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SAOアリシゼーション第10話 感想:松岡禎丞×島﨑信長 対談【連載】

【連載】『ソードアート・オンライン アリシゼーション』第10話 感想:松岡禎丞×島﨑信長 対談|《禁忌目録》の制約に背いてまで成し遂げたユージオの固い意志

2018年10月より放送中のTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』(SAOアリシゼーション)。12月8日には、TOKYO MXほかにて第10話「禁忌目録」が放送となりました。

※※※第10話のネタバレが含まれています。本編視聴後にご覧いただくことをおすすめします※※※

キリトとユージオの《傍付き》であるロニエとティーゼの帰りが遅いと探しに行くキリト。部屋で待機していたユージオのもとにやってきたフレニーカが、ライオスとウンベールに抗議に行ったロニエとティーゼが戻らないと告げる。嫌な予感がしてウンベールの部屋に向かうユージオ。彼らは《禁忌目録》の抜け穴を使い、ユージオの目の前で二人を辱めようとする。だがユージオは《禁忌目録》の呪縛を破り、剣を振り下ろすのだった。

《禁忌目録》はそうまでして守らなければいけないものなのかという疑問に駆られてしまう第10話の感想を、松岡禎丞さん(キリト役)、島﨑信長さん(ユージオ役)の2人がラジオ番組「ソードアート・オンエアー アリシゼーション」で語っていたので、そちらでのトークをお伝えしていきます。

<連載バックナンバー>
【第1話】アンダーワールド
【第2話】悪魔の樹
【第3話】果ての山脈
【第4話】旅立ち
【第5話】オーシャン・タートル
【第6話】アリシゼーション計画
【第7話】剣の学び舎
【第8話】剣士の矜持
【第9話】貴族の責務
【第10話】禁忌目録
【第11話】セントラル・カセドラル
【第12話】図書室の賢者
【第13話】支配者と調停者
【第14話】紅蓮の騎士 【第15話】烈日の騎士
【第16話】金木犀の騎士 【第17話】休戦協定
【第18話】伝説の英雄 【第18.5話】リコレクション
【第19話】右目の封印 【第20話】シンセサイズ

 

悪意に満ちたライオスとウンベールの犯した許しがたい行為

松岡禎丞さん(以下、松岡):第10話の話をする前に、第9話の感想メールを頂いております。

島﨑信長さん(以下、島﨑):ソイビーンさんから頂きました。「先日第9話が放送され、リアタイで視聴しました。今回はライオスとウンベールが本性を出してきたなというのが全体の感想でした。絶対遵守の《禁忌目録》がありながら嫌がらせをやめない二人は、《アリシゼーション》編の“オベイロンポジション”なのかなと思いました。しかし、イライラ度合いがオベイロンを越えて来そうなほど最低最悪なので、ぜひキリトとユージオにボッコボッコにされてほしいです」。


松岡:はい。もう皆さんは第10話を観ているということでしょうけど、本当にひどかったな、あの二人……。

島﨑:本当に最低最悪なんだよね。オベイロンみたいに、何かちょっと面白いとか、どこか好きかも?みたいな感じでネタになるならいいけど、ネタにもならない感じの最悪さというのがポイントだよね。貴族の腐敗具合を象徴しているよね。

松岡:あの二人のシンイの力の源がすでに腐っているじゃない。


島﨑:最悪だよね。“自尊心”“虚栄心”って。でもそれで強いんだから…。権力もあって周りもそれに従い、それでいて実力もある程度あって……。というか強いんだけど。

松岡:だって、主席と次席だからね。

島﨑:でも、ライオスとウンベールが、僕ら的にはオベイロンよりずっと腹が立つのは、中途半端だからなんですよ。あれだけひどいことをしているのに、彼らにとってはよくやっている遊びのひとつレベル。別にそんな本気でもないし、ちょっと腹がたったから遊んでやろうか、くらいの感じだから余計に腹が立つ。


松岡:下手したら、あの二人は自分たちが知らないところでもっと(悪いことを)やっていたかもしれないからね。そう思うと余計に腹が立って。

島﨑:この世界自体に疑問を持つよね。ティーゼやロニエがこんな状態なのに救えなくて、ライオスとウンベールの味方をする《禁忌目録》って何?アリスを救ってくれなかった《禁忌目録》って何なの?

