紹介する。

──今回の番組に出演されての率直なご感想は？

さとうけいいち監督（以下、さとう監督）：作品が持つ硬派なイメージが、今の映画ビジネスの中ではなかなかPRしづらいことを考えると、こういった場を設けていただけるのは大変すばらしいですね。私ごときの名前を使わせていただくのは恐縮ですが、この作品をひとりでも多くの人に観ていただきたい思いはあるので、少しでもお役に立てればという気持ちで出演させてもらっています。

──『アシュラ』は、これまで監督が手がけてきた、いわゆるオリジナルヒーローものとはまったく異なるジャンルの作品です。今回の経験が今後の作品作りに反映されていく部分はあるのでしょうか？

さとう監督：最初は「自分がこんな道徳的なものを撮っちゃうのか？」というか、これまでに自分が手がけてきた作品とスタイルが違って見えていました。でも作品を通して伝えたいことは同じだったので、それが表面的にどう見えようが気にしちゃだめなんだと思えるようになりました。それはやっぱり震災を経て、作り手として改めて考えさせられた部分です。『アシュラ』の製作を経て、「真実をよりそのままの状態で伝えたい」という思いが強まったのは事実です。

──昨今は日本の国内外を取り巻く状況が急速に変化していますが、監督自身、思うところは。

さとう監督：政治的なことはあまり語りたくないのですが、「ここの土地はオレのものだ！」といったことは、『アシュラ』の中でも同じようなことを言っていたりして、人は過去も未来も変わらないんだなと感じます。今の世の中に照らし合わせて言えば、「人間ってはたから見るとこんな滑稽な部分もあるんだぞ」というのを見せて、多くの人に気づいて欲しいという思いはありますけどね。自分がそういったところを表現できる立場にいることは自覚しているので、機会があれば、ある程度の覚悟を持って臨みたいですね。

──最後に、読者に向けてメッセージを。

さとう監督：今回の試写で観ていただいた方だとわかると思うんですけど、表現方法は今までの自分の型を踏襲しているし、そこから進化した形のものも入っています。作品を通して伝えたいメッセージも、底辺の部分では同じなんです。『TIGER & BUNNY』もそうですし、それこそ過去の作品の『鴉-KARAS-』もそうなんですけど、「人生の究極の選択の場面において、最終的に決断するのは自分である」、「どんな形であれ前向いて生きていこう」という部分は変わっていません。これまでは結果的にメカだのロボットだのヒーローだのを主な表現ツールとして用いてきましたが、大事なのは「人間」です。人間とはどういうものであるか、という部分の追求は、『アシュラ』の次の作品でも同じだと思いますね。「小宇宙（コスモ）だー!!」って叫びながらも（笑）。

【作品データ】
タイトル：アシュラ
公開日：2012年9月29日（土）
原作：ジョージ秋山
監督：さとうけいいち
脚本：高橋郁子
キャスト：野沢雅子、北大路欣也、林原めぐみ、玄田哲章、平田広明、島田敏、山像かおり、山口勝平、水島裕、ほか

>>映画『アシュラ』公式ページ