『映画 ギヴン』中澤まさともさん、江口拓也さん、浅沼晋太郎さんインタビュー|3人が語る“替えのきかない相手を好きになること”とは?
恋というものはもっと柔らかく、甘やかで、優しいものだと思っていた——
好きで好きでたまらない、近くにいたい……でも、苦しい。
8月22日(土)より公開となった『映画 ギヴン』では、そんな苦くて熱い恋に胸が締めつけられるに違いない。
2019年7〜9月まで放送されたTVアニメでは、上ノ山立夏と佐藤真冬の高校生メンバーの恋愛模様が描かれたが、今回は大人メンバーである中山春樹・梶 秋彦・村田雨月の3人の切ない恋を描く。
そこで、今回は中山春樹役の中澤まさともさん、梶 秋彦役の江口拓也さん、村田雨月役の浅沼晋太郎さんにインタビューを行った。
替えのきかない相手を好きになる“大人な恋愛”に対して、キャストの3人が感じたこととは……?
演じすぎないようにした雨月というキャラクター
――まずは、脚本を読まれての感想や、キャラクターの新しい魅力についてお聞かせください。
村田雨月役・浅沼晋太郎さん(以下、浅沼):TVアニメのほうで雨月はあまり出ていませんでしたが、少なめの登場ながらも要所に彼がどんな人間なのか垣間見えるシーンがありました。
雨月は天才だからこそ音楽以外のものに対して無頓着だったり、“この人が言うんだからしょうがないな”と思わせるような甘え方をしたりします。口では辛辣なことを言ったりしますけど、心の中ではすごく認めていたりも。
TVアニメでは真冬にシンパシーを感じて興味を持つするところが描かれていましたが、今回の映画の脚本を読んだときは、より真冬の魅力に惹かれている雨月を感じました。
雨月が真冬と出会い、真冬には素直な気持ちで接する、絶対に秋彦に言わないような素直な気持ちを真冬にこぼすあたりが、天才同士無意識に惹かれあったところからさらに一歩歩み寄ったような気がするんです。
2人が似ているからこそ、ほかの人には見せない一面がつい出てしまう。真冬って、人の気持ちを素直にさせる不思議な力を持っているのかな、と改めて感じました。
――今回は雨月を交えた3人の切ない恋が描かれますが、『ギウン』に対する作品の印象はいかがでしたか?
浅沼: TVシリーズの時から感情の細かい部分をとても丁寧に描く作品だな、と感じていました。僕自身BL作品の出演が初めてということもあり、演じ方についてはすごく考えました。
――特に、雨月は天才ならではの繊細な心と精神を持っているので、演技の面でもすごく気をつかわれたのではないかと思います。
浅沼:そうですね。演じすぎないように、ということに気をつけました。繊細に描かれているからこそ、演じすぎてしまうとその細やかさがわざとらしくなってしまうのでは、と。
――続いて中澤さんお願いします。
中山春樹役・中澤まさともさん(以下、中澤):僕が演じさせていただいた春樹は、TVアニメでは秋彦と一緒に高校生組を支える側として、秋彦とは違う視点で、バンドがうまくいくためにどうしたら良いのか考えながらやっていました。
秋彦は起爆剤を使ってアクションを起こさせて、そこから良いものにしていく感じでしたが、春樹の場合は穏やかに、なるべくみんなが自由にやれるように気をつかいながら振る舞っているところがあります。
そんな2人の大人ならではの対応、対処の仕方、考え方がありましたが、TVアニメで「冬のはなし」のライブを経験し、大人組はみんな影響を受けて変化があったと思いますし、春樹は自分の寂しい気持ちをすごく感じるようになってしまいました。
さらに、最初、ギターの弾き方もまったく分からなかった真冬が音楽の才能を開花させてどんどん吸収していく姿を見て、自分がものすごく何でもない凡人というコンプレックスを持ってしまって。
これまで水面下にあったものが顔を出してきたというところで、春樹もそういう風に感じるところがあったんだな、と垣間見えたところがありました。
春樹は今まで、秋彦への想いを一生懸命出さないように隠していましたが……といってもバレバレだったんですけど(笑)。
一同:(笑)。
中澤:そういう意味では、言葉ではない部分で気持ちは伝わってしまうところもありますし、春樹と秋彦の関係だけじゃなく秋彦と雨月の関係でも同じことが言えるんじゃないかな、と思います。
言葉にしなくても伝わるものもありますし、言葉で言って初めて伝わることもある。その部分では、映画の脚本を読んですごく感じたところです。
――江口さんは脚本を読まれていかがでしたか?
梶 秋彦役・江口拓也さん(以下、江口):大人メンバーの気持ちが加速して心が動くところなので、僕自身も楽しみにしていました。脚本を読ませていただいて、当然ですが、それぞれセリフ量が多いんです。
秋彦に至っては、TVアニメで見せていない部分が見えてくるので、TVアニメで固めていた像を壊すところから始めました。
台本には普通のセリフ・モノローグ・ナレーションがあって、どこまでがモノローグでどこからナレーションにするのかさじ加減を現場で演出と擦り合わせて。
そういう意味では、いろいろな遊び方が如何様にもできる感じになっていたので、やりがいを感じました。
――新たな部分を見せるために秋彦の像を壊す、という点で“怖さ”はなかったのでしょうか?
江口:結局、自分が思ったものをぶつけてダメって言われたら「はい」と受け入れるしかないので(笑)。
中澤&浅沼:(笑)。
江口:でも、そのトライする気持ちが湧き出てくる、一緒に良いものを作っていきたいと思うチームでしたので、僕も周りを信じて「ここは挑戦してみようかな」とチャレンジできました。
――改めて、秋彦に対して感じた魅力はありましたか?
江口:“そんなに情に厚かったの!?”と思うところはありました。秋彦は結構クールな印象で、感情の揺れ動きというものがどこにあるんだろう?と思っていたんです。ただ、“今”が変わるのが怖くて一歩を踏み出すことができなかったんだろうなぁ、と。
でも、いろんなものにちゃんと向き合って、本心みたいなものをもう1度考え直すという作業を映画でしているので、ある意味区切りがついたというか。彼の等身大な部分が出てきます。
今までは大人な部分に幼さが垣間見えていましたが、映画ではその幼さが等身大で表れるんです。