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原作の内容を知っているアニメの楽しみ方をご紹介!

原作読者こそアニメを見よ!『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』を例に原作の内容を知っているアニメの楽しみ方をご紹介します!

多種多様なコンテンツで溢れる昨今。やりたいこと・したいことがたくさんあり、限られた時間をどう使うか、タイムパフォーマンス(タイパ)を重視する人も多いことでしょう。

漫画・アニメにおいてもタイパ重視の傾向は強く、原作を読んでいて内容を知ってるからアニメは見ないという人がいるという話を耳にしました。その他にも、ネットで大雑把なあらすじを読んでアニメを見なかったりもあるようです。それを聞き、筆者が思ったのは「なんてもったいないことをしているんだ」ということ。

確かに基本的なストーリーは原作に沿って進んでいくものですが、原作を知っているからこそ、原作未読の方よりもアニメを楽しめるポイントがたくさんあるのです。そこで本稿では、漫画とアニメを嗜むこと20年の筆者が原作読者のアニメの楽しみ方をご紹介します。

今回は例として、先日最終回を迎えた『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』(以下、『鬼滅』)をピックアップ! これを読めばきっと原作を読んでからアニメが見たくなることでしょう!
 

目次

漫画とアニメの大きな違い

アニメ化されたときの三大要素は、色、動き、音です。白黒で描かれていた世界がカラーになり、キャラクターたちが動き話し、BGMが流れ、所作ひとつひとつに効果音が付くことで、一気にリアリティが高くなります。

それによって表現の幅は広がり、アニメならではの演出も増えますし、作品の世界観が強く感じられ、原作読者はそれだけでワクワクすること請け合いです。では、より具体的に注目したいポイントを見ていきたいと思います。
 

“生きてる”キャラクターたちに会う!

アニメ化された際に注目されるのは、やはり動き話すキャラクターたちではないでしょうか。よく「生きてる」と表現するファンもいますが、静止画だった漫画からアニメーションになることで、より存在感や個性が強くなり、生き生きとしたキャラクター達が見られるように。

『鬼滅』の中心人物・甘露寺蜜璃は、もちろん原作でも天真爛漫で明るく素直な可愛らしいキャラクターとして描かれていましたが、アニメでは所作の軽さと花澤香菜さんの鈴を転がすような声でその個性が唯一無二のものに。

また、第1話で描かれた上弦の鬼たちは、アニメーションになることでその異常さがさらに増しています。なかでも宮野真守さん演じる堂磨は、重々しい空気の中でも軽い口調でよくしゃべる様子や飄々とした仕草、コロコロと表情を変えているようで瞳が一切笑っていないことなどからその異様さや底知れぬ恐ろしさが伝わってきます。
 


 

声優たちによる渾身の芝居を堪能する!

キャラクターに声がつくことで注目していただきたいのは、声優さんたちの演技です。『鬼滅』で声優の技がわかりやすく感じられるのは、河西健吾さんが演じている霞柱・時透無一郎の演じ分け。

無一郎は、物語の前半では過去の記憶を無くしていることにより感情の動きが感じられない淡々とした声をしています。その後、記憶を取り戻すと人としての温もりが感じられる話し方へと変化。

それだけにとどまらず、過去が明かされるシーンで幼い頃の無一郎と、彼とは異なる性格の双子の兄・有一郎を、河西さんが1人で演じ分けているのです。「記憶のない時の僕は何だか兄に似ていた気がする」という無一郎の台詞がありますが、確かに両者は似ているものの、“同じ”ではないのが更にすごいところ。声優さんたちの妙技をぜひ堪能していただきたいです。

 

漫画との違いを見比べる!

静止画の漫画とアニメーションでは表現や演出が異なることもしばしば。その違いを探しながら見るのも楽しみ方のひとつです。では、具体的にはどんなところに注目すればいいのか、見ていきましょう。
 

想像していた動きとの違いを比べる!

