【連載】TVアニメ『ゾンビランドサガ』警察官A役 吉野裕行さんインタビュー【SAGA. 06RE】|2話のラップシーンはアドリブ。でもラップを入れたいと思ったきっかけが画面の中に!?
2018年のアニメシーンを代表する作品の1つとなった『ゾンビランドサガ』。その続篇『ゾンビランドサガ リベンジ』の放送まであとわずか!
約2年半ぶりのTVシリーズ復活を祝して、アニメイトタイムズで掲載されていたインタビュー連載も復活! 今回ご登場いただくのは警察官A役の吉野裕行さんです。シリーズの中で大きな存在感と笑いをもたらすキャラクターをどう演じたのか? そして話題になった2話のラップをアドリブでやった真相を語ってくれました。
第1話の収録までずっと謎。でもチャレンジや遊びがあるほうがエンタメ作品らしい
――まず『ゾンビランド サガ』に出演することになった時の感想は?
警察官A役 吉野裕行さん(以下、吉野):今回はオーディションではなく、オファーをいただく形で。どんな作品なのか特に説明もなかったし、原作がないオリジナルということで調べようもなくて。タイトルの「ゾンビ」と「サガ」からも話は見えないし、全体的に謎でした(笑)。
台本を見たら、演じるのが警察官Aというキャラクター名だったので、1、2回しか出ない役なんだろうなと思っていました。そして女の子がいっぱい出てきて、みんな、ゾンビなのかなと想像したり。その子たちの事は、元アイドルや元子役などかつて活躍されていた人たちばかりなんだなとか部分的にわかることはありましたが、内容の事はわからないままでした。
役柄的にもポイントポイントにしか絡まないこともあって、収録でも見ていることが多くて、その中で理解していく感じでした。
――放送前の幸太郎役の宮野真守さんの宣伝動画や、公式HPのビジュアルなど、ミスリードさせている節がありましたよね。
吉野:それがいいと思うんですよね。エンタメな作品、クリエイティブな作品としてはいろいろなチャレンジや遊びがあったほうがいいと思うので。たぶん製作委員会の会社さんたちも楽しんでいたのかなというのが目に見える作品でしたね(笑)。
警察官Aは無責任に。独特なしゃべり方は台本からそう見えた結果!?
――警察官Aはどんなイメージで収録に臨まれたのでしょうか?
吉野:警察官でありながら、無責任な人でありたいなとお芝居しました。最初の収録の時に「好きにやっていいですよ」とか「アドリブも入れて大丈夫です」と言われたけど、台本の流れやキャラクターが言いたそうな顔をしていた時にアドリブは入れていました。
また佐賀を舞台にした作品なので、「方言はどうしますか?」と尋ねたら「この人は方言はしゃべらないのでいいです」と。佐賀県外から赴任してきた人だから話さなくていいと説明を受けた気がします。
――独特のしゃべり方はディレクションではなく、ご自身で考えてやられて、それはOKなったということですか?
吉野:そこは台本に書いてあった通りにやったつもりです。例えば「どした、どした~」と書いてあれば、抑揚をつけてしゃべりたいなと思うし。佐賀弁でもなく、標準語でもないけど、昔のアニメでも「それ、どこの言葉?」というしゃべり方をしているキャラクターが結構いて、そういう作品やキャラクターを見て育ってきたので。
特別おかしくしゃべろうとしているわけではなく、台本がそういうふうに見えたので、それをできるだけ表現したいなと思っただけです。だから基本的には変えないで、足せるところで足すというスタンスで、あとはこういうふうに言ったほうがおもしろそうだなと思った時だけ、いわゆるルビの訂正をすることがあります。「本気ですよ!」というセリフがあったら「マジですよ!」と変えてみたり、そういう遊びをするくらいでした。
――ゾンビ状態のフランシュシュの子たちと遭遇するたびに発砲して。『天才バカボン』の本官さんみたいですよね。
吉野:僕もそういうことだろうなって。シリアスな部分もなく、ギャグっぽさやコミカルさが活きるように意識しました。ちなみに彼は県警や市警など実在するところに所属しているわけではなく、架空の駐在所に勤務している警察官だそうです。本当の警察官はあんなにいい加減ではないことはお伝えしておきます(笑)。
2話のラップシーンはアドリブ。でもラップを入れたいと思ったきっかけが画面の中に!?
――最初は1、2回登場するだけのゲストキャラ的な感じかと思っていたら、何度も登場する準レギュラーともいえる存在に。
吉野:最初の時、マネージャーから「何度も出てくるみたいですよ」と聞いて、「えっ!? そうなの? だって警察官Aだよ?」と聞き返した覚えがあります(笑)。
――何度も出てくるのに、「何で警察官Aなのかな?」という疑問も?
吉野:そう思われる方もいるでしょうけど、僕はこのほうが嬉しくて。名前がついていないことで、うさん臭さが増して、作品のテイストにも合うと思うし、視聴者の皆さんも想像が膨らむと思うし。もし普通の名前がついていたら、むしろやりにくさを感じていたと思うので、僕自身も助かりました。
――他のキャストの皆さんから2話でラッパーズにさくら、愛、純子が絡まれているシーンで、警察官Aもラップしたのは台本やディレクションではなく、吉野さんのアドリブだったとお聞きしました。
吉野:確かに要求はされていませんでした(笑)。あれはこっちもラップでやったらおもしろいなと思ってやってみただけで。リアルに考えてみたら、彼女たちがラップしているのを聞いていたわけではなく、偶然出会ったのにいきなりこっちもラップをやったらおかしいんですよね。
しかもラッパーズはちゃんとラップしているのに、こっちは雑なラップで(笑)。ラップを入れた理由は繰り返すおもしろさ、天丼を狙ってみてだったような…
彼はもしかしたら今、ラップにハマっていて、「若い女の子がいたからテンションが上がって、ついラップ調で声かけた」みたいな感じでラップにしたような…。
あっ! やった理由を思い出しました! アフレコ用のコンテの警察官Aの動きの中で、ラッパーっぽい仕草、指の描き方だったんですよね。だからこれは絶対にラップをさせたほうがいいなと思ってそういう演技にしたんでした。
宣伝担当:脚本にないことでも、演出で付け足して描かれていることもあったそうなので、このパートもそうだったのかもしれませんね。
吉野:もしかしたら絵を描かれた方が警察官Aにラップをやらせたかったのかもしれないですね(笑)。
(C)ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会