TVアニメ『Helck』の世界観を表現したロックナンバー! 愛美さんニューシングル「HELP」インタビュー
サビには「HELP」と『Helck』をかけたギミックが!
――この曲は愛美さんが作詞されていますが、特にこだわった点は?
愛美:原作の『Helck』を読んだ時、思わず泣いてしまったくらい個人的にめちゃくちゃ刺さる作品だったので、OPテーマを歌わせていただくからには、大好きなこの作品のことをきちんと表現したい、という想いがまずありました。
私は原作から、他人が持っている才能への劣等感や、周りの人と(自分を)比べてしまう気持ちに苦しむ感覚というのを、メッセージとして強く受け取ったので、それを題材にして歌詞を歌詞を書きました。
タイアップ曲の作詞をさせていただく時はいつも、(作品の中に)自分の感情とリンクするところや、共感できる部分を探して膨らませていくのですが、「HELP」に関しては、私が訴えたかった気持ちみたいなものもかなり入っています。
――周りと比べて劣等感を抱く経験は、誰しもあるものですよね。
愛美:私はよく「笑顔のイメージがある」とか「口角が上がっているのがうらやましい」と言われるんですけど、この笑顔は持って生まれたもので、がんばって手に入れたものではないから、うらやましいと言ってくださる方の気持ちを、心から理解することはできないのかなと思うことがあるんです。
けれど逆もしかりで、私だってすごくほしい能力があって、それを生まれつき持っている人に対しては、めちゃくちゃうらやましいと思っているんですよね。人が抱える本当の悩みってわかりにくいという、そういったジレンマみたいな感情を、今回の「HELP」にはかなり出してみた感じです。
――お気に入りのフレーズを教えてください。
愛美:『「大丈夫」って言ってよ(バカだった)』の部分は、「大丈夫」はヘルクのセリフで、(バカだった)は、作中でヴァミリオちゃんがいつも言っている「バカァ!」のセリフを引用させてもらいました。自分をかえりみるように「バカ」という単語を使うことで、作品とのリンク感が強くなるかなと思ったんです。
あとは、サビの最後『Helck, please me 助けてよ』ですね。「HELP」と聴こえますが、実はヘルク(Helck)に助けを求めている……みたいな、わかって聴くと2度おいしい仕掛けを作りました。
――知っているとより楽しめる歌詞になっているんですね。そんな「HELP」がOPテーマになっているTVアニメ『Helck』にて、愛美さんが演じるイーリスはどんなキャラクターでしょうか?
愛美:物語の中でもキーとなる回に登場する、儚いイメージを持った女の子です。とは言っても、弱いわけではないので、そこをどう表現するかという部分は、じっくりとディレクションしていただいて作っていきました。
イーリスは私とは真逆のタイプですが、彼女みたいな儚なさに憧れた時期もあったので、演じられて嬉しかったです。歌うシーンでは「HELP」とはまた別の歌声を披露しているので、その違いも楽しんでもらいたいです。
――「HELP」という楽曲タイトルにちなみ、愛美さんが最近「助けてほしい!」と思っていることはありますか?
愛美:いっぱいあります(笑)。強いて言うならバスルーム関係かなぁ……。
浴室乾燥機が壊れてしまい、それが直ったと思ったら、次はシャワーの調子が悪くなっちゃって。使おうとすると、水圧が高いのかわからないんですけど、すごい勢いでシャワーが暴れ出すんです。段々とシャワーホルダーが耐え切れなくなり、最終的にはバーン!って(笑)。
この間、部品を変えてもらったのにまだちょっとダメなので、今はこのシャワー問題を助けてほしいです!
▼TVアニメ『Helck』第2クールPV
カップリングは、盛り上がるバンドサウンドと重低音が響く2曲
――カップリング2曲のうち、愛美さん作詞の「ザ・センセーション」はどんな楽曲ですか?
愛美:自分の思うように楽しく生きていこうぜ!みたいな曲です。これまでバンドサウンドを軸に音楽活動をしてきましたが、わかりやすく盛り上がれるような曲ってあまりなかったなと思い、作ってみました。コール&レスポンスしやすい歌詞なので、ライブで披露する時にはぜひ一緒に盛り上がってもらいたいです。
この曲には、「人生はノリで生きてもいいんだよ」というメッセージを込めました。夢とか目標とか、何か理由がなくちゃいけないと思い込みがちですが、夢って簡単に見つかる人もいれば、全然見つからない人もいて、その見つからないことに負い目を感じている人もいると思うんです。
夢を持って輝いている人がまぶしく見えたり、生きづらさを感じている人たちに向けて、別に夢なんてなくても楽しく生きていけばいいんだよ、と。少しでも心が軽くなればいいなと思って書いた部分もあります。
いつか(自分自身が)輝きたいと思っている人に対しては、その気持ちを奮い立たせるような、背中を押す歌詞にもなっているのかなと思います。
――もう1曲の「Noise in me」は、またガラッとテイストが異なりますね。
愛美:「HELP」と「ザ・センセーション」を並べた時に、あと1曲もパワーが必要だと感じたんです。パンチのある曲を入れたくて、重低音が響くこの曲を選びました。
K-POPも好きで、そういう方向性にチャレンジしてみた部分もあったんですけど、だいぶカッコよく仕上がりました。ライブではダンスを取り入れたらおもしろそうだなと考えています。
楽曲のテイストもそうですが、ほぼすべてが英語の歌詞なのも初めての挑戦です。英語で歌う時と、日本語で歌う時とでは、自分の声色がかなり違うことを発見しました。日本語になった途端、ちょっと幼くなるんです。これは意外な気づきでした。
――全然違うインパクトを感じさせる3曲が揃ったわけですが、CDのジャケット写真もスチームパンク風のデザインが印象的です。
愛美:『Helck』には、多彩な種族のキャラクターが集まって新しい世界を作り上げていく、というイメージがあるので、機械的なものもあれば、オールドなものもある、いろいろなものを集結させたようなスチームパンクな世界がハマるのかなと思い、このコンセプトになりました。
ギターがかわいいんですよ。美術さんが加工してくださったんですけど、一応弾けるようなので、ライブで演奏したらカッコいいだろうなと思ってます。
▼左:初回限定盤 右:通常盤