作風は突飛でも制作や収録は緻密!? 『ぶっちぎり?!』野津山幸宏さん×竹内良太さんインタビュー|「魅那斗會」「シグマスクワッド」それぞれのチームカラーをメンバーが語る
2024年1月より毎週土曜23時00分テレ東系列ほかにて放送中の、「ヤンキー×千夜一夜物語」を組み合わせた前代未聞のアニメ『ぶっちぎり?!』。
今回、作中に登場する3チームから、「魅那斗會(みなとかい)」に所属する座布 翔(ざぶ かける)役・野津山幸宏さんと、「シグマスクワッド」所属の大英王太(たひで おうた)役・竹内良太さんのライバルチーム対談が実現!
作品の魅力や演じる時に意識したこと、第7話までで印象深かったシーン、今後の見どころなどを語っていただきました。
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毎回真っ向勝負で熱量が高く、自分をたぎらせながら収録している作品
――脚本を読んだり、実際に演じてみて感じた作品の印象と魅力をお聞かせください。
座布 翔役・野津山幸宏さん(以下、野津山):オリジナルアニメということで、僕らも収録ごとにお話や展開を知っていく形でした。お話や設定がしっかり作り込まれていたので、むしろ結末を知らずに収録したことでいい作品作りができた気がします。映像のクオリティもめちゃめちゃ高いですし、タイトル通り“ぶっちぎり?!”のいいアニメだなと思いました。
大英王太役・竹内良太さん(以下、竹内):キャスト陣のバランスも良くて、オーディションで勝ち残ってきたメンバーですが、うち(シグマスクワッド)の摩利人役の佐々木望さんは大先輩で、先輩たちとお芝居できる喜びと楽しさがありました。
この作品は学園ものでもあるので、キャラクターの多感な時期の感情の出し方を考えつつも、お芝居的には真っ向勝負で。各チームごとにぶつかり合う時は特に熱量が高く、「自分もたぎらせていかないと負けてしまう」と思わせてくれる作品はなかなかないので、そういった意味でも魅力的な作品だと思いました。
――「ヤンキーもの」と「千夜一夜物語」を組み合わせるという発想もなかなか思いつかないですよね?
野津山:すごいですよね。普通、カレー屋さんに行ったらラッシーが出てくるのに、日本茶を出されてしまったみたいな(笑)。でも意外と合うんですよ。
竹内:OPとEDも「ヤンキーもの」と「千夜一夜物語」をミックスさせて、本編にうまくつなげているところも見事だなと思いました。
―― 一見、突飛にも見えますが、弱い主人公とかわいいだけじゃないクラスメイト、コミカルさとバトルの熱さがあって、「ヤンキーもの」の王道的な作品にもなっています。
竹内:バッチリ王道的なところも押さえていますよね。荒仁のツッコミで、いまどき口からハートなんて出てこないし(笑)。
野津山:絶滅危惧種ですよね(笑)。
竹内:でもあの表現方法がめちゃめちゃマッチしているし、荒仁はケンカが弱いクセに主張はするので、ツッコミがまたおもしろいんですよね。オンエアを見ていても、荒仁や千夜のツッコミをついつい待ってしまう自分がいて(笑)。
――1話完結ものではないですが、毎回コミカルな日常があって、何かが起きて、バトルが始まるという起承転結がハッキリしているので、変にモヤモヤせずに見終われるのもいいですね。
野津山:いい意味で安心して見られるのに、ハラハラドキドキできて、先が読めない部分もあって。個性的なキャラクターと個性的な脚本と個性的な映像や音楽が組み合わさっているところが皆さんに楽しんでいただけたり、評価されている要因なのかなと思います。
座布は視聴者が共感を得やすいキャラ、王太は摩利人の相棒であり、シグマの父親的存在
――ご自身が演じるキャラクターの印象や魅力、共感できる点、自身と似ている点などをお聞かせください。
野津山:僕が演じている座布は、視聴者の方から一番共感を得やすいキャラクターじゃないかなと思っています。各キャラクターはいろいろな想いを抱えながら戦っていて、例えば摩利人ならワクワクを求めて戦っていますが、座布は仲間や友達のためというのが魅力的かなと。
お芝居をする時も共感できたので演じやすかったです。摩利人だったら戦いにワクワクを覚えるところから気持ちを作らないといけないけれど、座布は駆け引きせず、真っすぐなので気持ちを理解しやすいんです。
――意外と荒仁と距離が近いですよね。
