織田作之助役・諏訪部順一さんが未来の太宰治へ繋いだ想いを語る――TVアニメ『文豪ストレイドッグス』黒の時代編上映会レポート
2016年10月22日(土)、丸の内ピカデリー2にて、TVアニメ『文豪ストレイドッグス』「黒の時代」一挙上映イベントが開催されました! 「黒の時代」編とは、10月よりセカンドシーズンが放送開始となった『文豪ストレイドッグス』の13話~16話にあたるストーリー。太宰治が武装探偵社に入社する前の話を描いたエピソードとなっています。
イベントには「黒の時代」編で織田作之助を演じる諏訪部順一さん、ボンズのプロデューサー鈴木麻里氏、KADOKAWAのプロデューサー・倉兼千晶氏が登壇。16話のTV放送に先駆けて一挙上映した後に、ここでしか聞くことのできない貴重な話が飛び出しました。本稿では、そんな上映イベントの模様をレポート!
イベントでは、まずはじめに「黒の時代」編にあたる13話~16話が上映されました。若かりし頃の太宰や、組織内でも自分を突き通す織田作、突如として失踪した坂口安吾など、ポートマフィアの闇が描かれます。そして、当日初上映された16話の衝撃的なラストシーンに、思わずむせび泣くファンも続出。会場全員が最後の最後まで目を離せず、未来の武装探偵社、そして太宰の信念へと繋がる場面の連続に魅了されていました。
ノンストップで駆け抜けた上映が終わると、早速トークショーがスタート。実は上映会を最初から会場内で見ていた諏訪部さんですが、司会からの呼び込みに応えると、客席から姿を現して開始早々にファンを大きく驚かせました。
そんな諏訪部さんですが、原作コミックスのオフィシャル推薦コメントを書かれていたそうで、本作とはアニメ化以前から関わりがあったことが語られました。第1クールのキャスト発表時に諏訪部さんの名前はなく、13話のTV放送まで出演することが伏せられていたのは、全てこの「黒の時代」編をサプライズとして世に送り出すためだったと改めて明かされ、ファンは感嘆の声を漏らしました。
ちなみに、オーディションの際は太宰を受けていた諏訪部さん。その場に立ち会っていた鈴木Pは、五十嵐卓哉監督から「諏訪部さん、織田作の声に合ってない?」と耳打ちされていたことを明らかにしました。さらに倉兼Pも、五十嵐監督が諏訪部さんの演技を聞いて「織田作」とメモした物を見ていたらしく、織田作の誕生秘話が次々に飛び出します。
また、一切の内容が明かされないまま放送開始した13話に、諏訪部さんは「驚いた方が居らっしゃったのでは?」と会場に投げかけ、「現場でも箝口令が布かれていたんです。キャスト・スタッフ陣も、ドキドキしながら情報解禁を心待ちにしていました」と当時の心境を語りました。さらに今回のイベントについても「映画館での上映を嬉しく思っています。劇場版『文豪ストレイドッグス』ですね(笑)」と笑顔を見せます。
すると鈴木Pから「(黒の時代編の)4話で一本の映画を作ろう、という意気込みでスタッフ一同、必死に作っていました」と語られ、念願の上映会に感動している様子でした。
ここで諏訪部さん、織田作之助というキャラクターについて尋ねられると「男が惚れるタイプのカッコ良さを持った男ですね」と大絶賛。しかし「なぜジイドに付き合ってしまったのか。悔やまれます。僕[やつがれ](※芥川龍之介)を助けに行かなければ巻き込まれることもなかったわけで。アイツのせいですね(笑)」と冗談交じりに落胆し、会場の笑いを誘いました。
また、アフレコにおいても諏訪部さんは、織田作、太宰、安吾のような距離感を意識して、宮野さんや福山さんとは物語について敢えて深くディスカッションせずに取り組んだことを明かします。さらに15話ラストで激昂するシーンでは、16話に繋げるために感情を爆発させるよう気合を入れて臨んだと話し、会場のファンも深く頷いていました。
そして、1クール目では武装探偵社の一員として活躍していた太宰ですが、監督曰く「黒の時代」編は彼の青春の1ページ。13話冒頭の「四年前――夜の闇が今よりもずっと青かった頃」という“夜の闇”は太宰のメタファーでもあり、ポートマフィア時代の太宰の方が現代より青く、透明感のある闇だと語られます。
そんな太宰の心持ちは、1クール目から変化したサブタイトルに隠されているとのこと。「黒の時代」編では白地に青で描かれているサブタイトルが、1クール目では黒字に赤、つまり透明感のある青い闇がさらに深まった末のイメージであることが明らかになり、過去と現代の異なる部分が描かれているとプロデューサー陣は告白しました。
