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大正ミステリーを描いた舞台『怜々蒐集譚』ゲネプロをレポート!

溝口琢矢さん、藤原祐規さんらが出演! 大正浪漫の雰囲気とストーリー展開に魅了される舞台『怜々蒐集譚』ゲネプロをレポート

2019年2月16日(土)〜2月26日(火)まで、『怜々蒐集譚(れいれいしゅうしゅうたん)』(著:石原理)を原作としたキノドラマ(舞台)とキネマ(映画)が上演中です。

本作は、人の“想い”が紡ぐ謎に、人気挿絵師の出泉、新人編集者の南、歌舞伎役者の葛葉の3人が迫る大正ロマンミステリー。

事前に撮影されたエピソード映像“キネマ(映画)”と、同じキャストが生で演じる“キノドラマ(舞台)”の連動興行ということで、別々のエピソードが違う表現で楽しめるという仕組みになっています。

そこで本稿では、2月16日(土)に行われたゲネプロの模様をお届け。大正浪漫という魅力的な時代の中で生きる人々の想い、その想いが生み出した“謎”に迫る出泉・南・葛葉の3人のやり取りなど、『怜々蒐集譚』の世界をぜひご堪能ください。

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妄想が膨らむストーリー展開と魅了される大正浪漫

魅惑的で洗練された美しいセットに大正浪漫の空気を感じつつ、舞台は、新人編集者・南(演:溝口琢矢)の語りから始まります。

今回の舞台で描かれるストーリーは、原作シリーズ1作目の「其は怜々の雪に舞い」と、「狐火の女」。雪山で遭難した才能あふれる小説家・烏鷺公外の未発表原稿が、同業者で親しい仲であった乙貝紅葉(演:相馬圭祐)の家で見つかります。

烏鷺と乙貝は昔から親しく、何でも語り合える関係でしたが、乙貝の婚約者を烏鷺が奪ったことでその関係が崩れてしまいました。


▲乙貝(演:相馬圭祐)
 
一方、帝都の街では赤い焔(ほのお)をまとったような女が人をかどわかすという噂で持ちきりに。

烏鷺と乙貝の想いが交差する「其は怜々の雪に舞い」、赤い焔をまとった女の想いがあふれる「狐火の女」。カフェ<書簡集>に集まった出泉・南・葛葉の3人が、それぞれの謎に迫ります。

ストーリーが進むたびに、自由奔放で頭がキレる出泉(演:藤原祐規)の言い回しと雰囲気に引き込まれるかのよう。そんな出泉に振り回される、義理堅くも純粋な南とのやり取りには、クスリとしてしまうシーンもありました。


▲(左)出泉(右)葛葉
 

▲カフェ<書簡集>で烏鷺公美子と話をする南と出泉
 
女形として有名な歌舞伎役者の葛葉(演:味方良介)は、序盤から妖艶な雰囲気を醸し出します。南と初めて会うシーンでは、ウブな南をからかうお茶目な一面も。

葛葉は、幽霊など“そういうものが見える質(たち)”ということもあり、怪奇じみた噂話を呼び寄せる出泉の右腕的存在。言葉は少なくても、お互いに理解し合っている関係が、雰囲気から伝わってくるようです。

カフェ<書簡集>で南、葛葉と話をした後、出泉は南を引き連れて、赤い焔をまとった女の正体を確かめるため、小田原にいる医者(演:岸博之)のもとを訪れます。

医者が赤い焔をまとった女について話をしている間、南はその女の被害に逢い心中未遂事件を起こした来島(演:鯨井康介)を家を訪れ、正体不明な女の話を伺っていました。

そこへ、医者との話を終えた出泉も合流します。


▲(左)来島(右)出泉
 
一体、赤い焔をまとった女の正体とは……。次から次へと変わる場面、ストーリー展開に緊張感が漂い、さまざまな妄想が掻き立てられます。


▲(左)南(右)吉乃


▲(左)来島(右)医者

演者の一挙一動から伝わる登場人物たちの“想い”

また、女の正体、謎を突き止めようとする中、執筆をお休みしている作家の乙貝と出会う出泉と南。烏鷺が失踪してから筆を取らない乙貝ですが、家から次々と烏鷺の未発表原稿が見つかります。

