
メンバーの関係性は『ジョジョ 3部』のよう!? ボルツとロビンはフワッとした存在だからこそ良い!『THE MARGINAL SERVICE』杉田智和さん&中村悠一さんインタビュー【連載第4回】
この作品は……真面目な作品じゃないんですよ
ーー改めてご自身のキャラクターの第一印象を教えてください。
中村:初期設定で演技に繋がりそうな部分はイギリス人というくらいで、性格をイメージした際、イギリスの人だとお堅い性格なのかな?誇り高いのかな?と。もちろんパブリックイメージであって、イギリスの方が全員そうではないと思うんですけど、キャラ付けとしてはそういう方向性なのかなと判断しました。
でも実際はそうではなく、チームの中で皮肉なことを言いつつも陽気な存在で。相棒のボルツも予想していた性格とは少し異なっていて、そんな彼と組むことにも少し驚きました。
演じる上では毎話で得る情報でキャラ付けをしていこうと。今後、話が進んでいくとまた違う一面が見れると思うんですけど、根本的なキャラクター性は変わらないので僕としては演じやすいキャラでした。
ーー演じていくうちに印象に変化はありましたか?
中村:印象は全く変わりませんでした。やっぱりこの作品は……真面目な作品じゃないんですよ。
ーー(笑)。
中村:真面目なキャラもいるんですけど、僕らのキャラは真面目ではなくて。であれば与えられている範疇でコメディリリーフをしないといけないなと。台本に書いてある言葉を少し盛ってみたり。その辺りはロビンを演じるにあたっての命題だと思いました。
ーー現場での立ち回りも重要だったということですね。
中村:そうですね。ロビンとボルツでおバカなことを真剣にやるからこそ面白くなると思ったので。
ーーボルツに関してはいかがでしょうか?
杉田:キャラクターのデザイン画を見せていただいた際、いきなりアフレコに入るよりは、一旦ボイステストをしてもらったほうが良いかもしれないと思い、自分なりに解釈したボルツの声を収録してチェックしていただく準備をしていました。自分の中で、こういうタイプの巨漢はどうしゃべるのかわからなくて不安だったんです。
ーーそんなこともあるんですね。
杉田:演じるにあたって、彼の内面を構成する情報がほしくなったので、ボルツがなにを考えて、どういうものが好きなのか教えていただきました。その結果、ただ真面目なキャラクターではなく、むしろ狂人に近い人物だと気付きました。
彼の中では筋肉が全ての優先順位のトップにある。下手したら人命より優先すべき存在なんですよ。こんな人がいて良いんだ!?と驚きました。今後、観る側が信じられないと思うようなシーンが出てくるかもしれません。僕個人はボルツをあまり人間として信用してはいけない人だと思っています。
ーー 一見、まともそうな人物ですが……。
杉田:違います。
ーー演じていくうちに印象に変化はありましたか?
杉田:訓練を積み重ねた結果高い技術を持った人だと思っていたんですけど、うっかりピンチに陥るシーンがあって、常人よりも劣っている部分があることが急に発覚するんですよ。それはまだここでは言えないのですが。
ーー掛け合いが多い作品だと思います。特に印象深いシーンがありましたら教えてください。
中村:演じている身としてはそんなに掛け合いは多く感じなかったんですよね。最終話まで録り終えたからこそなんですが、この作品はブライアンとゼノ以外は特になにもないんですよ(笑)。
ーー……そうかもしれないですね(笑)。
中村:軽く言ってしまうと、第7話が我々のお当番回なんです。でもあのお話で描かれる過去って今の彼らには何も繋がらなくて。なので最終話まで通して、なにが彼らの目的なのかよくわからないと思います。
ただ、それが不満だったわけではなく、おそらく我々のキャラはよくわからないことで舞台装置になるんですよ。つまり≪マージナルサービス≫に加わるまでにドラマがあったかもしれないけど、描く必要がないんです、きっと。
ブライアンとゼノは1クールを通して人間として変化がありますが、僕らのキャラは1ミリも変化しなくて。そう考えると僕らが発しているセリフは、物語を進行する上で必要な会話でしかないんですよ。
でも個人的に面白かったのは、第3話でボルツを吊り下げるシーンです。そこは逆じゃないんだと意外でした。ロビンが力担当なんだと。
ーー結局、あんなに一生懸命持ち上げている意味がなかったのには笑ってしまいました。
中村:感知センサーはありませんでしたからね(笑)。あと……トム・クルーズさんの映画のオマージュが出るたびに森川(智之)さんのことをチラチラ見てしまって(※)。吊り下げられるシーンもやったことがあるんじゃないかと思っています(笑)。
※森川さんは数々の映画でトム・クルーズさんの吹き替えを担当
ーー杉田さんはいかがでしたか?
杉田:ボルツがトレーニングに夢中になり過ぎて任務を放棄するシーンがあるんですけど、もう彼は筋肉が最優先なんですよ。しかも話が進むにつれて周りのメンバーも許容といいますか、半ば諦めていて。そのせいか周りとまともに会話しているシーンがあまりがないんですよ。とにかく質問の答えになっていないことばかり言いますし、自分からなにか提案することもありませんし。
中村:自発的に動かないもんね。
杉田:そう。なので印象に残っているシーンはないですね。会話をしないので(笑)。
ーーすごいキャラクターですよね。
杉田:これで良いんですかね? こういう言い方はあれかもしれませんが、周囲の理解がないと社会に居場所がない人物ですね。