この記事をかいた人
- 福室美綺
- 福岡出身。触れた作品にすぐハマる、ちょろさNo.1ライター。親友であり敵のような複雑な関係性が大好物です。
——「JOY」の作詞はいかがでしたか?
寺島:今回の作詞はひどいです(笑)
——ひどいとは?(笑)
寺島:だいぶ遊んじゃいました。分かりやすい言葉しか使っていません。
——歌詞カードを見ていると最後の顔文字(^q^)が寺島さんらしくて笑っちゃいました。
寺島:この顔文字はTwitterで1番よく使うんです。何となく書いていたら生かせる、使っていいということだったので「なら使おう!」と。
——「寝坊して 遅刻したよ(^q^)」というオチが最高ですね。
寺島:実際に遅刻していたんでしょうね……結構遅刻することが多いから……(笑)
——まさかの実体験ですか(笑)
寺島:本当にそうですね。何もカッコつけず、飾らずにそのままの姿が歌詞に表れていますし、こういう曲が1個あってもいいかな、と思うんです。
作詞家さんにお願いするとちゃんとすごくカッコいい歌詞を書いてくださるので、素人が書いたようなカッコつけない歌詞があってもいいのかな、と(笑)
でも、改めて見ると、何でこんな歌詞書いちゃったのかな……
一同:(笑)
——歌詞はスラスラ書けたほうですか?
寺島:それがまったく書けなかったんです。3~4日後に収録なのに、全然書けなくて。
1枚目のアルバムでも「actor(s)」や「RPG」の作詞を担当しましたが、そのときは自分が書きたい歌詞だったのですぐ思いつきました。
でも、今回はライブを想定したアルバム制作というテーマが決まっていて、今までテーマが決まった上で作詞を書いたことがなかったんです。
さらに、当時の自分は真面目な思考が強くて、ライブで明るい気持ちになれるような歌詞よりも真面目で堅めの歌詞を書く気満々でした(笑)
一同:(笑)
寺島:でも、2枚目のアルバムは最初にお話しした通り、ライブを盛り上げるための曲というテーマがあったので、真面目とは真逆の軽い歌詞がなかなか思いつかなかったんです。
仕事をしながら休憩時間に書こうと思っていても1文字も書けなくて、家に帰ってきてそのまま寝ちゃってどうしよう……と(笑)
何も歌詞が降りてこないので、とりあえずパチンコに行かせていただきました(笑)
一同:(笑)
寺島:有名なアーティストさんで何も出てこないスランプのときこそ気分転換で自分が好きなことをやっていたらフッと降りてくる、というインタビューを聞いたりするので、僕も真似してみよう!と思ったんです。
家の中にこもって考えても良い歌詞が生まれそうになかったので、パチンコを打ちつつもスマホで音楽を聴きながら歌詞を書いていました(笑)
——すごく器用ですね(笑)
寺島:(笑)当たったら1回やめてを繰り返していたんですけど、そのとき結構当たったんです。「やった!勝った!」と晴れやかな気持ちになりましたが、その後、突然現実が襲ってきて。
何やってるんだろう?、明後日歌わなければならないのに何でパチンコに行ってしまったんだろうと自己嫌悪に陥ったんです。
でも、打ちながら歌詞を結構書いていたので、後はできた歌詞を見て「俺は今何をやっているんだろう」という自己嫌悪感をちょっと足して、最終的にはみんなに許してほしいから、“最後に良いことを言って終わらせれば許してもらえる”という気持ちでちょっと良いことを付け足して……
なので、本当にずるいというかロクでもない歌詞なんです(笑)
——面白すぎます(笑)
寺島:あはははは(笑)
歌詞を見てみると、最初は本当にそのときの状況を書いているだけで。「777(スリーセブン)今日は 揃えてみよう」、「『やるべき事』は部屋の隅に追いやれ」「やりたいことだけ やれば良いさ」はもう開き直りですよね(笑)
1番の歌詞はパチンコしながら開き直っている自分の状況を書いていて、2番の歌詞はもうちょっと攻めた感じだったんです。
みんな努力したとか言っているけどただそう答えているだけでしょ、実際はダラダラしているんでしょみたいなことを書いていたんですけど、それはちょっとダメだなと思って(笑)
家に帰ってきた途端、一気に不安な気持ちが押し寄せてきたので、2番の「散々ダラついて 布団の中で怖くなる」というそのときの状況を歌詞にしました(笑)
一同:(笑)
寺島:でもそれはみんな経験していることで、やらなきゃいけないのに結局遊んでしまったことがあると思うんです。
だから、「君だって そうやって 夜を過ごすのかい?」から「大丈夫、なんとかなるよ!」という歌詞につなげました。
そして、そろそろ本気を出そう!ということで、これまで散々グダグダなことを書いたから最後は良い感じの歌詞を書いて、みんなを納得させないと!と(笑)
とにかくみんなに許してもらわないといけないので(笑)
——(笑)
寺島:本当はこういう気持ちなんだよ、根底にはこういう気持ちがあるんだよと、最後は免罪符のような歌詞になりました。
スタッフ:結果、最後は遅刻しているけどね(笑)
一同:(笑)
寺島:そこでちょっと小狡い感じの自分らしさを足したので、本当にひどい歌詞なんです(笑) 本当にありのままで何も飾っていません。
——寺島さんの自分を作ろうとしない姿勢が素敵です。最後になりますが、「JOY source」というアルバム名に込められている意味を教えてください。
寺島:1枚目のアルバムは自分が三十路になるということで「29+1 -MISo-(ミソ)」と名付けて、調味料の味噌とも関連づけています。
2枚目以降のアルバムも調味料シリーズにしようという話をしていたので、醤油や塩などいろいろ考えていましたが全部パッとしなくて。
1枚目は三十路だからミソという意味がありましたが、2枚目を醤油にしても調味料としてのつながりしかないのでどうしよう……となったときに醤油の英語名“ソイソース”が浮かんだんです。
1度、「JOY」はどうですか?という話になりましたが、世の中にありふれているのでかぶっちゃうという話になって、それならソイソースとJOYを合わせればいいんじゃないかと。
調味料シリーズも維持でき、JOYも生かすことができ、ほかと被らない……source(ソース)は情報源という意味にしちゃえば“楽しさの源”という意味にもなってすべてが収るので即決の満場一致で決まりました。
——ありがとうございました! 寺島さんのありのままが詰まった「JOY source」ぜひ手に取ってお確かめください!
[インタビュー・文/福室美綺 写真/石橋悠]
2019年10月23日発売
●初回限定盤(CD+DVD)
NEZA-90030/31
¥2,500‐(+税)
DVD:「スカーレット」ミュージックビデオ ミュージックビデオ撮影メイキング映像 収録
●通常盤(CD)
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¥2,000- (+税)
収録曲:「UP↑DAYS!」「スカーレット」含む新曲全6曲
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福岡出身。触れた作品にすぐハマる、ちょろさNo.1ライター。好きな作品は『Free!』『NO.6』『十二国記』『ギヴン』『新世界より』など。好きな声優さんは保志総一朗さんと坂本真綾さん。ハッピーエンドよりも意義のあるトゥルーエンドや両片想いが大好物な関係性オタクで、主にイベントレポートやインタビューを担当しています。最近はVTuberがマイブーム。