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- 胃の上心臓
- 拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ロボットアニメ作品やTYPE-MOONの作品を主に追いかけている。
──シルフィですが、第2期ではフィッツとして登場します。髪色が変わりサングラスをかけるなど、大きく印象が変わりましたね。
茅野: 第2期での印象については、あの幼少期のシルフィであることに変わりありません。ただ外見がかなり変わったといいますか、髪色が真っ白になってサングラスまでかけているので、何も知らない人は「やさぐれちゃったのかな?」のように思うかもしれません。
シルフィは変装のプロではないので、フィッツの時に声を変えているかと言うと、そこまでではないんです。あくまで成長したシルフィが、彼女なりに男装してフィッツという人物を生きている……という風に演じています。そんなに男の子にしようという意図はなかったんです。だから声で気づきそうなものなのに、本当に鈍感なんですよルディは!
内山:長い間、離れ離れで積み重ねたものが違うから、やっぱり声だけじゃ難しいと思うよ。ルーデウス自身、ここにシルフィがいるとは思っていないだろうし!
茅野:それでも気づきそうなものじゃない?
内山:これからオンエアになるから細かくは言えないけれど、鈍感と言う割に隠す気がなさそうなところも結構あるよ?
一同:(笑)
茅野:もうブエナ村のシルフィだよって言いたいのに、言えない状況が何話も続くんです。だから私も、もどかしくなってしまって……。
内山:ルーデウスからすると、もうちょっとだけ頑張ってほしい。だってもう半分名前を言いかけていたりするし。
茅野:そうそう(笑)。フィッツでいる時はルーデウス君と呼んでいるのですが、お話の中でルディと言いかけてルーデウス君と言い直すシーンがあったりします。演じる時にやりすぎて「ルディと言い過ぎかな」ってディレクションをもらったこともありました。
内山:まだ先の話にはなりますが、ファンのみなさんもツッコミながら見てくれると嬉しいです。
茅野:という話をいつもアフレコの時にして、一緒に「なんで気づかないんだろうね」って盛り上がっています。そんなもどかしさを第2期では楽しんでもらえたらと思います。焦らされれば焦らされる程にエンディングへ向かって盛り上がって行きますので。
──ちなみに、おふたりはルーデウスとシルフィが再会したら、どんな感情を抱くと思いますか?
内山:ル―デウスとしては直近で心を許していた相手に拒絶され、そのショックから精神的に参ってしまっています。フィッツがシルフィだと判明した時を想像すると、もう喜び以上の幸せを感じるのではないでしょうか。
今までも出会いと別れをたくさん経験してきましたが、やっぱり時たま思い出すのはシルフィやロキシー師匠のことなんです。家族はもちろん大切ですが、シルフィの事も本当にかけがえのない存在だと思っているはずです。
ましてや転移事件で二度と会えないかもしれない、生きているかどうかも定かでない相手ですから、再会してお互いをきっちり認識できたら、失意の底にいるルーデウスからはちょっと考えられない感情になるんじゃないかなと。
ルーデウスは前世の後悔からのトラウマが根っこにあって、そもそも家から外に出ることすら恐怖でいっぱいでした。そんな彼をロキシー師匠が連れ出してくれた事が第1歩で、そこから自分なりの人間関係を構築していきました。
──魔術を覚えたり、剣術を練習したり、色々な言語を勉強したり……周囲の人たちのことも前世の描写からは考えられないくらい大事にしていましたね。
内山:決して楽な事ではなかったと思います。ルイジェルドにしても最初は確執がありましたし、なかなかお互いを理解できませんでした。けれどルイジェルドの方から歩み寄ってくれて……そうやって色々なキャラクターたちと丁寧に絆を紡いできたからこそ、エリスに対しても家族かそれ以上の想いを抱いたと思うんです。
けれど彼女に様々なボタンの掛け違えから拒絶されてしまい、本当に絶望しかないような心境に陥ってしまいました。生まれ変わってもう一度、一生懸命に生きるんだと決意して頑張ってきたのに、ここでもう一度心が折れてしまったので、最初のマイナス以上の傷を心に負ってしまったようにも感じて。
そんな状況で昔の自分を知ってくれているシルフィが生きていると分かったら、それだけで相当な喜びだと思いますし、感動があると思います。
茅野:シルフィにとってルディは英雄であり、友達であり、自分にとっての全てなんです。転移事件でそんな大切な人が目の前からいなくなって、両親も家族もみんな消えてしまうなんて途轍もないことじゃないですか。本当にルディと同じく泥沼に突き落とされたかのような気持ちだったと思います。
シルフィもルディと同じく虐められていたトラウマがあって、そこはふたりの通ずるところです。それこそどん底だった最初の自分を知ってくれているし、全てを許せるし、本当の自分をさらけ出せる、全てを任せられるような存在がルディなんです。