漫画を読む際、無意識のうちにキャラクターなどの動きの描かれていない部分を脳内で補完しながら読んでいる人は多いのではないでしょうか。アニメを観るときに自分の想像していた動きとアニメでの動きがどう違うか、ある種の答え合わせをするのも原作読者だから楽しめるポイントです。

特に、『鬼滅』のような戦闘シーンのある作品は「こう動いてたのか!」と新しい発見もでき、より楽しむことができます。月夜に華麗に舞う甘露寺蜜璃の登場シーンや、時透無一郎の敵の鬼を霞に巻いて戦う幻想的なシーンはSNSなどでも大きな話題になりました。
 

 
個人的には、頸を斬られてなお罵詈雑言を吐く鬼・玉壺の頭部を、無一郎が斬り刻むシーンが印象的です。こんなに細かく刻まれているとは思っていなかったので、びっくりするとともにちょっと笑ってしまいました。
 

動きがあるからこその演出を体感する!

『鬼滅』でアニメーションの力を活かした演出といえば、第1話序盤の無限城のシーンが挙げられます。無限城は鬼の術によって作られた異空間。重力や構造を無視した作りの建物が幾重にも繋がっており、それらがどこまでも続いている“奥行き”を動きで表現。さらに光による演出も加えられ、一気に世界観に引き込まれます。

漫画では数ページも使われていない部分ですが、アニメではおよそ3分もの尺を使って、壮大で重厚感のある世界に仕立てられており、この3分間だけでも見応え抜群。本来非現実的な異空間のはずですが、動いていることによって、無限城はどこかに実在するのではないかと思わせるようなリアリティさえも感じられます。
 

アニメオリジナルストーリーやスピンオフ作品の物語が楽しめるかも!

作品によっては原作では描かれていないアニメオリジナルシーンやスピンオフ作品の内容が入ることも。それによって、物語やキャラクターの別の側面を知ることができ、何よりアニメでしか観ることができないのでお得感も感じられます。

原作『鬼滅』では、甘露寺蜜璃の生い立ちや特異体質についてナレーションで説明されていました。しかし、アニメ『鬼滅』はナレーション無しで作られているため、その代わりに原作にはない幼少期のシーンが加えられ、幼い頃の可愛い蜜璃とその家族の温かいやりとりが観られるように。

また、原作では扉絵に描かれていた蛇柱・伊黒小芭内との食事シーンも動きのあるシーンとして入れ込まれています。さらに、最終回では刀鍛冶の里を去る主人公・炭治郎を大勢の刀匠達が見送る心温まる場面もアニメ独自のシーンとして描かれました。

作品によっては、原作の裏設定ともいえるスピンオフ漫画・小説の内容が入れられていることもあり、また、それらは予告されないこともあるため、原作読者にとってはちょっとしたサプライズのよう。この嬉しい驚きはアニメを観ることでしか味わえません。
 

オープニング主題歌、エンディング主題歌を楽しむ!

「オープニングとエンディングは飛ばして観る」という話もしばしば耳にするのですが、それも私から言わせれば「もったいないことをしている!」と思います。なぜならオープニング主題歌とエンディング主題歌も原作読者だからこそ楽しめるポイントがあるからです。

オープニング主題歌は作品の世界にグッと引き込んでくれるいわばアテンド役。そして、エンディング主題歌は作品の余韻をクールダウンさせる、アトラクションの出口のような役割をそれぞれ果たしており、両主題歌を含めてひとつの作品だと私は考えています。
 

主題歌につくアニメーションは必見!

まずは、主題歌につくアニメーションに注目してください。作品全体のストーリーをネタバレしない程度に入れ込んでいたり、本編で描かれていないキャラクター達の姿が描かれていたりと作品をプラスαで楽しめる要素が盛り込まれています。

例えば、『鬼滅』ではオープニング主題歌のラストで炭治郎の妹・禰豆子が咥えていた竹筒が落ちている画が出てきます。アニメを最後まで見れば、それが太陽を弱点とする鬼である禰豆子が太陽を克服したことの象徴だったことがわかりますが、そのことが最初からわかるのは原作読者だからこそ。そんな描写は他にいくつも出てきます。

作品によっては、その日放送された内容に合わせてアニメーションが変わることもあり、その予期せぬサプライズ感も楽しみのひとつです。
 

作品のために作られる楽曲も多い!

