「今まで描けていなかったことを出していけるとは思います」──京都を舞台にした最高のアクションファンタジーアニメ『京騒戯画』松本理恵監督&関プロデューサーインタビュー!
■関プロデューサー&松本理恵監督インタビュー!
2011年12月より第一弾の配信を開始し、続く2012年には登場キャラクターにスポットを当てた第二弾・全5話を配信。かつて見たことのない聖地ファンタジーアクションの世界観と強烈なビジュアルが大きな話題を巻き起こし、第一弾・第二弾は累計100万再生を超えるほどの大好評を博した『京騒戯画』。そのテレビアニメが2013年10月より放送開始となるのはすでにご存知かと思うが、このたび監督を務める松本理恵さんと、プロデューサーの関さんに直接お話を伺う機会を得た。
誰もが気になっている第一弾配信の続きなど、数々の疑問を直接ぶつけてみたので、ぜひご覧いただきたい。
──まずは『京騒戯画』が始まった経緯からおうかがいできればと思います。
関プロデューサー(以下、P):東映アニメーションとは古くからのお付き合いのあるバンプレストさんから、数年前に弊社とオリジナルの作品を作りたいという申し出が版権部にあり、若いプロデューサーが担当することでプロジェクトが動き出しました。タイトルも含めまだ何も決まっていない段階で両社から出てきた案が、松本理恵監督で何か作れないか?というものでした。
──これまで配信作品の時点ではテレビアニメ化のお話はあったんですか?
P:2011年の12月にイベント用のPVという形で発表された時には、まだテレビアニメ化の話はありませんでした。
──テレビアニメ化はいつごろから動き出したのでしょうか?
P:去年、短いアニメを5話に渡って配信したのですが、配信の準備に入っている頃にバンプレストさんから、「これは今は配信だけど、将来的に東映アニメーションの力でテレビアニメにできないか」というご相談を受けました。
──去年の8月に配信を開始しているので、ちょうど1年前くらいですかね。
P:そうですね。配信を始める少し前です。
──テレビシリーズは「今までにやった配信版とどう違うのか?」というのが一番気になるところです。
松本監督(以下、松本):シリーズはストーリーテリングが必要ですけど、今までやってきた配信版は、あまりその辺は気にしてないです。それが今回一番大きく違うところになります。
──配信版はこれからのテレビ作品とは大きく異なるということですね?
松本:毎回求められる事に合わせて、瞬間最大風速を一番大きく出す、というところに重点を置いていましたので。
──今回はお話として作成している?
松本:そうですね。
──例えば、配信版の話の後など、配信版の話は絡んでくるのでしょうか?
松本:シリーズとして10本で構成する中で『京騒戯画』を改めてやるので、要所要所で配信版と同じようなシーンや状況が出て来るかと。これまでの作品との関連を気にせずに観た方が、ストンと入れるようになっていると思います。
──これまで知らなかったお客さんも入って来られるというわけですね。
松本:そうだといいですねー。
──これまでの話の中で、伏線とか語られなかった設定が散りばめられていたと思うのですが、その辺りに関してもこれから見るもので分かるように?
松本:今まで描けていなかったことを出していけるとは思います。
──初めて配信版第一弾の映像を観たときに、この後はどうなるのかが気になる内容だったので、その話も語られるといいなと個人的には思っています。
松本:あまり放ったらかしにしたまま終わるようにはしない方向で行きたいです。
──キャスティングでは、監督からの希望や「この方がいい」というのはあったんですか?
松本:最初にキャスティングをした時は、シリーズを考えて集めるというよりも、自分がこの人がいいなと思う人達に素直にお願いしました。
──全力を注ぐために集まったキャスト。
松本:そうですね。1回きりだからってことで。
──今回テレビシリーズですからね。このメンバーがアフレコに揃うのか、疑問なところですけど。
松本:難しそうですね(笑)。
P:大変ですね。1話録るのに、アフレコを4回くらいに分けないといけない可能性がでてきてます。でも、あんまりバラバラに録ってしまうと掛け合いの芝居ができなくなるので、アフレコとしての出来上がりに問題があるかなと思っています。それはもったいないと思っているので、各事務所と調整しながら何とか1日にまとめようとしていますが、最悪の場合でも2日で収めるようにするのがクオリティを保つ限界かなと思うんですけど。
松本:ですね。
P:放送話は13回ありますが、10月の最初の放送日が第0話になります。これは2011年に作られた25分のPVをテレビサイズに編集したものです。それに続いて、アニメの1話から5話まで新作が入り、その後に5.5話が入ります。これは、“聖地巡礼”の旅番組になります。監督が最初にロケに京都へ行っていますので、そこで巡った物語の舞台となる場所を声優さんに回ってもらおうと思っていて、実写の旅番組になります。それから6話から10話が新作アニメのクライマックスになりまして、最後の10.5話でこれまで作って来た作品をまとめた総集編としておおくりする予定です。
──松本監督は今回が初のテレビシリーズ総監督となりますが、心境はいかがですか?
