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- 塚越淳一
- アニメイトタイムズでいっぱい書いています。
1曲ずつ名曲おすすめアニソンを紹介する連載企画「塚越淳一のアニソントラベラー」。現在、1年ずつ、1990年からアニソンの歴史を追っていく企画を展開中です。
この連載を追えば、アニソンの歴史はこうやって作られていった、と少しでもわかることでしょう。
連載第86回は、2012年にアニソンタイムトラベル。TVアニメ『謎の彼女X』より、吉谷彩子さんの「恋のオーケストラ」です。
今回は少しニッチな作品。しかし、放送当時の盛り上がりは相当でした。よだれがこんなにもセクシーだったなんて……!
この作品を選ぶ塚越さんも好き者よのう……!
2012年も素晴らしいアニメがたくさんあった……。良い曲もたくさんある。だがそんな僕の目に飛び込んできた『謎の彼女X』というタイトル。
いや、もはや代表するとかではなく、ただただ個人的な趣味でしょうと言われてしまえばそれまでというくらい、ニッチな作品だ。
だって、謎の少女、卜部美琴が転校してきて、ふとしたきっかけで卜部の机に残っていたよだれを舐めた椿(男の子/CV:入野自由)は、その晩、卜部と踊る夢を見る……って、何のこっちゃ! という話でしょう。
しかも卜部のキャラクター設定に、「趣味のハサミは、あらゆるものを切り刻む。」と書いてあったりするのだから、ますます分からなくなる(ハサミを携帯している場所にも注目!)。
で、このアニメの一番の注目ポイントを挙げるとするならば、卜部の声だと思っている。よだれ関係なく好きになっちゃうくらい魅力的な声で、そこでこの作品にハマってしまった。
そしてその声を担当している吉谷彩子は、実は声優ではなく女優で、おそらくみなさんが一番よく知っているのが『ビズリーチ』のCMだろう。
あのCMの彼女がアニメのオープニングとエンディングテーマを歌っていたなんていうのは、世の中ではほとんど知られていないのかもしれない。そう思うと、何か少し得した気持ちになる。
オープニングテーマ「恋のオーケストラ」の作詞は山田稔明さん、作曲・編曲:北川勝利さん(エンディングテーマ「放課後の約束」も同じ)。「恋のオーケストラ」は弦一徹ストリングスによる弦楽器の心地よさと、フルサイズだと後半は軽快なピアノやギターソロなど、楽器的な聴きどころも満載なのだが、何と言ってもボーカルだろう。
キャラソンではないのだが、卜部の思いが詰まった歌唱をしているし、吉谷がしゃべっている時の声質の良さが歌でもそのまま活かされている。声に癒される歌といった感じだろうか。
逆にエンディングの「放課後の約束」はトランペットやトロンボーンなどの管楽器が活躍する楽曲なのだが、こちらの吉谷のナチュラルで純粋なボーカルに聴き惚れてしまう。
当時はCD化もされておらず、Blu−rayを買うしか聴く手段がなかったが、今は配信でも購入可能なので、ぜひこの名曲を聴いてみてほしい。天晴!
『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