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女優・土屋太鳳さんが語る、『僕だけがいない街』での演技

「私が作品に参加した意味を見つけたい」――女優・土屋太鳳さんが語る、『僕だけがいない街』での演技

 2015年1月7日より放送のTVアニメ『僕だけがいない街』。主人公の藤沼悟役には、満島真之介さん(青年期)と、土屋太鳳さん(少年期)が抜擢されるなど注目を集める作品となっています。この度、アニメイトTVでは主演を務めたお2人にインタビューを実施しました。

>> 藤沼悟(青年期) 役・満島真之介さんインタビュー

 満島真之介さんに続き登場するのは、土屋太鳳さん。インタビュー時はアフレコの真っ最中。声の芝居について「まだ難しい」、「楽しむところまでいけていない」と明かした土屋さん。真摯に声優という仕事に向き合う彼女が自信を持てない理由とは。その真意に迫りました。


■ 「私はまだ、どうしても考えすぎちゃうんです」

――TVアニメ『僕だけがいない街』では、悟の少年期を演じますがその経緯は?

土屋太鳳さん(以下、土屋):オファーをいただいたんです。声をお送りして、そのあとで実際にお会いして「声を出して聞かせてください」という話になりました。今までとはちょっと違う形式だったので、ワクワクしましたね。


――女性が小学生の男の子を演じるのは"声で演じる"この業界ならではだと思います。今回はじめて体験してみて、いかがですか?

土屋:『名探偵コナン』のコナンくんは女性が担当していると知っていたので、そういう部分ではなるほどと思ったんですけど、自分が演じさせていただくとなると想像できないというか……。「どうやって声を出せばいいんだろう?」という気持ちでした。


――なるほど。

土屋:どこを取っても難しいです。そもそもこの作品を読んだとき、「人の心や現代社会の問題を、真正面からぶつけている作品だな」ってすごく衝撃を受けたんです。私の友人に、この作品の登場人物と同じような経験をした子がいたので、途中で(読み進めることができず)本を閉じてしまったりもしましたし……。

でも、そんな深い暗い部分の中に、"誠実な光"を見つけて、観てくださる方に届けたいなという気持ちがあります。そのためにも、悟の"まっすぐな正義感"みたいなものは大事にして演じたいですね。


――第1話でも、少年期の悟が少し登場していました。

土屋:そうですね。最初の方は「もうちょっと子どもらしくしなくちゃ!」というのがあったんですが、ごちゃごちゃしちゃって……(苦笑)。

――では、アニメのアフレコ現場と実写の撮影現場との違いも伺えれば。違うところ、結構多そうですよね?

土屋:そうですね。みんなで入れ替わりながらマイクの前に立つ事だったり。あと、現場で、ディレクションを聞き取れないことがあって……(註:アフレコでは、音響監督が調整室からマイクを通してディレクションすることが多い)。いつもは、監督さんが近くに来てお話することが多かったから、不思議な気分です。


――ディレクションひとつとっても、感覚が全然違いますね……!

土屋:もちろん、演技自体もですね。私はまだ、声を"決めて出す"というのが難しいんですよ。みなさんはそれぞれのキャラクターの声にキュッと持っていけるけど、私は感情によって声の高さが変わりやすくて。なので、一つひとつのシーンを大事にするために、ただただ全力で演じています! あとは"声の情報量"も(実写とは)全然違いますね。息と声とかの、圧力みたいなものが違うんですよ。


――ドラマや映画では表情で表現するところを、声で表現しなきゃいけないですもんね。

土屋:難しいですね。でも、高山みなみさん(藤沼佐知子 役)が、「絵に声が負けないように、『……』の部分とかもしっかり感情を出したほうがいいね」って教えてくださったんです。

――声をかけてくれたりもするんですね!

