夏アニメ『白聖女と黒牧師』最終回直前!澤田姫さん×石川界人さん×石谷春貴さん×中村カンナさんインタビュー|声優陣が語る一番印象に残っているエピソードとは
ローレンスとセシリア、恋愛初心者のふたりの気になる恋の行方
――お話を聴いているだけでもアフレコが良い雰囲気だったことがわかりました。作品の方も温かな気持ちになれる場面が多かったと思うのですが、みなさんがそういった気持ちになったのはどの場面でしたか?
石川:僕は街の人たちの雰囲気が好きです。ローレンスは昔から住んでいたものの、聖女様はある意味では異分子じゃないですか。でも温かく迎え入れてくれた。先ほど澤田さんもおっしゃっていましたが、過去回想では聖女様のことをみんな信じていなかったけれど、自分たちの過ちを認めた上でその贖罪ではなく本心から仲良くしてくれている。そんな街の人たちがこの作品の肝だと思える部分があるんです。
メインキャラクターたちが優しい雰囲気なのは当然そうなのですが、なぜそうなるのかというと、彼らを取り巻く環境や街の雰囲気がそうさせるからだと感じさせてくれます。だから僕は、メルさんやレベッカさんも含めて街の人たちの優しさがとても好きです。
澤田:私も優しさが一番だと思っています。聖女様はもちろん、みんな本当に優しくて悪役みたいな人もいない。見ていて本当にストレスを感じないんです。それぞれが抱えている問題もみんな前向きに解決していきますし、そうやって前に進んでいるところが素敵だなって思います。私もこの街の一員になりたいと思うし、見ていて優しい気持ちになって前を向かせてくれる。そういうところを受け取ってもらえたら嬉しいです。
石谷:全編通してプラスの感情がキャラクターたちの表情から凄く伝わって来るんですよね。だから重い過去を持っていたとしても、そのプラスの要素が滅茶苦茶大きい。例えばセシリアやヘーゼリッタなら表情がコロコロ変わるし、目が輝いたりして雰囲気に明るいエフェクトがかかっている。見ていて表情が和らぐというか、心が落ち着くんです。掛け合いでも台詞の一言一言でキャラクターの表情が動く部分がプラスの方向で作用していて、僕は毎回にっこりしながら見ていました。
中村:温かくて優しい雰囲気ですが、ちゃんと緩急もあるなって印象でした。それぞれのキャラクターのバックグラウンドだったり、重い過去だったり、そこから連なったところに今の優しさがあるんだよっていうメッセージ性があるところも素敵だなって思います。それと、いかんせん作中にボケ役が多いことでしょうか。
石谷:誰のことだろうなぁ?
石川:ヘーゼリッタさんもボケ役ですからね!
一同:(笑)。
中村:これは私の持論なのですが、北海道の人ってボケ役の人が多いらしいんです。だから関西の人と相性が良いんですよ。原作の和武先生が北海道の方だそうなのですが、そんな和武先生の地元の雰囲気も入っているんじゃないかなって思っています。
――アイキャッチやエンディング後のCパートも本作の見所かと思います。こちらの収録はいかがでしたか?
石川:僕はああいうアドリブを相談するのは好きではないんです。やっぱり出たとこ勝負でやるほうが面白いだろうなと思ってしまって。得意とか苦手ではなく好きではないという言い方になるのはこれが理由です。セシリアとローレンスはアイキャッチの収録が多かったので、アドリブをどうしようか悩むことはありました。
最初の収録の時に澤田さんが不安そうな顔をしていたのですが、「まぁ、やってみようか」とこちらからお願いする形で挑戦しました。すると予想外のアドリブを澤田さんが出してくることがあって、僕の方がテンパって「もう1回お願いします!」と言うことも多かったです。その節はご迷惑をおかけしました。
澤田:一度どこかの話数のアイキャッチかCパートかの収録で、石川さんがあらかじめどうするか教えてくれたことがありました。けれど、本番ではそれと違うことを言ったんですよ。だから収録では凄く困って、反応がワンテンポ遅れてしまいました。けれど絶対録り直しだと思ったらOKが出たんです。結局そのシーンがどうなったかまだわかっていないので、放送されたら絶対チェックしようと思っています。
確かローレンスが作ってくれるスコーンをセシリアが楽しみにしているシーンだったと思うのですが、「何味がいいですか?」と聞いてきたんです。そんなこと言ってなかったのに「味!?」って焦ってなんとか答えたシーンになっています。もう絶対に忘れません。いつか何かの機会に言おうと思っていたくらいです。
一同:(笑)。
――アベルとヘーゼリッタも度々登場していましたが、アイキャッチやCパートの収録は何か苦労があったのでしょうか?