ここからは、本作を作り上げてきた朝霧カフカ先生(原作)、榎戸洋司氏(シリーズ構成・脚本)、五十嵐監督らがチョイスした「黒の時代」編のワンシーンを紹介していきました。なお、五十嵐監督もコメント内で話題にしていた芥川は、スタッフの間でも大人気なんだとか。諏訪部さんも「構ってちゃんで可愛いですもんね(笑)」と頷きますが、鈴木Pは「芥川が白目になるシーンは、高確率でとあるアニメーターの方が担当されています」と衝撃の事実を口にします。白目を向く場面のクオリティも回を重ねるごとに増しており、今後の芥川が楽しみに(?)なるような発言も飛び出しました。
さらにそんなスタッフ陣から、諏訪部さん演じる織田作についてのメッセージも紹介。そこで思い思いに綴られた称賛の言葉に、諏訪部さんも感謝の言葉を述べつつ「演じることが出来て本当に良かったと思えるキャラクターになりました。まさかキャストクレジットで一番上に表記されるとは。驚きました(笑)」とコメント。すると織田作の演技に心打たれたファンから盛大な拍手が送られ、どこか恥ずかしそうにしている諏訪部さんは笑顔で応えていました。
そして、告知コーナーでは「黒の時代」編が収録されたBlu-ray & DVD 第7巻の詳細が初解禁。グラスを掲げた織田作・太宰・安吾のイラストに大歓声が上がります。また作中に登場し、銀座に実在しているBar Lupinで諏訪部さん、宮野さん、福山さんが酒を酌み交わしながら作品を語った映像特典『ストレイドッグに乾杯』の収録も決定。嬉しい発表の連続に、会場の熱気も急上昇していました。
まだまだ話題は尽きませんが、ここで終了の時刻が近づいてきます。最後は当日の出演者からファンに向けてメッセージが送られたところで、非常に充実した内容のイベントは幕を下ろしました。
諏訪部さん:TVアニメは「黒の時代」編以降も続いていきますが、織田作の物語はここで区切りがつきました。素晴らしい共演者の皆さん、そして情熱を込めて作り上げてくださったスタッフの皆さんに心から感謝しています。引き続き、アニメ『文豪ストレイドッグス』をお楽しみいただけると幸いです。そういえば、ポートマフィア時代の太宰は黒い服を着ているのですが、現在の太宰は織田作のようなベージュ系のコートを着ています。期せずしてかもしれませんが、自分的にはグッと来ました。織田作の想いは太宰と共に生き続けていくのかもしれませんね。
鈴木P:「黒の時代」編を4話かけて描いたことには意味がありまして。それは17話以降をご覧いただければ、「だから作ったんだな!」と分かってくると思います。また、17話以降は派手です! もう入り切らないほど内容が詰まっており、決して飽きさせない展開になっていますので、ぜひお楽しみに!
倉兼P:こうして大きな劇場で皆さんに見ていただき、本当に嬉しく思います。スタッフ全員が命を削って作った4話になりました。この4話がなければ、TVアニメ『文豪ストレイドッグス』は続いていかないと思いますので、かなり尺を取らせていただきました。17話以降は、「帰ってきたな」と思えるシーンもあるので、ぜひお楽しみください。(中島)敦君も帰ってきますので、また一緒にヨコハマで楽しんでいただければなと思います。ありがとうございました。
[取材・文・写真/鳥谷部宏平]
作品情報
TVアニメ『文豪ストレイドッグス』第2クール
2016年10月5日(水)25時05分TOKYO MX、WOWOWほかにて放送開始!
TOKYO MX:10月5日(水)25:05~放送開始
WOWOW:
10月5日(水)25:05~放送開始 ※第13話無料放送
※第14話以降は10月7日(金)22:30~アニメプレミア枠で放送
テレ玉:10月6日(木)25:05~放送開始
チバテレ:10月6日(木)25:00~放送開始
tvk:10月6日(木)25:00~放送開始
岐阜放送:10月6日(木)25:45~放送開始
三重テレビ放送:10月6日(木)26:20~放送開始
サンテレビ:10月5日(水)25:30~放送開始
TVQ九州放送:10月5日(水)26:35~放送開始
BS11:10月7日(金)27:00~放送開始
※編成の都合により放送曜日、時間、開始日が変更になる可能性がございます。予めご了承下さい。
>>TVアニメ『文豪ストレイドッグス』公式サイト
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