『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』第10話放送後インタビュー:古賀葵さん(秋里コノハ役)×阿部敦さん(六田守役)|実はマモルくんは、コノハのことを待っていたのかもしれない
実はマモルくんは、コノハのことを待っていたのかもしれない
――お芝居のところで言うと、後半、秋葉原をひと周りして現実を確認したコノハが大泣きするシーンがあったのですが、ここの収録はいかがでしたか?
阿部:「いつまで泣いてるんだ」ってマモルが声をかけるところですね。
古賀:「自分のせいだ」となっちゃっているんですよね。世界全体が変わってしまったことって、女の子1人が背負うには大変な気持ちだけど、もう何もできない……というのがすごく苦しかったです。
――コノハの泣き方は、切ないけどかわいくもあるんだろうなと想像してしまうんですが。
阿部:コノハって結構泣くシーンが多かったじゃないですか。「おぅおぅ」って泣くのがすごく好きで(笑)。
古賀:あははは(笑)。
――かなり頻繁に泣いていましたからね。
古賀:ガチ泣きしているのですが、ちょっとコミカルになっちゃうというか。でもここはコノハ的にはショックな出来事だろうなと考えていました。自分がずっと大好きだった美少女ゲームや美少女たちを、結果的には自分の手で無きものにしてしまったわけだから、本当に辛かったと思います。でも、その時その時のコノハちゃんの選択も、今のアルコールソフトの人たちに繋がっている道であるはずなので、それはそれで間違えていなかったと思うし…。すごく複雑な気持ちになりました。
――そのあとのマモルの励まし方もいいんですよね。
阿部:彼なりの励ましでもあるし、マモルからすると地続きの世界じゃないですか。何も変わった実感がないし、必然のままここに来ている。で、コノハは自分が変えてしまったと言っていて、その起点が『ラスト・ワルツ』を作ったときの彼らの頑張りだったわけですよね。なので、マモル的には、それを否定する感じにも聞こえたのかなって。それもそれでイヤだったんじゃないかなって思うんです。そういう個人的な意見も詰まっていると思ったんですよね。そのあと「あの時のアルコールソフトの努力は、間違いだったのか?」って言っていましたし。
――マモルは、コノハが言っている「本来の秋葉原」も知らないわけですからね。
阿部:なので、励まし半分、自分の本心半分だった気がします。
古賀:でも、そこでマモルくんがああ言ってくれたから、コノハは折れかけているけど、倒れずに済んだというか。マモルくんが日本にいてくれて良かったなって思いました。
阿部:アメリカにアルコールソフトのみんなと一緒に行っちゃってた可能性もあるわけだからね。
――「98を置いてアメリカに行けないだろ」とは言っていましたけど……。
古賀:でも、「本当はちょっとコノハちゃんのことを待っててくれたんじゃないですか!!」って思ったりもするんですよね~。
阿部:うん。それは僕もある気がするなぁ。だって、何年か経って現れる謎の女の子だけど、2年後とか決まっているわけじゃないから。5年後かもしれないし、10年後かもしれない。でも、それを待っているというのもなかなかだよなぁ。
――面白い美少女ゲームが出るたびに気になっていたかもしれない。
阿部:でも、そういう状況だと中途半端に諦めもつかない気がするんですよ。なので待っていたところはあるんだと思います。本人が気づいているかはわからないけど。
古賀:それを言わないところが、また「もうマモルくんっ!」となるんですけど。
――励ますときも例え話はPC-98だし、そのあたりが20年経っても変わらないところは、彼らしいですけど(笑)。
古賀:そこは安心しました、あのマモルくんが見られて(笑)。
――で、最後に『ラスト・ワルツ』に対抗するソフトを作ろうというところで終わります。
古賀:すごい発想ですよね!
阿部:きっと、あの謎の第8話での体験を経たから、そういう言葉が出てきたのかなって思います。「熱量とは? 想像力とは?」っていう。
古賀:すごく考えさせられる回でしたよね。
阿部:哲学的な回だったでしょ?(笑)
――「我々は何を見させられているんだろう」っていう。
阿部:僕はああいう回、好きなんですよ。全話それだとキツいだろうけど。
――第6話までが美少女ゲームのドキュメンタリーという感じで、第7話から、新たなソフトを作る展開になり、第10話からは一気にSF展開になるという、かなり予想できないオリジナルアニメになっていますよね。
阿部:もともとSFだったんだけど、なんか忘れがちになるんですよね(笑)。
――台本をもらったときは、やはり驚くんですか?
古賀:ゲームを作って終わりだと思っていたら、まだ9話だったので。10話でまた変わっていくんだ! ここからまだ先があるんだ!すごく面白い!と思いました。
阿部:「全13話だから、まだ4話あるってこと?」っていうね。
古賀:最後の4話はどうなるんだろうって、全然想像できなかったです。
――キャストは、後半はSF展開で完全にオリジナルだよっていう予告みたいなものはされていたのですか?
阿部:なかったと思います。台本を読んで初めて知った感じだったので。
古賀:そうでしたね!
阿部:マモルが46歳だったら、てんちょー(六田勝)は何歳になっているんだ?みたいな感じでしたし。
――「ということは、皆さんの40代50代のお芝居が聞けるんだ!」っていうアニメファンとしての楽しみもあります。
古賀:冬夜ちゃんなんて、バリバリの大人になっていましたからね。
阿部:バリキャリだったからね。こっちの方向に行ってくれて良かった(笑)。
古賀:一時はどうなっちゃうのかと思ったけど。
――では最後に、第11話以降の楽しみは、どんなところになりますか?
古賀:新キャラも出てきます!
阿部:冬夜ちゃんも出てくるし、SF要素もあり、アクションサスペンス要素もありつつという感じになります。
古賀:皆さんが予想できないような展開の、その最初の一歩といった感じなので、ビックリしていただきたいです。「こんな未来があったのかもしれない」と、いろいろ考えさせられると思います。
『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』作品情報
あらすじ
ある日、ひょんなことから過去の名作美少女ゲームをゲームショップの店主から譲ってもらうことに。美少女ゲーム黄金時代に思いを馳せ、『同級生』のパッケージを開くと突如まばゆい光に包まれ、気づくとコノハは過去にタイムリープをしていた!
行きついた先は1992年!世は美少女ゲーム黎明期!アルコールソフトという会社で働くことになったコノハは、美少女を想い、美少女を描き、美少女を創りあげていけるのか!?
圧倒的な美少女への愛でお送りする、ひとりの少女の物語――『じゃ、始めるね!』
キャスト
(C)若木民喜/みつみ美里・甘露樹(アクアプラス)/16bitセンセーションAL PROJECT