アニメ映画『ぼくらの7日間戦争』鈴木達央さんインタビュー|自分の中の檻を取っ払うエンターテインメント
“俺ら”の世代へのメッセージ
――『ぼくらの7日間戦争』は主人公たちと同世代の方々だけでなく、大人になった“俺ら”の世代にも響く大作に仕上っていると思います。最後に“俺ら”にメッセージをいただいてもよろしいでしょうか。
鈴木:そうだな……。何が一番自分たちを縛るのかというと、理論武装なんですよ。自分たちを縛っているのって、理論で何でも論破できてしまうのが本当に怖いと思っていて。
論破できるって人のことを拒絶するのと変わりがないんです。「なるほど」って思える。そんな気持ちを持ってこのフィルムを見て欲しい。
何でこんなことをするんだろう。何でこんな意味のないことをするんだろう。何でこんな不確定なことをしようとするんだろう。
見てる時にこう感じてしまうかもしれません。でも、ひょっとすると自分の度量みたいなものがちょっとだけ狭くなってることを自覚する時間なのかもしれないなって。
自分が生きている中で感じる小さなストレス。それは感じなくてもいいストレスを自分から生み出しているんじゃないか。そんなことを俺はこのフィルムを見ていて気づきました。個人的には、ですけど。
(少し間をおいて)子どものころ「○組の誰々が可愛いよな?」とか階段を降りながら話したりしたなって。そんな小さなことを楽しめていた自分がいたんだよね。その小さいことを「失礼だから止めなよ」って言われると、何も面白くない。
でも、昔できたことが今できないのは、時代性もあるのでしょうがないところもあります。ただ、その枠を取り払うのがエンターテインメントの役目だと俺は思っています。
『ぼくらの7日間戦争』というエンターテイメントに触れてもらうことで、皆さんが持っているちょっとだけ狭くなったり、自分で窮屈に感じている枠線や檻みたいなものが外せる作品なんじゃないかなって思いますね。
[文・川野優希]
アニメ映画『ぼくらの7日間戦争』作品情報
ストーリー
いつもひとりで本ばかり読んでいる、鈴原守。片思いの相手は、お隣に住む幼馴染の千代野綾。
しかし綾は、一週間後に議員である父親の都合で東京へ引っ越すことを迫られていた。
「せめて、17歳の誕生日は、この街で迎えたかったな」。
やり場のない綾の本音を聞き、守は思い切って告げる。
「逃げましょう……っ!」。
綾の親友・山咲香織をはじめ、明るく人気者の緒形壮馬、ノリのいい阿久津紗希、秀才の本庄博人までもがこの逃避行に加わり、駆け落ちを夢見ていた守は拍子抜けするが、特別な夏の始まりには違いなかった。
もはや観光施設にも使われていない古い石炭工場を秘密基地に、ただ7日間、大人から隠れるだけのバースデー・キャンプ。それは、少年たちの精一杯の反抗。
だがその夜、工場に潜んでいたタイ人の子供・マレットと出会ったことで、事態は想像もしなかった方向へ向かう。不法滞在で入国管理局に捕らわれかけていた所を間一髪助けると、はぐれた家族を探しているのだと、守たちに打ち明けた――。
2日目の朝、今度は武装した入国管理局の職員が、マレットを連れ去りにハンマーを振りかぶり工場へ突入してきた。守は、仲間たちの協力のもと、敵の撃退作戦を決行する!
スタッフ
原作:宗田理『ぼくらの七日間戦争』(角川つばさ文庫・角川文庫/KADOKAWA 刊)
監督:村野佑太
脚本:大河内一楼
キャラクター原案:けーしん
キャラクターデザイン・総作画監督:清水洋
総作画監督:西岡夕樹
場面設計:関根昌之
美術監督:栗林大貴
色彩設計:広瀬いづみ
撮影監督:木村俊也
音響監督:菊田浩巳
音楽:市川淳
主題歌:「決戦前夜」「おまじない」「スピリット」Sano ibuki(ユニバーサル ミュージック/EMI Records)
制作:亜細亜堂
配給:ギャガ、KADOKAWA
製作:ぼくらの7日間戦争製作委員会
キャスト
鈴原守:北村匠海
千代野綾:芳根京子
中山ひとみ:宮沢りえ(特別出演)
山咲香織:潘めぐみ
緒形壮馬:鈴木達央
本庄博人:大塚剛央
阿久津紗希:道井悠
マレット:小市眞琴
本多政彦:櫻井孝宏