10周年を迎えた『ツキウタ。』の原作者・ふじわらさんに独占インタビュー! 作品の誕生秘話や設定の裏側、アイドルたちへの想いを語る!!
最新CDのドラマには、これまでの積み重ねの結果や、成長して変化したこと、ファンの皆様が気になっていたであろうことを散りばめています
――現在、男子5thシーズン、女子4thシーズンのCDが順次発売されています。最新CDシーズンのコンセプトや魅力は……?
ふじわら:1stシーズンから変わらない『特に大きな事件や事故はない、彼、彼女の日常』であることを意識して、ドラマを制作しています。他愛のない会話がメインとなっていますが、その中にこれまでの積み重ねの結果や、成長して変化したこと、ファンの皆様が気になっていたであろうことを散りばめているので、チェックしてみてください。
サウンドはできるだけ同じ方にお願いできるよう、オファーをし続けています。とはいえ10年ともなると、ご自身の環境や制作スタイルが変わって継続が難しくなった方もいらっしゃいますが、その場合でも最初に作っていただいた土台を忘れないよう気を付けています。
ドラマと並んで大切な柱である音楽なので、できるだけ作家の皆様の拘りや、やりたいことを生かしながら、変化していくことも恐れず。地層のように、年輪のように、時と共に音楽性も積み重ねていけたらいいなと思います。
――2度のTVアニメ化を経て、劇場アニメの制作が発表されました。アニメ化については、どんなところにこだわっていますか?
ふじわら:TVアニメは原作ドラマと同じで、『日常の延長上』を心がけています。大きな事件や事故は、ほぼ起こりません。『ツキウタ。』の、そしてツキノ芸能プロダクションのタレントたちは、ファンの皆様の日常の延長上で実際に生きていて、であればこそ、根本的に悪い人はいないぐらいのハッピーな世界でいいと思っています。特別な1日ではなく、日替わり定食くらいの気楽さと気軽さで。皆様が毎日を送るのが楽しくなるように、ちょっとだけ華やかに彩れたらいいなと願っています。
一方劇場版は、アイドルではない『どこか別の世界の彼ら』のお話なので、上記は当てはまりません。異世界のお話を展開するときには、私の中の中二病、ファンタジー脳を遠慮なく爆発させています。日常からかけ離れた異世界だからこそできる濃度の濃いお話、表現、激情、生き様を描き切って欲しいなと願います。
――10周年記念企画の「お祝いメッセージ募集」や「月歌四季コンテスト」といった参加型企画が盛り上がりましたが、本作がファンの皆様に愛され続ける理由はどんなところにあると感じますか。
ふじわら:これまで語ったことと重複しますが、一緒に年を重ねているという親近感。大きな事件、事故は起こらない、心がしんどくならない平和な世界観。決めるときには決めるけど、普段はかっこつけ過ぎない素朴な人柄。コンビニにも行くリアル感がポイントかな?と思います。
Twitterでの会話劇も細かくあるので、日々更新されていく小ネタによって、ファンの皆様一人一人の中ででも、かなり肉付けされているなと感じます。
やや蛇足ですが、ツキプロ関連のTwitter会話劇は10年前から基本的に私が書いていますが、タレントの皆様が勝手に喋ってくれるので、ネタに苦労したことはありません。タレントによって文字変換が自然と変わったり、語尾で遊んだり、絵文字が増えたり、年齢を重ねることで物言いや反応が変わったり。ほとんどイタコの気分です(笑)。
そんな会話劇でも脚本ででも、たまに『こういうことも言うんだ』『こんな反応なんだ』と驚かれることもありますが、その場のノリであったり、話の流れ、軽口であったり、演じ手さんの遊び心であったりするので、あえてあまり整え過ぎないようにしています。個人的に、その『乱れ』にこそ、生きた人間のリアルを感じるからです。
作中で『こう感じた。こう思った』系のモノローグを極力使わないようにしているのも同じ考えからですが、彼らの真意は彼らだけが知っていて、私が知らないことも、ファンの皆様にだけに見えている側面も沢山あると思っています。『生きている実在の人物』なら当然のことであり、それもまた本作の魅力の一つだと考えます。皆様の中で説得力を持って生きる彼、彼女らを、これからも愛していただければ幸いです。