「プリキュアの元気をみんなに感じてもらえるような、そんなライブにできたら」キュアコーラル/涼村さんご役 花守ゆみりさん|「トロピカル~ジュ!プリキュアLIVE2021」リレーインタビュー第2回
自分のかわいいを信じるさんごに演技でエール
──『トロプリ』のお話の中で特に印象的だったエピソードはありますか?
花守:さんごちゃんが初めてプリキュアに変身した第3話「自分を信じて! キュートいっぱい!キュアコーラル!」です。その中で出てきた、幼稚園時代のチューリップのお話が切なくて……。
──さんごちゃんは紫色のチューリップを選んでいたけど、周りはピンク色のチューリップを選んでいたというエピソードですね。自分の感性は周りとは違うのかもしれない、とハッと気づいてしまったシーン。
花守:そうです。私も似たような経験があって。幼稚園の時にあったお遊戯会で自分のやりたい役が男の子のキャラクターだったんです。立候補したらその役に決まって喜んでいたんですけど、いざ舞台に上がったら周りが全員男の子。
女の子はかわいらしい役を演じていたんですよね。「あ、私もしかしたら……ちがったのかな?」とヒヤッとしたんです。だからさんごちゃんがひとりだけ紫を選んで「あ、自分だけ違ったんだ」って気づいてしまったときに、自分にもグサッときました。
そのちょっとした寂しさが彼女のトラウマとして根付いていて、ローラに「自分のかわいいを信じなくてどうするの!?」って言われたことで、初めて気付くという。まなつとローラに会ってなかったら、さんごちゃんは息抜きができない状態になっていたかもしれませんね。
彼女たちは話を積み重ねていくうちにどんどん頼もしくなっていって。その中でさんごちゃんは自分の話をできるようになっている気がします。さきほど話した第9話でも、自分から「やりたい!」と言えるようになって、自分で幸せを掴みにいく大切さにもう気付いているんだって。この子はどんどん大人になっていってるんだなぁと。
──今のさんごだったら、自分の好きな色を胸を張って選ぶんだろうなと思います。
花守:そうですね。そう思うとホロッときてしまいます(笑)。
──アフレコ現場で泣きそうになることも実際にあるんでしょうか?
花守:あります。今マスクの時代で良かったなと思うくらい(笑)。第3話に顕著でしたが、自分で自分を追い込んでしまっているシーンは、通じる悩みを私が持っていたということもあって「どうやったら助けてあげられるのかな」と。
でも「助けてあげる」という考え方自体が間違ってたんだろうなと思いますね。彼女はもう自分で自分を見つけることができる子だし、歩いていける子なんだなって。不思議な気持ちですね。
近い距離にいるのに、彼女たちは触れられる場所にはいないので。自分が彼女たちにできることはお芝居なので、彼女たちが強く生きられるような声を吹き込めたら良いなと常に考えながらやらせていただいてます。
「かわいい」が飛び交ったレコーディング
──7月21日(水)発売の『トロピカル~ジュ!プリキュア ボーカルアルバム ~トロピカる!MUSIC BOX~』にはさんごちゃんのソロ曲「チャーミング*∞*ハピネス」も収録されています。最初に聴いたときの印象はいかがでしたか?
花守:最初にいただいた仮歌入りのデモを聴いて「わ~さんごちゃんだ!」って。すっごくかわいい曲だなと思いました。Aメロで「どうやってかわいくなろうかな」ってウキウキしてるけど、Bメロでは少し悩んでいて、モノローグを読んでいるような気持ちになりました。特にBメロが好きです。彼女のかわいさがふんだんに詰まった曲だなと感じています。
──かわいさや癒すような力もありつつも、芯の強さがある。花守さんにしか歌えない曲だなと思いました。
花守:そう言ってもらえると嬉しいです。弾けるような曲やカッコいい曲が多い中で、聴いていて落ち着くようなテンポ感になっています。みのり先輩の「My Story」はすごくカッコよくて、ローラは歌姫なので歌い上げていて。さんごちゃんはこのメンバーの中では癒し担当です(笑)。
歌詞がまたステキなんですよね。癒しを感じてもらいながら、ホロりと涙がこぼれてしまうような、そんな曲になれば良いなと思っていました。
──レコーディングはいかがでしたか?