松岡:現実世界でも、法律の抜け道を使うような人間はいるけど、ライオスとウンベールもそういう人間の類だったんだなと。

 

《禁忌目録》で縛られたユージオの葛藤

島﨑:でも、本当に第10話のことならいくらでも話せるよね。どうだった?

松岡:第10話は自分的に、いろんな意味で不安な回で。放送倫理的なところとか(笑)。

島﨑:まず、放送できているんだろうかというね。僕らは時間軸的にオンエアを観られていないので。

松岡:あの回のアフレコはヤバかったよね。憤りを隠せなかった。

島﨑:そうだねぇ。第10話は茅野さんが合流していて、僕はユージオとしてマイクの前にいるから後ろは見えないんだけど、どうやら僕(ユージオ)がライオスとウンベールと対峙している間、(収録ブースの後ろで)めちゃくちゃ禎丞が苛立っていたと、茅野さんが言っていた(笑)。

松岡:AパートのCMに入る前で、キリトはセリフがあって。やっぱり信長の演技を聞いていたんですよ。聞いていたら、音がならない範囲で右足の踵をトントンしていたらしくて(笑)。それをずっと見ていた茅野さんが、松岡くんがめっちゃキレていると。で、出番が来たら、テストだったけど、やけに低い声が出ちゃったという。

島﨑:あはは(笑)。でもユージオ的には頼もしかったよ。あの場面はキリトも冷静でいようと努めているけど、めちゃめちゃキリト自身も怒っているし、悲しんでいるから、そういう思いがぐっと入ったように聞こえたから、ユージオにとってはありがたかったし、俺もすごく頼もしかった。その後の休憩中とかテストが終わったときとか、僕が禎丞の隣にいるときもずっと憤ってくれていたけど、それが何かすごく嬉しくて「ありがとな」と言った記憶がある。怒ってくれてありがとうって。

松岡:あの回の信長のお芝居。苦悩であったり、何でこんなに動けないんだろうという、信長の息の吐き方、吸い方、アタックのかけ方を後ろからずっと見ていたけど、もう早く出たくて仕方なくて(笑)。

島﨑:あははは(笑)。

松岡:こんなにユージオ苦しんでるのに!と。

島﨑:いや、でも本当に苦しかったね。それが乗っていたと思う。

松岡:凄まじいお芝居だった。

島﨑:そう思ってもらえたのは嬉しい。あそこはユージオにとって核のひとつだと思っていて。アリスを救えなかったということ、自分は何もできなかったということを、ず~~~っと攻め続けているということがユージオの根底にあるんだよね。

多分セルカだったり、誰かに頼めば助けてくれた人やいい方向に導いてくれた人はいっぱいいたと思うし、諦めても良かったと思うんです。普通の人間だったらとっくにグレたり、投げ捨てたりしているとところを、ユージオは自分の道を変えずに、笑いもせずに一人で、自分が生きている間には終わらないであろう木こりの天職を延々と続けながら後悔している。

逃げないで向かい合っていたんだよね。ぶち破ったり、一歩を踏み出すことはできなかったかもしれないけど、そこから逃げなかったから、僕はユージオをすごく強い人間だと思う。


松岡:普通の人間だったら逃げるよ。

島﨑:そう! 逃げちゃうよね! いけないことかもしれないけど、《ギガスシダー》なんて放り出してね。

松岡:だってカーンと斧を振るたびに、あの時がフラッシュバックするんだよ。キリトもいなくなったからずっと一人で己と戦って、後悔しながら懺悔のように切り続ける。

島﨑:懺悔だよね。だって最後に残っているのがアリスの笑顔だから。でも、そこがアリスの大きな魅力だと思うんだけど、アリスって人のために行動できる女の子で、ちょっと《ダークテリトリー》を越えちゃっただけなのに、理不尽なルールでこのあと何をされるかわからない、拷問されるかもしれないし、すぐに殺されるかもしれない。

