「松本梨香=サトシ 19年でメガシンカ!」 ――『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』サトシ役・松本梨香さんインタビュー
カロスリーグが始まり、ますます盛り上がりを見せているTVアニメ『ポケットモンスターXY&Z』。現在のシリーズに突入してから初となる映画 『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』が、7月16日(土)より全国で公開されます。
本作でサトシが出会うのは、人間に傷つけられたポケモンたちと共に暮らす、人間嫌いのポケモン・ボルケニオン。未知の力を秘めた人造ポケモン・マギアナをめぐって、熱いバトルが繰り広げられます。
今回は、そんな「ポケモン」で19年にわたって主役・サトシを演じ続けている松本梨香さんにインタビュー。映画の見どころや、サトシを演じ続けて思うことなどを語っていただきました!
――「ポケモン」のTVシリーズはこの4月で丸19年、映画版は今回で19作目となりました。20周年も目の前ですが、サトシ役として振り返ってみていかがですか?
サトシ役・松本梨香さん(以下、松本):19年通して変わらない魅力のサトシがいますが、シリーズが続いていくたびに、色んなサトシを見て貰いたい、見せたいと思って演じてきました。
人間誰でも、みんなの前では元気にしていても、家に帰ったら落ち込む……みたいなことってあるじゃないですか。でもアニメだと一つの面だけにクローズアップして描かれがちですよね。サトシに関しては19年という長い間やれた事で、ちょっと頼れるサトシから、女の子に好意を持たれてもよくわかってないサトシ(笑)などなど、いろんな面を少しずつ出してこれました。
20周年に向けて、これまで以上にもっともっと奥行きのあるサトシにしたいし、リアルに感じてもらいたい。まだ知られていないサトシが表現できるんじゃないかな、と期待してます!
――今回の『ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ』でも、いろんなサトシが見られましたね。
松本:映画版ではサトシのブレない熱い部分が描かれてますが、今回は特にハードボイルドな感じがしましたし、ひょうきんな場面なんかもあって、手に汗握ったり、笑ったり、泣いたり、忙しかったです(笑)
登場人物との接し方も、サトシらしくて好きでした。今回の映画の舞台「アゾット王国」で出会うキミア(CV:松岡茉優)は、王女という立場ですけれど、サトシは普通の女の子として接しています。地位が高いとか偉いとか、そういうことで区別したりせず、サトシはあくまでひとりの人として見ている。
今回の重要キャラクターのボルケニオン(CV:市川染五郎)は、人間のことが大嫌いなので、サトシとのやりとりもギクシャクした感じで始まるんですけれど。なかなか心を開いてくれない中、それでもサトシは普通に話しかけて、心と心で繋がろうとする。そこから後半になるにつれて、絆ができてきて…そういうところ、本当に共感します。…クライマックスでの2人のやりとりは熱いです!
――ボルケニオンは、市川染五郎さんが演じたことも話題になっています。アフレコは同じタイミングでされたのですか?
松本:毎回レギュラー陣はみんなで一緒に一番最初にアフレコするんですけど、ゲストのみなさんは別録りなんです。ゲストキャラの気持ちや演技をたくさん想像しながら演じなきゃいけないのが大変(笑)。相手はこんな気持ちでしゃべるんだろうなって、想像を膨らませながら演じました。
――ある意味、松本さんもボルケニオンの役作りをする、といった感覚なのでしょうか?
松本:そうですね! 今回は、サトシとボルケニオンの会話がとにかく多かったのでなおさらでした。人間嫌いだったボルケニオンとサトシとの間で、少しずつ絆ができていく……その過程がすごく丁寧に描かれているからこそ、みんなの心にスッと届くような、身近で、ナチュラルな会話にしたいと思いました。
ボルケニオンって、ちょっと頑固な所とか加藤精三さんが演じられていた『巨人の星』の星一徹のような感じがしたので精三さんだったらどんな風に演じられるだろうと考えて、台詞を言わせて頂いたりしましたが…。市川さんのボルケニオンと、サトシの会話がマッチしていて良かったです。
――確かに、サトシとボルケニオンが何気ないやりとりを重ねていって、だんだん認め合い、絆が生まれていく感じがしました。
松本:友情って、すぐには仲良くなれなかった相手ほど、深く結ばれるものもあるのかもしれませんね。クライマックス近くのサトシとボルケニオン…何回も見ているシーンなのに、私もう涙が出てきちゃって、止まらなかったです。ボルケニオンは言葉を話せるポケモンではありますけど、最後はサトシとの間で、言葉を超えた感じすらありました。あのシーンで泣けるのも、そこに至るまでに、ふたりのやりとりをリアリティのある形で積み重ねられたからだと思っています。
――"人とポケモンの絆"の話でいえば、6月に行われた「ポケモン総選挙720」で、松本さんが好きなポケモンとしてカラカラを選んだことも話題になりました。ピカチュウはもはやポケモンじゃない、それ以上の存在だとおっしゃられていましたが。
松本:ピカチュウは……私の中でもうポケモンじゃないんですよ。家の中にピカチュウの森が出来るくらいのピカチュウ好き(笑)、ピカチュウグッズもいっぱい集めてるんですけれど、私の中でのピカチュウに対する気持ちは飼ってる犬をペットだと思わないのと一緒で、家族そのもの。だから好きなポケモンを選んでくださいって言われても、ピカチュウをポケモンとしては選べない。というのが正直な気持ちです。
ちなみに私が選んだのはカラカラ。お母さんの骨をかぶってるデザイン自体愛くるしい。ペットショップにカラカラがいたら「GETだぜ!!」です(笑)
――19年来のパートナーとなると、そういった感覚になるんですね。「サトシ」については、松本さんの中でどんな存在になっているのでしょうか?