松本:テレビシリーズとなると物量がすごいことになるので……。
──実質、今までの10倍強ですね。
松本:東映アニメーションはベテランのスタッフが多いので、その方々の胸を借りつつ勉強させてもらうつもりでやろうかなと思っています。
──物量以外の部分で、違いはありますか?
松本:スタッフの人数も限られているので、どうしても物量の方に意識が……(笑)。よくキャラクターデザインと話しているのが、楽しくやりましょうと。
──配信版のお話を作るのには、どれくらいの時間がかかってたんですか?。
松本:配信版・第二弾はシナリオからコンテが上がるまでは、5ヶ月くらいやっていました。コンテを上げるのにも結構な時間がかかりましたね。
──1話で5ヵ月と考えると、テレビアニメで10話作ると考えると2年かかりますね。
松本:第一弾のあとどうなるか分からなかったけど、お話を続けられるようにという事で作ったんです。
──1話限りと言いつつも、まだ続きが出来るようにと?
松本:なかなかしんどくて。「どうぞ、好きに」って言われると逆に……。
P:ちなみに、今の「どうぞ、好きに」という発言は私ではありませんから。別の若手Pですので(笑)。
松本:テレビシリーズをやる時には “この柵の中で動物を飼って下さい”、“牛を飼って欲しいけど、多少馬も入れていいよ”、みたいな枠組みのなかで裁量を任されている。配信版の『京騒戯画』の場合は“土地の広さも、飼う動物も決めていいです”だったので、制限がなさ過ぎて逆に困ってしまって……(笑)。
──コトちゃんとか可愛いキャラになっていますが、キャラクターについてはいかがでしょうか。
P:最初は萌えアニメを要求されたんでしょ?
松本:そうですね。「萌えアニメを作れ」と言われて「……作れません」と。私も、キャラデも、お互いに「萌えアニメは、われわれには難しいのでは……」と。「萌えアニメであれば、もしかしたら別のスタッフの方が良いかも知れませんよ?」と話したら「じゃあ、萌えアニメじゃなくてもいいから作って」と。ならばせっかくなのでやりたいようにやろうと思い、作ったのが最初の5分のPVでした。
最初の配信版5分は、見た人がこういう話なんじゃないか?って想像したり、なにかを喚起させるような映像のつもりで作ったんですよ。
──配信第三弾(2012年配信)を作る話が来た時は、1話ずつ作っていくのか、それとも5話分をまとめて作る話が来たんですか?
松本:全体の時間だけ、ざっくりと「40分くらい作って」と渡されました。「フォーマットは、そちらで自由に」ということだったので、話によって尺がバラバラになり、10分のがあったり、3分のがあったりしています。
──それに合わせて切り取って行ったという感じですかね?
松本:そうですね。コトとか明恵とか、主人公格のキャラクターのところはドラマ、それ以外のとか、そういう人たちではギャグもやりつつ、その話数その話数で空気感を楽しんで下さいという感じでした。
──テレビシリーズでも、ギャグやシリアスなどを使い分けて、わりと幅広く描いて行きたいと。
松本:そうですね。ノリ的には今までと変わらない形でやりたいと思ってます。
──先ほど、0話からスタートとのお話でしたけど、配信版の映像を再編集されると。
松本:25分のものを再編集します。
──その後に1話が入ると。第1話ではどんなことをやられていますか?
松本:最初の軸となった人たちの話を、順を追ってやって行こうと思います。1話は父母の話ですかね。
──だいたい、話の大枠は決まっていたりするんですか?
松本:だいたい(笑)。
──では、最後にテレビアニメ版への意気込みと、ファンの方へのメッセージを一言お願いします。
松本:頑張ります!
■今秋放送予定のテレビアニメ『京騒戯画』
TOKYOMX:10月2日(水) 25:30より毎週水曜日放送
BS朝日:10月4日(金) 25:30より毎週金曜日放送
<CAST>
釘宮理恵、鈴村健一、久川綾、石田彰、中原茂、喜多村英梨ほか
<STAFF>
企画:京騒戯画プロジェクト・バンプレスト・東映アニメーション
原作:東堂いづみ、監督:松本理恵、アニメーション制作:東映アニメーション