筆者が子どもの頃に比べて、漫画やアニメの注目度が高くなっている昨今。人気アーティストが作品のために楽曲を書き下ろすことも少なくありません。原作読者だからこそ、人気歌手や人気バンドが音楽という形でその作品を表現した楽曲にもぜひ注目していただきたいと思います。

『鬼滅』では、両主題歌を人気ロックバンド・MAN WITH A MISSIONと人気歌手・mileがタッグを組んで制作。今回のコラボは、炭治郎だけでなく時透無一郎と甘露寺蜜璃がメインとなるストーリーに沿ってアニメ制作側が男女ツインボーカルを希望したことをきっかけに決まったそうです。

オープニング「絆ノ奇跡」は三味線の音が印象的なイントロから始まり、和楽器とロックが融合したエネルギッシュな楽曲で、大正時代の日本を舞台に鬼と激しいバトルを繰り広げる『鬼滅』を表現しています。また、最終回でのみ流れた2番の歌詞には「喜怒哀楽」という、敵の鬼・半天狗の分身4体を彷彿とさせるワードが使われており、作品に寄り添っていることがわかります。


 
さらに、ヒロイン・甘露寺蜜璃に寄り添ったエンディング「コイコガレ」は、「しなやかに舞う君の刃」や「優しいひとたちを全部守るために強いんだ私はきっと」など歌詞全体を通してその姿や心境を描いています。お時間がある方は歌詞を読んでみるのもおすすめです。


 

BGMや効果音が作る世界観に没頭する!

可能であればヘッドホンやイヤホンをつけてアニメを観てみてください。漫画にはないBGMや効果音が作品の世界に没入させてくれ、きっとより一層作品を楽しむことができるでしょう。

『鬼滅』であれば、先ほどもご紹介した無限城のシーンや最終回である第11話中盤の禰豆子が太陽を克服するシーンは、ぜひイヤホン等を使ってBGMも楽しんでいただきたい場面です。壮大で重々しいBGMや「竈門禰豆子のうた」が物語の世界に引き込んでくれますよ。
 

よりコアに楽しむには制作会社に注目!

もっとコアにアニメを楽しみたいという方は、ぜひ制作会社に注目してみるのもおすすめです。制作会社によって演出や作画などに特徴があり、「この作品好きだな」と感じたものはその制作会社の他の作品もぜひチェックしてみてください。

ちなみに、『鬼滅』のアニメシリーズの制作会社はufotableで、美しい作画による戦闘シーンがその特徴のひとつ。他には『Fate/stay night』や『活撃 刀剣乱舞』などの作品を手掛けています。
 
「ufotable」公式Twitterはこちら
 

ストーリーを知ってるからこそ細かい部分に注目できる!

原作を読まずにアニメを観ると、大筋のストーリーを追うことがメインになりますが、原作読者は物語展開が既に頭に入っているので、演出や作画、声優の演技、BGMや効果音など細かい部分に注目することができます。そこで原作にはなかったものや違いを発見する楽しみは原作読者だけの特権です。

とはいえ、今回ご紹介したのはほんの一例。その楽しみ方は人それぞれですので、ぜひ自分なりの楽しみ方を見つけて、アニメを観てみてくださいね。
 

1990年生まれ、福岡県出身。小学生の頃『シャーマンキング』でオタクになり、以降『鋼の錬金術師』『今日からマ王!』『おおきく振りかぶって』などの作品と共に青春時代を過ごす。結婚・出産を機にライターとなり、現在はアプリゲーム『アイドリッシュセブン』を中心に様々な作品を楽しみつつ、面白い記事とは……?を考える日々。BUMP OF CHICKENとUNISON SQUARE GARDENの熱烈なファン。

この記事をかいた人

わたなべみきこ
出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。

担当記事

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