石谷:アベルとヘーゼリッタはコミカルな絵でアイキャッチをやることが多かったので、なんとなく入れたらそれが最後までアドリブになった……みたいなところがあります。後半のCパートは本編と地続きになっていたので、アドリブはあまりありませんでした。けれど掛け合いは、何も考えずに続けられるくらい自然にできたんじゃないかと思っています。
アイキャッチはひたすら短いので言ったもん勝ちみたいなところがあったのですが、それで我先にとやっていたら録り直しになったりもして。そういうことも楽しみながら収録をしていたなと改めて思い出しました。
中村:私は3話からの参加だったので、アイキャッチはアドリブでやると認識することからはじまりました。私自身アドリブはあまり得意ではないのですが、そこでこの作品はアドリブをしてなんぼだというイメージが付きましたし、ヘーゼリッタが迷子になるシーンもアドリブをやってみようと思うきっかけになりました。結構遊ばせていただいているのですが、私的にはヘーゼリッタがイノシシになって猪突猛進しているアイキャッチが気に入っています。要チェックです!
――ローレンスがいつ自分の気持ちに気づくのかと、もどかしい想いで本作を見てくださっていたファンの方も多いと思います。キャラクターとして掛け合ってみたローレンスの印象もお願いします。
澤田:鈍感さ以上に優しさと過保護さが本当に凄いので、セシリアとして掛け合っているとその優しさから圧を感じて心が痛くなるくらいでした。
石谷:優しさも過ぎると圧になると(笑)。
一同:(笑)。
澤田:台本をチェックしている時から凄いなと思うのですが、アフレコで石川さんの声が付くと鈍感さや過保護さ、優しさがもう100倍増しくらいになるんです。だから掛け合いでは「本当に気づいてもらえるのかな?」とか「一生気づかないんじゃないだろうか」とか不安になりながら必死にセシリアを演じていました!
石谷:これまでの周囲の影響からか、とてもいびつな成長をしている感覚があります。先ほど石川さんがおっしゃったように、思春期をもう一度やっている。そんな純真さが真ん中にあるので、人間だけでなく精霊や天使や妖精、悪魔にまで好かれるのかなと思ったり。それに大人や外の人への対応はきちんとしているけれど、自分のことになると気が回らない。他人が最優先になるので、本当に牧師さんらしいなという印象があります。
彼の成長過程を見ていると、そういう過去があるなら気づかないだろうなとか、作中のアベルと同様に「そうだよねぇ」と心の中で思うくらいでした。彼の鈍感さがどこから来ているのかアニメでわかりやすく表現されている場面もあったので、改めてチェックしてみてほしいです。
中村:ヘーゼリッタは何とかして気づかせようと奮闘していましたが、私はもう鈍感すぎるのでそのままで良いんじゃないかなって思っています。鈍感なこと以外は優しいし、家庭的だし、パーフェクトじゃないですか。だからそれくらいはいいんじゃないかなって。私が想像していたより石川さん演じるローレンスは優しさの包容力が凄かったので、流石先輩だなとも思いました!
石川:いやぁ、素がでちゃいました!
一同:(笑)。
石川:みんな苦笑い……と(笑)。
――そろそろまとめになりますので、最終回の見所をお願いします。
石川:最終回ということで、セシリアとローレンスの関係性がどうなるのかみなさんも気になっているかと思います。ですがひとつだけ言えるのは、この優しい世界は変わらないということです。ここまでくるとローレンスも引けないところに来ていますし、セシリアも引けない。きっと大きな関係性の変化があると思います。今までで一番ロマンスなシーンも出てくるかもしれませんが、そこまで行ったら恋愛初心者のふたりはもう止まれません。
アニメは最終回を迎えますが原作は続いていますので、最終回の先が気になった方はそちらをチェックしてください。『白聖女と黒牧師』という作品そのものが大好きになる最終回になっていると思いますので、ぜひご覧いただければと思います。
澤田:この作品は私にとって凄く大切な作品です。多分最初から見てくださっている方は、ローレンスがどうやって変わっていくのか、セシリアの気持ちに気づいてくれるのか気になっていると思います。きっと少しは成長が見えるはずです。最終回にはなってしまいますが、最後までみんなで優しく見守ってもらえると嬉しいです。
石谷:ここまでは色々な視点から、キャラクターたちそれぞれの成長や変化が描かれてきました。第1話から思い返してみると、セシリアやローレンスたちがどんな経験をしてここまで来たのか実感できるかと思います。アニメでは描かれていない先のエピソードもあるので、最終話の視聴後に原作を読んでくださると嬉しいです。僕個人としては願わくば続きがあることを祈っています。この優しい世界に最終回も浸っていただければと思います。
中村:11話の時点でふたりの行方が気になって夜も眠れないというくらいだったと思います。きっとセシリアとローレンスだからこその、このふたりの不思議な関係性だからこその良い終わり方をしているはずです。その結末がどんなものになるのか注目しつつ、ずっと傍で見守ってきたアベルとヘーゼリッタのことも気にしていただけると嬉しいです。見終わった後は絶対に原作を読みたくなるので、そちらも注目してください!
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