土屋:高山さんは悟のお母さん役なんですが、お母さんって母性があって愛情深いじゃないですか。本当に同じ雰囲気で、すごく優しいんです。私、絵に合わせようとするとどうしても早口になってしまったりもするんですけど、そこでは「ちゃんと絵の表情と同じように表現すれば、その声が出てくるから。深く考えなくていいよ」って教えてくださいました。

あと、アドバイスではないんですけど、悠木碧さん(雛月加代 役)の技術というか、テクニックもすごいんです。溺れるシーンのとき、指で口唇を震わせて溺れている声を出して「このくらいやった方がいいですか?」って監督に聞いていたんですが、それを見て、もう「スゴい!」と思いました。。才能も訓練も本当に大事なんだなって、改めて実感しました。


――実力派揃いですし、どんどん吸収できそうですね。

土屋:私はまだ、どうしても(アフレコに対して)考えすぎちゃうんです。結局は「考えずに"感覚"でやる」のが良いと思うんですけど、まだ怖くて……。

なので、いろんな刺激をいただきつつ、自分がどういうふうにしたいかというところはまだ探っている段階ですね。


■ 「ここに参加させていただけていることの"意味"を、しっかり感じたい」

――ところで、土屋さんは好きなアニメってありますか?

土屋:『河童のクゥと夏休み』と『サマーウォーズ』と『虹色ほたる ~永遠の夏休み~』ですね。


――夏つながりですよね?

土屋:そうなんです。必ず夏に1回は観ます。1日に一気に。そこで、夏休みを感じられるというか。それと『カードキャプターさくら』『犬夜叉』は、世代というのもあってよく観ていました。『犬夜叉』は、かごめを背負っている場面が好きなんです……! 

あと、アニメではないんですが『ウルトラマンゼロ』で、宮野真守さんと関智一さんと共演させていただいて、関さんとはその後も何度も共演させていただいてるんです。関さんって、『カードキャプターさくら』のお兄ちゃん(木之本桃矢)の声じゃないですか。それを知ったとき、「小さい頃から聞いてたのに!!」ってびっくりしました(笑)。

すごく素敵な方で、「アニメってリアルな作品は少ないと思うけど、自分がその作品に共感すればリアルじゃないお話もリアルになるから」って話してくださって。その言葉を胸にがんばってきました。


――今作のアフレコ現場以外でも、いろんな刺激を受けていますね……! それを経て挑む今作は、"2人1役"。お相手は満島真之介さんです。満島さんは、「太鳳ちゃんとは話し合いをしなくても、パシッと声が合う瞬間があった」というお話をされていたんですが……?

土屋:わあ、そうなんですね! それは、満島さんの"気持ち"が私を引き寄せてくださったんだと思います。満島さんがいると、すごく安心できるんですよ。

――「声優に初挑戦している」という同じ境遇をもっているから、ですかね?

土屋:それもありますし、"2人1役"というところも大きいですね。満島さんの演技は、すごく素敵だなって思います。聞いたとき「あ、悟だ!」ってなりました。

人とうまく付き合うようにしてはきたけど、自分の夢に辿りつけなくてグラグラしているという部分が、満島さんの演技にはすごく感じられました。たぶん、声を似せてるわけじゃなくて、"感情の呼吸"みたいなところがすごく悟と似てるんだと思うんですよ。なので私も、それに似るといいなと思いながら、追いかけている感じです。


――まだ試行錯誤の過程だと思いますが……今回の声優という経験は、今後のドラマや映画での演技にどんな影響を与えそうですか?

土屋:うーん……まだわからないですね。楽しむとか面白いとか、そういうところまでたどりつけていないので。ぜひ、この仕事を全部終えた後に、同じ質問をしていただけると!


