この記事をかいた人
- 阿部裕華
- アニメ・音楽・映画・漫画・商業BLを愛するインタビューライター
阿部:いかがでしたか?
石橋:勉強になりました。本当にありがとうございました。エロい作品が多いというのは「やっぱりそうなんだ」と思う反面、エロくない作品もあるのが「なるほどな」と。
意外と入りやすいジャンルではあるけど極めることは決してできなくて、でもみんな極めようと切磋琢磨している感じもする。すごく高尚な趣味だと思いました。考えを改めようと思います。
阿部:BLを好きな方たちは、それぞれ違う角度から好きのアプローチをしているので、一括りにできない部分はありますね。
石橋:とても細分化されているジャンルですよね。音楽に近いかな。競い合ってはいないけど、細分化されたジャンルの中で今自分が楽しいと思っているものを追求している。素敵な空間ですね。
あとは、エロというハードルをどう超えていくかが初心者の読み手に問われているかもしれません。
阿部:エロを作品の盛り上がりの一つとして楽しめたらいいのですが、どうしても人それぞれ感じ方は変わるので、無理にエロい作品を読まなくてもいいと思います。
先ほど挙げた作品のほとんどがランキング上位に入っていますけど、エロはなくストーリー重視です。
最近、いろいろなコンテンツが増えてきたからこそ、エロくない作品も増えてくるかもしれないなと個人的に思っています。
石橋:それはありそう。一方で、やっぱりエロがあるものとして見る楽しみ方もある。日本はエロを秘匿すべきものとして見ることが多いけど、BLはそこに一つ風穴を開けてくれるような期待もあります。
公共の場で読むとかではないけど、エンタメとしてエロに寛容になれそうなジャンルだと思いました。
BLの世界に足を運んでみる人が増えてくれたらいいな。
阿部:BLの世界に入りづらいと思っている人にとって、少しでも入りやすさを感じてもらえるとうれしいですね!
では石橋さん! 宿題として今回オススメした4作品の感想をこの原稿の最後に書いてくださいね!
石橋:宿題だ! じゃあ楽しんで読んでみます。いやぁドキドキする……!
阿部:ふふふ。楽しみにしてます!
ということで、ここからは石橋がそれぞれの作品の感想を綴っていきます。少しでもこれからBL作品に触れようと思っている方の一助となれば幸いです。
ちなみにここの原稿は阿部さんにも掲載まで見せていないので、宿題というかテストのような気持ちです。
それでは、最後に感想文をお楽しみください。
自分で買ったはじめてのBLです。ドキドキしながら(エロがないって言われたけど、ちょっと身構えてしまう)ページを開いてみると、読み終えるまであっという間でした。
出会いが人を変えます。その出会いは十人十色ですが、主人公の幸紀が出会ったのは人でもモノでもなく“天使”でした。
そんなぶっ飛んだ冒頭にワクワクしますが、描かれるのは質素な貧乏暮らし。無職の色気もクソもない男と美少年の天使が繰り広げる小さな世界。
そんな二人だからこそ、そこに生まれる大きな愛に心動かされます。
本書の帯にある「あなたは、この関係性をなんと名付けますか?」というキャッチコピーに本作の全てが集約されているように感じました。
人は誰しも出会いを求めています。その出会いをどうするのかは、自分次第なのです。
描かれている線の細さも相まって、握れば潰れてしまいそうなほど儚い印象がありました。
しかし、その印象とは裏腹に、クスッと笑える描写もあるし、終始メインの二人がイチャイチャしてるし、思春期ならではの恥じらいがあるしで、「おいおい若(わけ)ーな、おい!」と思いながらニヤニヤして読んでしまいました。
この『同級生』で気づいたのですが、BLは一冊で完結するものが多いので、展開が早い早い!
すぐにあんなことやこんなことになってしまうので、「え!?」「なんで!?」「どうして!?」と思いながら読んでいたら一瞬で一冊が終わっていました。
僕が想像していたBL像と近いことや、他の3冊に比べるとエロに一番近いこともあり、初心者ながら一番最初に触れるBL作品としてもおすすめです。
ダンスはセックスよりも気持ちいいらしい。『10DANCE』ではそんなダンスに魅了された男たちの姿が描かれています。
阿部さんが言っていたように、たしかになんかエロい……。しばらく眺めていたのですが、体の描き方がエロいことに気づきました。
性を超えるダンスという肉体的なつながりとダンスを通した精神的なつながり。そのふたつが複雑に絡み合い、心技体が三位一体となっていきます。
主人公たちが大人だからこそのセクシーさや気難しさもあって、「ああ〜なんでそんなことになっちゃうの!」という展開が度々訪れます。しかし、ハードルが多いからこそ、その後の展開が盛り上がるのです。
まだまだ連載中ということもあって、長く二人の関係を楽しみたい方にオススメです!
漂う空気感がとっても素敵な作品です。映画館でのラブロマンスなんていいじゃないですか。
映画館だけで出会う、名前も知らないふたりの関係性は、何と名付けたら良いのか……。
映画の内容は覚えていない。でも、あいつの話した内容は覚えている。あいつに会うために向かう映画館。
「なんか気になる」からの「好き、かも……?」に行くまでの流れが不器用で可愛らしい作品です。自分の気持ちに素直になることって大事だなと思わされました。
社会人と大学生という生きる環境も違うふたりが映画館という共通項によって生み出す化学反応は、ピュアピュアでほっこりすること間違いなしです。
[文/阿部裕華]
アニメ・音楽・映画・漫画・商業BLを愛するインタビューライター。Webメディアのディレクター・編集を経て、フリーライターとしてエンタメ・ビジネス領域で活動。共著「BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?」発売中。