この記事をかいた人
- 塚越淳一
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毎日1曲ずつ名曲おすすめアニソンを紹介する連載企画「塚越淳一のアニソントラベラー」。連載第44回は、アニメ映画『空の青さを知る人よ』より、あいみょんさんの「空の青さを知る人よ」です。
超平和バスターズの最新映画ということでも話題になった『空の青さを知る人よ』。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』に続く、秩父三部作のラストでもあります。
あの青春感というか、若者がもがきながらも答えを見つけていく姿って、いつ見てもいいものです。そして、そんな作品にあいみょんさんの「空の青さを知る人よ」がビタッ! とハマっていたように思います。
最近、Blu-rayを見て感動したという塚越さんの筆もノリノリです!
映画『空の青さを知る人よ』の主題歌。CMで流れていたこともあって、サビのメロディーの良さが心に残っていたのだが、歌詞まではあまり意識していなかった。なので歌詞を読んでみたとき、そこまで作品の内容に寄り添っているわけではないような気がした。
でもこれは、ミュージシャンを目指して上京した金室慎之介(CV.吉沢亮)のデビュー曲という設定なので、彼が自らの思いを混ぜながら伝えたいことを伝える歌詞を書いているんだと考えると、すごくアーティスト感のある曲とも言える。
ただそれが流れるのは映画のエンディングではなく、途中の『となりのトトロ』的な、風になって七国山病院まで行く的なシーン。これがとてつもなく感動的だった。
映像と音楽のリンクが素晴らしいと名シーンになるので、ここでこの曲を流したことは大きい。あのサビの解放感が空を駆けるシーンにぴったりだ。
しかもここでは物語的に大事な台詞がバンバン入ってくるので、歌詞はそこまで頭に入ってこないのだが、最後の〈届け〉だけはものすごく印象的に聴こえてくる。何が“届け”なのかは、このシーンを見て感情移入した人の想いにしてみたらどうだろう。何度でも楽しめるはずだ。
まだ子供だったからだが、姉であるあかねの恋を応援できなかった主人公のあおいが、今度はしんの(13年前の記憶を持ったまま現れた慎之介)と慎之介の恋を応援する。
この選択は、自分の中にあるいろんな感情を受け入れた上での選択だが、過去の自分の後悔から前に進んだことを表しているし、両親が亡くなり、まだ子供だったあおいを育てるため、しんのと一緒に夢を追いかける選択をしなかったあかねが卒業アルバムで「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」と記した意味も深い。
妹が成長するまで本当に一生懸命だったという姉の愛は、その選択だってとても尊いものなのだというのを伝えてくれている。逆に都会に出ていきもがき苦しんだ慎之介も間違えてはいない。なので、いろんな人の想いを感じて、この“届け”の叫びを聴いてほしい。
この作品は、“空の青さを知る人”に対する、それぞれ想いに感動する映画なので、一度見ただけの人は、発売中のBlu-rayを買って何度でも見返してほしい。名作なので!!
で、エンディングテーマになっている「葵」は、こちらは映画のために描き下ろした、まさにといった歌詞であり、あいみょんのフォークな部分がとてもにじみ出ているので、セットで聴くとより良いと思う。天晴!
『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