松本:サトシは自分とイコールみたいになってます。この19年のあいだ、本編のアフレコはもちろんですけど、それ以外でも土日にイベントやお祭りでポケモンの主題歌を歌ったりしているので、ポケモンが常に私のそばにある感覚なんです。
それがこれだけ長い間つづくと、私の生きてるこの世界が、ポケモンの世界みたいにも感じられて。自分の中では、松本梨香=サトシなんですよね。この感覚は、長くやってこられてるからなんだと思いますが……。
――サトシを演じはじめて、何年目くらいからそういった感覚が?
松本:10年目くらい……ですかね。私、人生賭けてやってます!「ポケモン」をやるために生まれてきたんじゃないかって思うくらい。自分の声優としての人生、表現者としての人生を「ポケモン」というものに賭けていると言っても過言じゃない。でも人生を賭けられるものが「ポケモン」で、よかったなとも思えるんです(笑)
――「ポケモン」でよかった。
松本:「ポケモン」って、いろんなミラクルを起こせるんですよ。私、不治の病にかかってしまっている子供たちに向けて、「○○(子供の名前)! 元気になったら一緒にバトルしようぜ!」といったセリフを吹き込んで、送っていたことがあったんです。危篤になった時にその声を聴かせたら、寝ながら笑顔になってくれたとか、意識が戻ったとか……いろいろな話をこの19年の間に聞きました。
自分には、すごく大きな責任があるんだと再認識したんです。声の収録の現場でも、新人さんに会うと「ちっちゃい頃からポケモン大好きでした!」とか「本物のサトシだ!」とか言われますし。ポケモンをやらせていただいている間は、振り返った時に恥ずかしいことがないように、嘘をつかずに、自分に正直に生きていかなきゃと思っています。それこそサトシみたいに。
後輩たちから「梨香さんがサトシをやってるの、すごくわかります!」と、言ってもらえることが多くて少しでも体現出来ているのかなと思うとうれしいです。
――ご自分から見ても、サトシと似ていると思うことはありますか?
松本:私も嘘は嫌いだし、人間が好き。動物好きでもあるので共通点が多いですね。あげたらキリがないけど…あとはやっぱり、猪突猛進なとこかなー(笑)
今回の映画の台本をはじめてもらった時も、サトシのセリフが「私がいつも言ってることが書いてある!」って思えたくらいで。私をよく知る友達が試写を見た感想も「梨香がいつも言ってることをサトシが言ってたね!」だったんです(笑)。だから嘘のない台詞が、気持よく表現できるんだと思います!
――それでは最後に、改めて『ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ』を楽しみにしているみなさんへメッセージをお願いします。
松本:今年はハードボイルドで、エンターテインメントなすごく楽しめる作品。 ワクワクして、スカッとして、しかも最後には泣けちゃう……。映画版って、いつもは演者として反省しながら見ちゃうんですけど、今回の『ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ』は自分自身も気づいたら涙したりして楽しんでたくらい。そんなものを超えて、涙が出てきました。
19年もやってると、正直な話、物語って似てくるじゃないですか。だいたいこんなふうに展開するんでしょって思われたりもして。でも、ポケモンはいつも本当に新しいものに挑戦していてすごいなと思います。
――とても力強くいただきましたが、最後に一言。
松本:エンディングでスタッフロールと一緒に流れる後日談パートまですごく良いので、ぜひ皆さん映画館に足を運んでくださいね♪
――ありがとうございました!
[取材&文・小林真之輔]
■『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』
2016年7月16日(土)日本全国一斉ロードショー!
<CAST>
サトシ:松本梨香
ピカチュウ:大谷育江
セレナ:牧口真幸
シトロン:梶裕貴
ユリーカ:伊瀬茉莉也
ムサシ:林原めぐみ
コジロウ:三木眞一郎
ニャース:犬山イヌコ
ナレーション:石塚運昇
<STAFF>
原案:田尻 智
アニメーション監修:小田部羊一
監督:湯山邦彦
エグゼクティブプロデューサー:岡本順哉・宮原俊雄
プロデューサー:下平聡士・松山 進・新井賢一
脚本:冨岡淳広
アニメーションプロデューサー:亀井康輝
キャラクターデザイン:一石小百合・松原徳弘・広岡トシヒト
総作画監督:佐藤和巳・中野悟史
音響監督:三間雅文
音楽:宮崎慎二
製作:ピカチュウプロジェクト
配給:東宝
>>ポケモン映画公式サイト
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