――たしかに性急な質問でした……! 今はまだ、収録の真っ最中ですもんね。

土屋:なので今は、ここに参加させていただけていることの"意味"を、しっかり感じたいと思っています! 声優さんって、訓練をすごくしますし、才能もすごく大事じゃないですか。そんな中に、技術も基礎もない私が参加している。

その意味は、絶対に自分で読み解かなきゃいけないんですよね。で、それが演じるときの姿勢にもつながればと。悟が「大切な人を助ける」という使命感を持っているように、私も使命感を持って演じたい。そうして、一緒に成長できればいいなと思います。


[取材&文・松本まゆげ]
[ヘア&メイク:太田年哉(maroonbrand)]
[スタイリスト:松田晃斉(SIGNO)]



■ TVアニメ『僕だけがいない街』
2016年1月7日より、毎週木曜24:55から フジテレビ"ノイタミナ"ほかにて放送開始

フジテレビ:1月7日より毎週木曜 24:55~(初回放送は25:50~)
北海道文化放送:1月10日より毎週日曜 25:30~
岩手めんこいテレビ:1月7日より毎週木曜 24:55~
仙台放送:1月7日より毎週木曜 26:05~
秋田テレビ:1月7日より毎週木曜 25:20~
さくらんぼテレビ:1月7日より毎週木曜 24:55~
福島テレビ:1月7日より毎週木曜 25:55~
新潟総合テレビ:1月7日より毎週木曜 25:45~
テレビ静岡:1月7日より毎週木曜 25:35~
東海テレビ:1月7日より毎週木曜 26:15~
関西テレビ:1月7日より毎週木曜 25:55~
テレビ新広島:1月7日より毎週木曜 26:00~
テレビ愛媛:1月7日より毎週木曜 25:00~
テレビ西日本:1月7日より毎週木曜 25:55~
サガテレビ:1月8日より毎週金曜 24:40~
テレビ熊本:1月7日より毎週木曜 25:45~
鹿児島テレビ:1月7日より毎週木曜 26:05~

※放送時間は予告なく変更になる場合あり

【スタッフ】
原作:三部けい(ヤングエース連載)
監督:伊藤智彦
シリーズ構成:岸本卓
キャラクターデザイン:佐々木啓悟
色彩設計:佐々木梓
美術監督:佐藤 勝
美術設定:長谷川弘行
撮影監督:青嶋俊明
CG監督:那須信司
編集:西山茂
音楽:梶浦由記
音響監督:岩浪美和
アニメーション制作:A-1 Pictures

オープニングテーマ:ASIAN KUNG-FU GENERATION「Re:Re:」
エンディングテーマ:さユり「それは小さな光のような」

【キャスト】
藤沼悟:土屋太鳳 満島真之介
雛月加代:悠木碧
片桐愛梨:赤﨑千夏
ケンヤ:大地葉
ヒロミ:鬼頭明里
オサム:七瀬彩夏
カズ:菊池幸利
白鳥潤:水島大宙
藤沼佐知子:高山みなみ
八代学:宮本充

【イントロダクション】
自分だけの時が巻き戻る現象"リバイバル(再上映)"に悩まされる青年・藤沼悟が、自らの過去と対峙し、もがく姿を描く三部けいの"時間逆行"サスペンス『僕だけがいない街』。

2012年、「ヤングエース」(KADOKAWA刊)にて連載を開始し、「マンガ大賞」や「このマンガがすごい!」に2014年、2015年と2年連続ランクイン。書店員や各界著名人からも絶賛のコメントが多数寄せられ、注目を集める人気作である。

コミックスは第1巻から第7巻までを含め、累計発行部数239万部を突破。一度読み出したら止められない、息もつかせぬ展開でファンの心を惹きつけている。

そして2016年1月、TVアニメーション『僕だけがいない街』がフジテレビ"ノイタミナ"にて放送を開始する。計算し尽くした緻密な演出、リアリティをもたらす美術、物語を彩る音楽、そのなかで動き出す息を吹き込まれたキャラクターたち。アニメーションで表現される新たな『僕だけがいない街』を、ぜひとも楽しみにしてほしい。


>>TVアニメ『僕だけがいない街』公式サイト
>> TVアニメ『僕だけがいない街』公式Twitter(@ bokumachi_anime)

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(C)2016 三部けい/KADOKAWA/アニメ「僕街」製作委員会
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