婚約者を奪われた乙貝は、烏鷺のことはどうでもいいと無関心な素ぶりを見せますが、本音はそうでもない様子。そんな乙貝に、南は疑問を感じ、出泉は何かを悟ったようで……。


▲乙貝と話をする南と出泉
 
“烏鷺の未発表原稿は乙貝が書いたものでは”と予測する南ですが、インキが新しいことに気づいた出泉は「愛とは憎悪」という意味深な言葉を口にします。

原稿の謎を読み解こうとする2人をそばに、烏鷺の影に苦しむ乙貝。乙貝の身に起こる謎の現象を解決するため、出泉は葛葉を呼び寄せることに。

そこで、葛葉が注目したのは、乙貝の家の庭に植えられていた“椿”。その椿には、乙貝に対する烏鷺の“ある想い”が強く込められていました。

そして、出泉は乙貝が烏鷺への想いを断ち切ることができるように、烏鷺の葬式へ参加することを勧めます。

元婚約者で烏鷺の妻である公美子(演:瀬戸早妃)ら関係者たちが集まる中、乙貝の家で見つかった烏鷺の未発表原稿の正体や、公美子の本音、そして、烏鷺の想いを受け取った乙貝の気持ち……すべての謎が明らかに。

複雑に絡み合った糸がスルリと解け始めるような、不思議な感覚に陥るでしょう。また、無事に謎を解決した出泉・南・葛葉が桜の木の下で談笑している最後のシーンでは、穏やかな雰囲気が流れ、3人の関係性が微笑ましくなります。

“人の想い”がどれだけ強いものなのか、登場人物1人1人が丁寧に描かれつつ、細やかな演出になっている舞台『怜々蒐集譚』。

演者たちの細かい表情や仕草から、登場人物たちの“想い”がダイレクトに伝わってきました。

大正ミステリーという原作そのままの雰囲気を楽しむことができるので、原作ファンの方はもちろん、ご存知ない方でも『怜々蒐集譚』の世界観に魅了され目が離せなくなることでしょう。

 
ぜひ、その臨場感を生の舞台で味わってほしいのですが、キネマ(映画)+キノドラマ(舞台)の2枚組という形でDVD化が決定しています。

何度も『怜々蒐集譚』の映画と舞台が楽しめるようになっているので、こちらもぜひチェックしてください。

[取材・文/福室美綺]

DVD情報

キネマ 4,200円/キネマ・キノドラマ二枚組 9,800円(税込)
※キネマ、キノドラマそれぞれに特典映像収録
公演期間中、劇場で予約受付中(送料無料)
期間限定Zuオンラインショップ 予約受付中(2月16日〜4月30日)
2019年5月下旬発送予定

Zu々プロデュース公演『怜々蒐集譚』概要

<公演期間>
2019年2月16日(土)~2019年2月26日(火)

<会場>
新国立劇場 小劇場
〒151-0071 東京都渋谷区本町1丁目1番1号

<出演者>
南(みなみ):溝口琢矢
出泉七朗(いでいずみななお):藤原祐規
幽興斎葛葉(ゆうきょうさいくずは):味方良介
乙貝紅葉 (おとがいこうよう):相馬圭祐
烏鷺公外(うろこうがい):相葉裕樹(※キノドラマは、声のみ)
来島(くるしま):鯨井康介 他

<企画>
Zu々

公式サイト
公式Twitter

 

福岡出身。触れた作品にすぐハマる、ちょろさNo.1ライター。好きな作品は『Free!』『NO.6』『十二国記』『ギヴン』『新世界より』など。好きな声優さんは保志総一朗さんと坂本真綾さん。ハッピーエンドよりも意義のあるトゥルーエンドや両片想いが大好物な関係性オタクで、主にイベントレポートやインタビューを担当しています。最近はVTuberがマイブーム。

この記事をかいた人

福室美綺
福岡出身。触れた作品にすぐハマる、ちょろさNo.1ライター。親友であり敵のような複雑な関係性が大好物です。

担当記事

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