野津山:そうですね。たぶん座布は荒仁のことが気に食わないと思うんですが、それでも放っておけなくて。
竹内:嫌いになりきれないんだよね。
野津山:僕らも実生活の中で、「この人、苦手だな」と思いながらも、その人の良いところや認めざるを得ないところがあったりして。そんな人間臭さがあるところも好きです。
竹内:皆さんの王太への最初の印象は「本当に高校生なのか?」でしょうね、きっと(笑)。それくらい落ち着いて、どっしりと構えていて。
野津山:安心感がありますよね。
竹内:その安心感があるからこそ、シグマスクワッドのメンバーもカッコよく見えるし、ついていきたくなるオーラを醸し出しているよね。
ヘッドの摩利人はトリッキーな性格で、王太はその相棒的な存在として、彼をサポートをしています。シグマ自体が家族的なチーム感がある中で、王太は父親的な立場で。摩利人を自由にさせているけど、何かあった時にはどっしり対応する、みたいな。
演じる時は、自分の高校時代はどんな感じだったかなと思い出しながら演じようと思ったんですが、高校時代には王太みたいな生徒はいなくて(笑)。僕自身も年相応のくだらない話しかしていなかったので、あんなにどっしり構えられる王太をうらやましく思いながら役作りをしていました。
王太を演じようとすると、シチュエーションやセリフから威厳が出てくるような気がして、楽しく演じさせていただきました。これからも摩利人がワクワクしていれば、王太はそれでいいと思うのだろうし、楽しいと感じると思うので、今後も家族的な関係性で突き進んでいくんだろうなと。
――序盤の、魔利人と王太の過去にまだ触れていない状態で、あの関係性や雰囲気を出さないといけないのは難しそうですね。
竹内:そうなんです! なので第6話の、摩利人と王太の2人でゴットキングスをやっていた過去のエピソードは絶対に見てほしくて。あのエピソードを演じられたことで、最終回に向けて王太の表現の仕方もちょっと変わったと思います。達観しているように見える王太にもヤンチャな時期があって、「自分の中に秘める熱みたいなものを出していこう」とかいろいろ考えるようになりました。
――演じる際に意識されている点や、監督から受けたアドバイスやディレクションなどをお聞かせください。
野津山:この作品は、制作サイドに明確なビジョンがある印象があります。どの作品でも収録に臨むにあたって、お芝居を作って、持っていって「どうですか?」と、テストで提示しますが、『ぶっちぎり?!』は台本にキャラクターやシーンのイメージがしっかりあったので、むしろあまり作りすぎないように意識しました。キャラクターを完全に作るのではなく、枠組だけ作って、現場で制作の方とセッションして、一緒に作っていくような。
竹内:毎話数ごとに強いこだわりを感じて、台本のト書きも熱量を感じさせるくらい書き込まれていました。例えば「感情が同じにならないように」とか、いろいろな指示が書いてあって。他の作品でそこまで書かれていることは少なく、明確な指示がある分、僕もそれほど作り込まず、摩利人役の佐々木さんのお芝居を聞いて、出てきたもので演じる感じでした。そういうものが意外とハマったりするんです。
――ハチャメチャに見える作品ですが、意外と緻密に作られているんですね。
野津山:こういう作品は勢いで作ったり、演じているように思われるかもしれませんが、実はめっちゃ計算されているんです。
竹内:確かに。真宝役の星野(佑典)くんも、バトル中の息遣いもなかなか一発OKとはいかなくて。「ここの息はこういう感じで欲しい」というオーダーがよくあるくらい緻密で、僕が聞いていて「いいな」と思っても、「違う感情で、こういう言い回しで」といったこだわりが強くて。でもオンエアを見てみると、「ああ、こっちのほうがいいな」と納得することが多く、スタッフの皆さんの見通す力はすごいなと思いました。
――収録自体はどのようにされていたのでしょうか?
野津山:掛け合いは基本的に一緒に録らせていただきました。
竹内:ちゃんと会話できたし、チームで集まって収録できたので分散感はなかったです。
野津山:特にバトルシーンは相手の声を聞きたいですから。
竹内:王太はあまり戦っていないけどね(笑)。
野津山:今のところ、座布もやられているだけです(笑)。唯一、NG BOYSの門番みたいなヤツを一回倒しただけで、あとは全部負けていて。でも座布は勝たないのがいいんです!
竹内:「何くそ!」と思っているところがいいんだよね。