『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』第10話放送後インタビュー:古賀葵さん(秋里コノハ役)×阿部敦さん(六田守役)|実はマモルくんは、コノハのことを待っていたのかもしれない
若木民喜さん、みつみ美里さん(アクアプラス)、甘露樹さん(アクアプラス)が原作の同人誌『16bitセンセーション』をベースにオリジナル要素を加え、新たな物語にしたTVアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』。アニメイトタイムズでは、現代と過去が入り交じるSF要素が加わり、生まれ変わった本作について語るインタビュー連載を実施中!
先日放送された第10話で、完全なアニメオリジナルストーリーに突入。変わってしまった秋葉原で出会ったマモルとコノハ、ふたりは次にどんなゲームを作るのか?
それぞれ個別に登場いただいた、秋里コノハ役・古賀葵さんと、六田守役・阿部敦さんに対談形式で改めてインタビュー! 第10話の物語を振り返っていただきました。
また、おふたりにはクライマックスとなる第12話、第13話後にもインタビューを実施しますので、ぜひそちらもお楽しみに!
変わってしまった秋葉原。そのときコノハとマモルは
――まずは第10話の感想をお聞きしたいと思います。1999年に行って『ラスト・ワルツ』を作り、コノハが2023年に戻ってきたら、秋葉原が見たこともない街になっていました。美少女も変わってしまい、『FGO』も謎のゲームになっているという衝撃がありましたが。
古賀葵さん(以下、古賀):第9話の最後にマモルくんがおじさんになって出てくるんですよね。その前の、コノハがお弁当を届けに行って、マモルくんに「ありがとう」と言おうとしたときに、「そういうのいいよ、気持ち悪いよ」と言われるところが印象的で。そのあと、いきなりバサッてコノハがいなくなる。そこがすごく「うぅうう~切ない……」って思ったんです。でもコノハちゃん的には満足したから、もうタイムトラベルはしないと思っていたら、秋葉原がとんでもないことになっていて。
コノハちゃんがやってしまったことで、あったはずの名作ゲームがなくなってしまっていたり、馴染みの景色が変わってしまって、すごく責任を感じてしまう回なんですよね。全部自分のせいだと思っているときにマモルくんが現れてくれて。
――突然あんな世界になっていたら、びっくりしますよね。
阿部敦さん(以下、阿部):でも考えてみたら、これまでもゲームが消えていたり、違和感は前フリとしてあったんですよね。
古賀:「あのゲームを作ったことによって、こんなに変わってしまうのか!」っていうのがあって。
阿部:でも『ラスト・ワルツ』って、2Dでうねうね動いたりしていたから、おそらくあのゲームをやるであろうユーザーに求められるパソコンのスペックって相当高いものなんですよね。でもプレイしたいから、それをみんな買い始める。各企業もパソコンが売れるから、どんどん良いパソコンを作り始めた結果、ああいう世界になっていったんじゃないのかなって。
――あのゲームが歴史の転換点になって、加速度的にAIなどが進化したのかもしれないですね。
阿部:そうそう。そう考えると、あそこまで早く進化していたのもわかるなって。
古賀:タクシーとかも自動運転になっていましたからね。
――美少女のビジュアルが海外に飲まれちゃったのは残念ですけど、市場規模が大きかったんでしょうね……。それと、マモルくんは46歳になって登場しましたね。元々オーディションから設定はあったようですが、実際にやってみていかがでしたか?
阿部:自分の声質的に、どちらかというと若めの役が来ることが多いので、言ってしまうと初めてくらいの46歳の役だったんです。とは言え、比較的若い46歳だったのかなとは思っています。「声色というよりは丸さが加わった感じなんじゃないですかね」みたいなすり合わせが現場であったので、少し大人の、丸くなったマモルという感じでやっていました。
――人間ってあるときから何でも許せるようになりますからね(笑)。「あんなに尖ってたのに、どうした?」みたいな。
阿部:そうみたいですね(笑)。
――ここで46歳のマモルくんと19歳のコノハがずっと掛け合いをして、こういう世界になったことを説明したあとに、「マモルくんは今、何をしているの?」ってところからの会話が、少し引っかかるものがあったんです。2人の間に何か芽生えていたような感じというか。「あのときのお弁と…」って言っていましたが、そもそもコノハにとっては、ついこの間のことでも、マモルにとっては20年経っているわけですよね?
阿部:そうですね。まぁ、あの別れ方は彼にとっても印象的な出来事だったと思うので、事細かに覚えているとは思いますけど。(古賀さんに)このへんから「あれ? 何かコノハちゃん、マモルのことそう思っていたの?」って感じがしなかった?
古賀:「結構、気にしてたね!」っていうシーンではありましたね!
阿部:ここからほぼほぼ2人での掛け合いだったので、アフレコでも2人で話していたんですが、実はコノハちゃんはマモルに対して、「うっすらそういう気持ちで見ていたのかな?」って思ったんですよね。本人が自覚しているかはわからないけど。そんな感じのト書きもあったので、「これってどうなんですか?」ってスタッフさんに聞いたりもしていて。
――まさに「これ、好きなんじゃないの?」って思ってしまったんですよ(笑)。
古賀:もう少し長くあの時代にいたら、何かあったというか、「自分の気持ちに気づいたんじゃないかな?」と思ったりしますね。
阿部:お互いがお互いにめちゃくちゃ影響を与えてしまっていたからね。面と向かっては言わないけどお互いをリスペクトしていると思うから、確かにもう1年くらい一緒にいたら、そういう感じになっていたような気がする。
――似た者同士でしたからね。
阿部:マモルくんも待っていたわけではないのかもしれないけど、マモルくんから見ると、何年かに一度不定期に現れる謎の女の子だから、それを待っているのもすごいよなっていう。
古賀:確かに! でも衝撃だったんだと思います。あんなにマモルくんに突っかかっていく子はいないだろうし。
阿部:同年代でああいう風に来てくれる子はいなかっただろうね。PC-98愛はすごいけど、基本は冷めている子だから。アルコールソフトの周りの人たちも、情熱はあるけど、やっぱり大人だから、かわし方もわかっているので、コノハみたいに不器用にぶつかってくるタイプは珍しかったんじゃないかな。いろいろ引っ張り上げてもらった感じもマモル的にはあるし、会社のピンチを救ってくれた子ではあるから、すごい奴だなとは思っていたと思うんですよ。