そんな自分にとって唯一の人が生きていてくれて、何年も経って目の前に現れるというのは幸運だと思います。第2期のふたりがそれぞれ描かれているビジュアルは、そんなふたりの再会を予感させてくれるので、おしゃれで素敵だなと感じました。
──最後に内山さんから2期前半「泥沼編」の見どころ、茅野さんからはフィッツ登場エピソードの見どころをお願いします。
内山:泥沼編は第1期の終盤でエリスとああいった別れ方をした後からのスタートなので、失意の底から物語が始まります。
新しい環境での出会いを経て、周囲の人たちとも関わっていく中で、ルーデウスはもがきながら無理矢理にでも前に進んでいこうとします。そんな彼の姿や人間臭いところがより露わになっていくので、見ている方も心苦しく感じる瞬間があると思います。けれどそんなリアルな描写を体感していただいて、ルーデウスの踏ん張りを見届けていただきたいです。
やっぱり他人との関わり方がどれだけ大切なのかが第1期から根底にありますし、私自身にも通ずるところがあります。自分ひとりで生きてきたわけでは決してなくて、家族はもちろん、自分と関わる周囲の人たちの影響を無意識にたくさん受けて成長していく。これが凄くリアルなものとして『無職転生』では描かれているなって思っています。
第1期の後半ではこれを特に痛感させられましたし、今回の泥沼編でも人間力としてはまだまだ弱い部分をさらけ出すルーデウスになると思うので、そういった綺麗なところだけではない部分をぜひ見届けてください。
茅野:泥沼編の後は、第1期と別のアニメなのではないかと思うくらい雰囲気が変わります。さまざまな新キャラクターも続々登場しますし、久しぶりのザノバなど、濃いキャラクターたちにも注目です。そんな楽しい面々から、また新しい雰囲気の風を感じていただけるかと思います。
転移事件の後シルフィに何があったかは、初回放送を見ていただけるとわかると思います。本当に彼女に救いがあって良かったです。
後はアリエルとルーク。ふたりについては、アニメで描かれない部分を原作で補完できます。原作を読んでシルフィの周りのキャラクターたちが何を考えて行動していたのか把握してもらえると、よりアニメも楽しめる作りになっていますので、どちらもあわせてお楽しみください!
作品名 | 無職転生 Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~ |
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放送形態 | TVアニメ |
シリーズ | 無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ |
スケジュール | 第1クール:2023年7月2日(日)〜2023年9月24日(日) 第2クール:2024年4月7日(日)~2024年6月30日(日) TOKYO MX・BS11ほか |
話数 | 全24話 |
キャスト | ルーデウス・グレイラット:内山夕実 前世の男:杉田智和 シルフィエット:茅野愛衣 ノルン・グレイラット:会沢紗弥 アイシャ・グレイラット:高田憂希 アリエル・アネモイ・アスラ:上田麗奈 ルーク・ノトス・グレイラット:興津和幸 エリナリーゼ・ドラゴンロード:田中理恵 ナナホシ/サイレント・セブンスター:若山詩音 ザノバ・シーローン:鶴岡聡 クリフ・グリモル:逢坂良太 ジュリエット:諸星すみれ リニアーナ・デドルディア:ファイルーズあい プルセナ・アドルディア:田中美海 バーディガーディ:楠大典 |
スタッフ | 原作:理不尽な孫の手(MFブックス/KADOKAWA刊) キャラクター原案:シロタカ 原作企画:フロンティアワークス 監督:渋谷亮介 シリーズ構成:大野敏哉 キャラクターデザイン:嶋田真恵 齊藤佳子 総作画監督:世良コータ 五十子忍 孫弘志 美術監督:三宅昌和 色彩設計:土居真紀子 撮影監督:頓所信二 編集:三嶋章紀 音響監督:明田川仁 音楽:藤澤慶昌 プロデュース:EGG FIRM 制作:スタジオバインド |
主題歌 | OP1:「spiral」LONGMAN OP2:「オン・ザ・フロントライン」ヒトリエ ED1:「ムスビメ」大原ゆい子 ED2:「守りたいもの」大原ゆい子 |
公開開始年&季節 | 2023夏アニメ、2024春アニメ |
電子書籍 | 『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』電子書籍(コミック) |
拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ガンダムシリーズをはじめとするロボットアニメやTYPE-MOONを主に追いかけている。そして、10代からゲームセンター通いを続ける「機動戦士ガンダム vs.シリーズ」おじ勢。 ライトノベル原作や美少女ゲーム、格闘ゲームなども大好物。最近だと『ダイの大冒険』、『うたわれるもの』、劇場版『G-レコ』、劇場版『ピンドラ』がイチオシです。