秋アニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』第11話放送後インタビュー:山根綺さん(山田冬夜役)|第1話の頃は想像もできなかった衝撃の展開! 印象に残っているのはコノハとマモルのあの名シーン【連載第12回】
若木民喜先生が原作の同人誌『16bitセンセーション』にオリジナル要素を入れ、新たな物語にしたTVアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』。アニメイトタイムズでは、現代と過去が入り交じるSF作品に生まれ変わった本作について語るインタビュー連載を実施中!
連載第12回は、コノハのことをずっとお姉さまと呼んで慕っていた山田冬夜を演じる山根綺さんが登場! コノハに影響されて激動の人生を歩んでいたであろう冬夜を、どのように演じていったのかを聞いた。
第1話の頃は想像もできなかった衝撃の展開になった第11話
――第11話が放送されました。完全にアニメオリジナルのお話に突入してきていますね。
山根綺さん(以下、山根):毎週毎週どうなるんだろうって、すごく気になる状態で終わっていくので、自分の出演していない話数も早く観たい!って思うんです。
――アニメは、アフレコの際には自分の担当話数の台本をいただく感じですからね。そういった場合って、間をどう埋めるのですか?
山根:ずっと出ているキャストさんに聞いたりするんですけど、冬夜の場合は、そもそもメインのストーリーにはあまり干渉していなかったというか。彼女は彼女で、彼女の世界を生きていたので、特に聞くことはなかったんです。逆に知らないほうが、その世界の住人として生きやすくなるところもあるし、実際の冬夜が知っている情報と同じくらいのものを入れて演じていたので、やりやすかったし新鮮でもありました。だから(11話の収録をする時には)私は、マモルくんとコノハちゃの間に何があったのかは知らないし、聞いていないんです。
――第11話のストーリーをどう思いましたか?
山根:最初に原作を読んだとき、90年代の、自分が生まれたときかその前くらいの、ゲームを作る人たちのお話なんだなと思っていたんですけど、アニメでは途中からタイムリープの要素が強くなってきたんですよね。ゲーム作りというのが基盤にはあるんだけど、物語の主軸はタイムリープものに移行していったところは、面白い!って思いました。
しかも第11話は特にすごいところで終わるんですよ! 人間がプラグスーツみたいなものを着て液体の中に入れられているって、これどうなってんねん!みたいな(笑)。人知を超えた世界の話になってきたので、これは面白いぞ!ってなりました。第1話を見た段階で、こんな感じになっていくと想像していた人は誰もいなかったと思うんです。1本のゲームを作っただけで、天才と言われる存在にコノハちゃんがなっていて、でも本人は居場所がどこにもない、みたいな。これをどう解決していくんだろうって、視聴者としてもすごく楽しみだなと思っています。
――確かに、誰もこんな展開になるとは思っていなかったでしょうね(笑)。
山根:ここから先、みんなどうなっていくんでしょうね!
――先ほど、生まれるか生まれる前かという話をされていましたが、この連載では初登場となりますので、その時代のゲーム作りの現場とか、秋葉原の感じを見て、どう思いましたか?
山根:マモルくんがタブレットを見たときに、何だこれ?って感じだったので、そっか! 知らないんだ!と思いました。ということはスマホも知らないんですよね。この頃ってポケベルなんですか?
――PHSとか携帯電話が出てきたあたりですかね。
山根:私はガラケーの前のものを見たことがないので、そういう反応になるんだなってすごく新鮮でしたし、今は当たり前にできることが、当時は全然できなかったんだなって思って、改めてすごく勉強になりました。きっと待ち合わせとかも大変だったんだろうなって。
――ポケベル以前は出口を間違えただけで会えなかったり、遅刻したら大変なことになったりしましたから。
山根:そうですよね。そういう大変さみたいなものを知ることができたので、ある意味私にとっては新しかったです。
――あと、冬夜は美少女ゲームが売っているお店に入れなかったりしましたけど、昔は本当に入りづらかったと思います。
山根:それに関して言うと、私、学生の頃よくアニメイトに行っていたんですよ。でもやっぱりコーナーによっては入りづらい……でも買いたいからどうしよう!って。それで、人がいないのを見計らって、ささささって行って買うみたいな。レジもすごく恥ずかしかったなぁ。今は電子書籍があるから好きなだけ探して買えますけど、当時は漫画を買うのにも勇気がいったので、そのあたりの気持ちはちょっとわかるなって思いました。
ただ、やっぱりこの頃の美少女ゲームというのは、私が感じていた恥ずかしさよりも、もっと触れづらい感じだったんでしょうね。女の子がやるなんて!みたいな感じだったんだろうなぁ。
――あとは秋葉原の街並みとかも、変わりましたよね。。
山根:今は結構アニメアニメしていますけど、当時はどうだったんですか?
――もともとは本当に電気街だったんですよ。
山根:そうか! 当時は美少女もなくて、それで、でじこビルができたんですよね(第9話)。今は秋葉原=アニメ・ゲームみたいになっていて、それに慣れてしまっているから、電気街と聞いてもあまりピンこなかったですけど。
――電気街口ってあるけど、そんな感じは薄れてきていますからね。
山根:街も変わっていくんですね。
――冬夜についてですが、オーディションから、今まで演じてきての感想をお願いします。
山根:私はオーディションで冬夜しか受けていないので一発勝負だったんですけど、話が進んでいくにつれてキャラクターの年齢が大きく変わっていく子なんです。性格も、最初は内気な女の子だったのが、自分を見つけ始めて、ちょっと鼻が伸びて、イェーイ!みたいな感じになる。「こんなに生まれ変わったんです! 見てください!」っていうフェーズに入り、そのあとにまたいろんなことがあって、大企業の社長になっていく。
――かなり激動の人生ですよね。
山根:序盤の自分をさらけ出せないところから、久しぶりにコノハちゃんと再会したときには、自分で原画を描いて、コスプレをして宣伝もするようになっているんですけど(第6話)、あんな風に自信をつけて変わっていくのも、なんかわかるな〜って思ったんです。私もオタクだったので。
私も中学2年生までは眼鏡を掛けていたし、小学校の卒業アルバムには、自分の好きな漫画やアニメとかの雑誌の切り抜きを貼ったものを持って、イエーイ!ってやっている写真が載っているという黒歴史があるんですけど……。そこから変わろうと思って、メガネを外して今声優になっているので、ちょっと通じるものがあるなと思いました(笑)。
――好きなものを好きと言ってて良いと思いますけど。
山根:いや、もう黒歴史過ぎて、あれは抹消したい記憶です(笑)。だからオーディションの資料を見て、そして変わっていく冬夜ちゃんを見て、小学校の時の私みたいだなって思ったので、シンパシーは感じていました。
――年齢が変わるというのは、オーディションからわかっていたんですよね。
山根:わかっていました。最終的には40代の社長になるというのは知っていましたけど、その間に何が描かれるのかはわかっていなかったんです。セリフもオーディション時にはあって、相当いろんなことがあって、今の46歳の冬夜がいるんだろうなと思ったし、人生を感じました。大人になるって、歳を取るって、形だけで見たら自然な流れですけど、やっぱり生きていくのは大変なんですよね。
――そういう意味で冬夜って、結構たくましいキャラかもしれない。
山根:確かに! 最初にお姉さま(コノハ)の力を大きく借りてから以降は、基本的に自分の力で人生を切り開いてきたタイプだから、そういう意味でいうと、すごく強い人だなって思います。