そんな状況で、アリスはユージオたちのために「大丈夫だよ」と笑顔を見せてくれたんだよ。ユージオは助けに行けないことがシステム的な理由だとわかってないから、ただ自分のことが大事で動けなかったと思っているところに、アリスは自分が泣き叫びたいのをグッとこらえて、自分のために笑顔を見せてくれた……。もう一生トラウマだよね。ちゃんと覚えてないけどキリトは助けるために動いていたというのは、どこかに残っているから、ユージオとしては最悪なんだよね。

松岡:やることなすこと、すべてにそれが付きまとうしね。

島﨑:第10話でユージオは、もちろんティーゼやロニエのこともあるし、いろんな気持ちがあるんだけど、根底には積み重ねてきたあのときのことがあったから、誰にも破れなかったシステムの壁を破れたんだよね。

松岡:最初の頃にアリスに対して言っていた、システムを逸脱するAIっていうのがユージオにも当てはまったからね。

島﨑:でも観ている皆さんはどうだったんだろうね。たぶんボッコボコにしてほしいと思ったと思うけど、実際に第10話でああいう風に見せられると、すっきりスカッととはいかないと思うんだよね。そこも本当にオベイロンと違うところだよね。アイツはちょっとスカっと感があったから(笑)。もちろん100%のすっきりではなかったけど。今回は後味も悪いし最悪なんだよね、ライオスとウンベールは。

松岡:死に方もちょっと後味が悪かったしね。

 

アリスとの再会、そしてキリトがユージオに告げた言葉の重み

島﨑:あとは最後にアリスが出てきたね。アリスなのかな?というところもあったけど。でもすごい回だったな、第10話は。

松岡:今までのほのぼの回が嘘のようにかき消えたというか。

島﨑:あと、第10話の最後のほうのキリトのセリフ。最終的にあのニュアンスになったけど、「お前は人間だ、ユージオ。俺と同じ……幾つも間違いを犯しては、その意味を探して足掻きつづける……人間なんだ」というのはグッと来たよね。


松岡:あれもテストと本番で、ニュアンスが若干違っていたんですよ。

島﨑:珍しくテストと本番で、大きめに意味が変わったよね。

松岡:テストだと、ユージオが自分もゴブリンたちと同じだと言っているところからの、キリトの「お前は人間だ」というセリフは、ユージオを助けたい感情とは若干ニュアンスは違った。お前はお前なんだ!という感じだったんです。

島﨑:100%ユージオのために言ってくれていたよね。

松岡:うん。ただ、本番のあのセリフは、キリト自身の今までのことも踏まえているんです。キリトも、《ガンゲイル・オンライン》のときに、安岐(ナツキ)さんに「自分が殺してしまった人の名前すら覚えていない、俺はそんな人間なんです」と言うシーンがあった。(※そこで安岐は、助けた人のことを思い出すように励ましてくれた)これは松岡禎丞の感じ方として捉えてほしいんですが、俺は「ユージオはよくやった!」と思った。だって、それでティーゼとロニエは貞操を守られたから。

島﨑:それでもやっぱりユージオは優しい人間だからね。そこでもう一度前を向かせてくれたのがさっきのキリトのセリフだよね。「人間だし、俺と同じ」という言葉。でも、本当に面白かったのが、テストの100%ユージオのために言ってくれた方も、自分のために言ってくれてありがとうと思ったんだけど、本番の方は、今もキリトは抗い続けているんだなというのが、すごく伝わってきたんですよね。

禎丞自身もキリト自身も少し迷いながら、ユージオに言ってあげたいんだけど、自分でも割り切れないものがあるという、どこか人間の揺らぎみたいなものが入っていたんですよ。だから本番は、キリトだって一緒なんだ、苦しかったり悲しかったり怖かったりすることを堪えた上で、ユージオのことを思って言ってくれているんだなと、感じ方が変わったんです。

