これで、縁ができたなーー『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』堂々完結! 壮大な"共生"の物語の結末をネタバレ解説! ファンに愛されたポイントや、物語のテーマも考察!
2月26日に最終回を迎えたスーパー戦隊シリーズ46作目『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』。
2022年に放送が開始されると、ヒーローたちの設定や、個性あふれるストーリー展開が話題となり、子どもたちやスーパー戦隊シリーズファンに留まらず、多くの人から支持を集めた作品です。
1年間、勢い良く走り続ける『ドンブラザーズ』のメンバーたちに魅了され、最終回まで楽しく視聴させていただきました。
本稿では、本作の物語を簡単に振り返りつつ、ファンに愛されたポイントや作品のテーマを考察!
今を生きる私達に活力をくれた『ドンブラザーズ』に感謝しつつ、今一度本作を振り返ってみましょう。
目次
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』とは?
主人公・桃井タロウ(演:樋口幸平)率いる「ドンブラザーズ」は「ヒトツ鬼」と呼ばれる人間の強い欲望から生まれ、人間に取り付き大暴れする鬼から人々を守るために戦う5人のヒーローたち。
昔話の『桃太郎』をモチーフとしているため、「サルブラザー」と呼ばれる猿原真一(演:別府由来さん)、「オニシスター」の鬼頭はるか(演:志田こはくさん)、「イヌブラザー」の犬塚翼(演:柊太朗さん)、「キジブラザー」の雉野つよし(演:鈴木浩文さん)が「ドンモモタロウ」のタロウのお供という形で存在しています。
彼らお供は、候補者の中から選ばれた者たち。他にも候補者や実際にドンブラザーズになった人間もいますが、一般人が急に強大な力を得るので、大半が使い方を誤って脱落してしまったと劇中で語られています。お供たちはタロウに訓練されながら、人々を守るための戦いに身を投じて行きます。
リーダーであるタロウと他のメンバーに明確な力・立場の差があることが従来の作品と違って新鮮で面白いですよね。この設定によって、お供たちの苦悩が描かれたり、孤高の存在であるタロウのキャラクターにより関心を持つことができます!
敵対組織、「脳人(ノート)三人衆」見参!
「ドンブラザーズ」の敵役として登場するのが、ソノイ(演:富永勇也)、ソノニ(演:宮崎あみさ)、ソノザ(演:タカハシシンノスケ)の「脳人」たち。
この物語では、高次元世界の住人である「脳人(ノート)」が存在します。彼らは人間には認識することのできない「イデオン」と呼ばれる世界に住んでおり、人間が放つという「波動」によって支えられています
人間たちに興味を持つ脳人ですが、人間の強い欲望は波動を乱し、彼らの世界を荒廃させてしまう。
上記のソノイたち三人は、イデオンを脅かす存在であるヒトツ鬼を人間ごと処分するべく人間界へとやってきます。
一見、ドンブラザーズと利害が一致しているようですがドンブラザーズによって成敗された人間は元の善良な市民に戻ります。そのせいで、同じ人物が何度もヒトツ鬼になってしまうこともしばしば。
ソノイらは、不思議な力を持つドンブラザーズに興味を抱きつつも、ヒトツ鬼の数を減らすべく彼らと対立していくのでした。
タロウも脳人!? 新たな敵・獣人(ジュート)も登場
圧倒的な力と、常識外れな正直さ・正義感をもつタロウは、なんと脳人の中でも権力者だった「ドン王家」の末裔だった事が明かされます。
タロウは早い段階から視聴者の間では「人間じゃなくね?」と噂されていました。戦闘力はずば抜けているし、お仕事であるシロクマ宅配便での完璧な働きぶり、ウソを付いたら脈が止まって死んじゃうなど、個性に溢れすぎていたためです。
ドン王家は、イデオンを統治しながら「人間との共生」を目指し様々な政策を打ち出しますがどれも失敗してしまいイデオンはめちゃくちゃに。
最期は他の脳人との対立によって滅んでしまいます。その時に桃型カプセルに入れられて人間界へとやってきたのがタロウなのでした。
『ドンブラザーズ』の物語中盤には「獣人(ジュート)」と呼ばれる凶暴な生命体が登場します。獣人は、波動の供給のためにドン王家によって生み出された生命体です。
人間に頼らずとも生きるための施策でしたが失敗に終わっており、ドン王家によって「眠りの森」に封印されていましたが、抜け道が生まれてしまい人間界で大暴れすることに。
彼らは人間をコピーして入れ替わり、人間界、イデオンともに侵食し滅ぼしてしまう存在です。
物語後半では、タロウ達ドンブラザーズと、ソノイらが対立しながらも獣人と共闘するエピソードが描かれていき、脳人と人間が歩み寄り共存できる可能性が生まれていきます。
また、獣人の力であるコピー&入れ替わりが、これまでのエピソードで描かれた展開や謎の答えになったり、魅力的なキャラクターとしてモブではない獣人が登場したりと盛り上がる要因となっていました。
戦いと縁の末に...... 『ドンブラザーズ』堂々完結!
戦いを繰り返しながらも、徐々に距離が縮まっていくドンブラザーズとソノイたち3人。
本作では、ヒトツ鬼や獣人との戦いだけでなく、登場人物たちの日常や戦闘以外でのぶつかり合い、すれ違いを描くエピソードも多く非常に魅力的です。
中でもやはり、対立してきたドンブラザーズとソノイらが互いに認めあい、仲間になっていく姿に感動した視聴者も多かったのではないでしょうか。
最終回間際では、人間や人間の文化を愛してしまったソノイらが、これまで消去しようとしてきた、ヒトツ鬼だった人間たちを開放しドンブラザーズの一員になります。タロウもドン王家の末裔として、獣人の森へ行き囚われた人間たちを救い出します。
脳人と人間の共生を阻むため、ソノイらの上司に当たる脳人も登場しますが、パワーアップしたドンブラザーズはそれを撃破!
これにて、大団円かと思われましたが、なんと役目を終えたタロウは力を使い果たし休息期間へと突入。これまで過ごしてきた記憶も失ってしまうのでした。
しかし、ドンブラザーズは解散ではありません。圧倒的なリーダーを失っても人々を救い続けられる力と結束力を持っているからです。ドンブラザーズのメンバーはこれからも、それぞれ社会を生きながら人間たちを守っていくのです。