花守:とにかく「かわいい!」が飛び交ってました(笑)。「いまのかわいいですね!」「いや、歌詞がかわいいからです!」とか(笑)。「どのかわいいにしましょうか?」っていうところは悩みました。
「こっちのテイクもかわいいなぁ」「でもこっちも……」ってところで、ディスカッションしながら完成しました。どうしたらいちばんかわいいお洋服を着せてあげられるかな、メイクをできるかなと考えながら歌いました。
あと「ひとりごとのように囁いている感じで歌って欲しい」というディレクションをいただいたんです。それを意識しつつも、落ちサビの<「これで」いいじゃなく「これが」いいなと 想いをうちあけて……>という部分で一歩踏み出した気持ちの変化を表現できたらって。
──その部分に一番グッときました。今のさんごだからこそ伝えられるメッセージだなって。
花守:この歌詞を読んだとき、思わず泣いてしまいました。普通の女の子らしい一面と、そこから一歩踏み出して、変わっていく強さもあって。そして最後のサビで<ココロポーチいっぱい つめこんだ たいせつ守ってくエブリデイ>と晴れやかな表情になるという。
──「トロピカル~ジュ!プリキュアLIVE2021」でもうるっときてしまいそうですね。
花守:しまいそうです(笑)。
──ファイさんはさんごの曲がいちばん好きだとおっしゃってました。
花守:嬉しい! 私もみんなの個性が出ていて「かわいいな」と思いながら聴いていました。『トロピカる!MUSIC BOX』というサブタイトルもとてもかわいいです!
OP主題歌のカバーは「元気のもらえる曲」
──『トロピカル~ジュ!プリキュア ボーカルアルバム ~トロピカる!MUSIC BOX~』には、トロピカる部全員で歌う「 Viva! Spark!トロピカル~ジュ!プリキュア トロピカる部Ver.」も収録されています。
花守:オープニングの「Viva! Spark!トロピカル~ジュ!プリキュア」を「トロピカる部Ver.」として、みんなでカバーさせていただきました。「これ、キャラソンだった!?」ってくらいしっくりきました。
歌詞の言葉遣いも元気な子のイメージなので気持ちよくハマって。<Let’s Spark!><Viva! プリキュア>っていう、英語のハメかたもすごくかわいい。Machicoさんが歌われているときも「かわいい」と思っていましたが、プリキュアにもすごく合ってるなと感じました。元気のもらえる曲なので「ちょっと疲れちゃったな」って時に私自身も聴いています。
「 Viva! Spark!トロピカル~ジュ!プリキュア トロピカる部Ver.」でエンジンをかけて、その勢いのまま「おもいきりトロピカル!」も録ったんです。「おもいきりトロピカル!」は1フレーズずつ繋がっていく曲なので、一人ひとりがハイタッチしながら歌っていくようなイメージでした。「チャットしてるみたいでかわいい曲だな」って。
──ああ、確かに!
花守:みんなでLINEで会話してるような感じで。しかもブツ切りではなく、気持ちよくつながっていく。息ぴったりで感動しました。
──ファイルーズさんはこの曲を聴いて「最終回で流れそうで怖い」とおっしゃってました(笑)。すごく明るいのに切ない雰囲気もあると。
花守:ああ、確かに。明るくて切ない曲なんですよね。彼女たちはいずれ自分の道に行く……とは思うんです。部活動も学校にいるからこそあるもので、カタチは変わっていってしまうかもしれない。
でもだからこそ、今を精一杯トロピカって生きてる。それを感じる歌だなぁと思いました。曲にもすごく厚みがあります。みんなの声が揃っていて、一緒に声を当ててきた時間がこういうところに活きてるのかなと。
──そういう意味では、アフレコを重ね、キャラクターたちも成長を重ねた今だからこそ歌えた曲というか。
花守:そうだと思います。ラメールが歌でも引っ張っていって、そこに一人ずつ乗っかっていくBメロがたまらないですね。歌っていてテンションは上がるんですけど、感動の涙が流れてしまうという曲がこのアルバムには多い気がします。
今はこうした(コロナの)時代なので、疲れてしまうことも多いと思うんです。そうした人たちの心に寄り添えるプリキュアであって欲しいというところも、今回の『トロプリ』のテーマとしてあると思うので、そういう意味では『トロプリ』らしいアルバムになったんじゃないかなと思います。