キリトだって危うさがある。キリトにも揺らぎを感じたから、キリトのためにも僕も前を向かなきゃ、しっかりしなきゃ!みたいな感じになって、そこがすごくバディ感というか、相棒という感じに思えたんだよね。

だから同じセリフなのにニュアンスが違うだけで、こんなに感じ方が変わるんだなと思って面白かった。そこがキリトの魅力だよな!と。キリトは、合理的で頭がいいんだけど、どこか青いところだったり、感情的なところがあって、合理的に言ったら見捨てたほうがいいんだけど、青いところがあるから、助けたいんだよね。で、助けたいものに対して、それを達成するためにすごく合理的だったり、頭が良かったりする。そこがカッコいいよね! そんな感じでめちゃくちゃ話し過ぎてしまった(笑)。第10話は無理だよ! いくらでも話せちゃうから……。

松岡:なのに、俺たちまだ観てないんだよ(笑)!

島﨑:観てすらいないのにこの感じですから、観ちゃったらすごいだろうね。

[文/塚越淳一]

作品情報

【イントロダクション】
「ここは……どこだ……?」

気づけばキリトは、なぜか壮大なファンタジーテイストの仮想世界にフルダイブしていた。ログイン直前の記憶があやふやなまま、手がかりを求めて辺りを彷徨う。

そして、漆黒の巨木《ギガスシダー》のもとにたどり着いた彼は、一人の少年と出会う。

「僕の名前はユージオ。よろしく、キリト君」

少年は、仮想世界の住人――《NPC》にもかかわらず、人間と同じ《感情の豊かさ》を持ち合わせていた。

ユージオと親交を深めながら、この世界からのログアウトを模索するキリト。そんな彼の脳裏に、ある記憶がよみがえる。それは、幼少期のキリトとユージオが野山を駆け回る想い出――本来、あるはずのない記憶。

更にその想い出には、ユージオともう一人、金色の髪を持つ少女の姿があった。名前は、アリス。絶対に忘れてはいけないはずの、大切な名前――。

【放送情報】
TOKYO MX:10月6日より 毎週土曜 24:00~
とちぎテレビ:10月6日より 毎週土曜 24:00~
群馬テレビ:10月6日より 毎週土曜 24:00~
BS11:10月6日より 毎週土曜 24:00~
MBS:10月6日より 毎週土曜 27:08~
テレビ愛知:10月8日より 毎週月曜 26:05~

[配信情報]
AbemaTV:10月6日より 毎週土曜 24:00~(地上波同時配信)
*放送開始日・放送日時は編成の都合等により変更となる場合がございます。予めご了承ください。

【STAFF】
原作:川原礫(「電撃文庫」刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:小野学
キャラクターデザイン:足立慎吾 鈴木豪 西口智也
助監督:佐久間貴史
総作画監督:鈴木豪 西口智也
プロップデザイン:早川麻美 伊藤公規
モンスターデザイン:河野敏弥
アクション作画監督:菅野芳弘 竹内哲也
美術監督:小川友佳子 渡辺佳人
美術設定:森岡賢一 谷内優穂
色彩設計:中野尚美
撮影監督:脇顯太朗 林賢太
モーショングラフィックス:大城丈宗
CG監督:雲藤隆太
編集:近藤勇二
音響監督:岩浪美和
効果:小山恭正
音響制作:ソニルード
音楽:梶浦由記
プロデュース:EGG FIRM ストレートエッジ
制作:A-1 Pictures
製作:SAO-A Project

【CAST】
キリト(桐ヶ谷和人):松岡禎丞
アスナ(結城明日奈):戸松遥
アリス:茅野愛衣
ユージオ:島﨑信長

【主題歌】
オープニングテーマ:LiSA「ADAMAS」
エンディングテーマ:藍井エイル「アイリス」

公式HP
公式ツイッターアカウント(@sao_anime)

(C)2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
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