アニメ『魔法科高校の劣等生』第3シーズン中村悠一さん×早見沙織さん×安野希世乃さんインタビュー|2年生になる司波兄妹……その後輩となる桜井水波はどんな立ち位置のキャラクターに?
電撃文庫より刊行中の著・佐島勤先生&イラスト・石田可奈先生によるライトノベル『魔法科高校の劣等生』。そのTVアニメ第3シーズンが、いよいよ2024年4月より放送開始となります。
アニメイトタイムズではその放送に先駆け、司波達也役の中村悠一さん、司波深雪役の早見沙織さん、桜井水波役の安野希世乃さんを対象としたインタビューを実施。今回の『第3シーズン』では司波兄妹や彼らのクラスメイトたちが進級して2年生になるということで、主に後輩たちとの掛け合いや今回の物語について伺っています。
また、安野さん演じる水波は達也や深雪とは距離感が近い存在。その点についての質問や、『魔法科高校の劣等生 追憶編』を踏まえての水波との掛け合いに関する中村さん&早見さんの見解は必読。ぜひ『第3シーズン』を視聴する前にチェックを!
達也や深雪たちの後輩たちに対する接し方に注目か!?
――まずは第3シーズンの制作が決まった際の率直な感想からお願いします。
司波達也役・中村悠一さん(以下、中村):『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』がありましたが、TVシリーズの第1シーズンから第2シーズン『魔法科高校の劣等生 来訪者編』の間が少し空いたので、第2シーズンが始まる時は「これって第3シーズンですか?」となんていう人がかなりいたくらいでした(笑)。今回の『第3シーズン』は『魔法科高校の優等生』を挟んでいるので、これまでよりは期間が空いていなかったので『魔法科』がここ数年続いている印象を受けました。
司波深雪役・早見沙織さん(以下、早見):中村さんのおっしゃる通り本当にありがたいことに、ここ数年は定期的に『魔法科』の色々な作品に関わらせていただいています。『優等生』は深雪が主人公の物語でしたし、『追憶編』では達也と深雪の過去が描かれました。そこから『第3シーズン』に繋がりふたりの学年が上がるので、私自身も新しい気持ちになった気がしました。
桜井水波役・安野希世乃さん(以下、安野):私は『来訪者編』の終盤からの参加ですが、はじめて水波を演じたのはゲーム『魔法科高校の劣等生 LOST ZERO』でした。『来訪者編』に出演させていただいた際には、ここまで物語が進んでやっと水波が動くところをアニメでも見られるのだと凄く嬉しかったです。
そこから4年が経つことに驚きですが、『第3シーズン』も様々なエピソードが展開されます。私が最初にコミカライズからこの作品に触れようと調べた時は、それぞれ担当する作者さんが違っていたり、並行して色々な作品が展開されたりしていたので、どの順番から読むのかネットを駆使して調べたくらいです。深雪様たちが進級するまでの間も怒涛の学園生活でしたが、『第3シーズン』もたくさんのエピソードが連なる話ですので、盛りだくさんになるのだろうなと思っています。
――『第3シーズン』の収録の雰囲気はいかがでしょうか?
中村:新型コロナ期間を経ているので、感染対策が取られていた頃との環境の違いはやはりありました。『第3シーズン』では置鮎龍太郎さん演じる九重八雲をはじめ懐かしいキャラクターが登場するイメージがあるので、現場的に大きく変わった印象はなかったです。むしろ新キャラクターの担当キャストの方たちのほうが大変かもしれないなと思っています。
早見:今回は陰謀に溢れる大人たちの会話が、これまでよりも多い気がしています。ずっと暗躍している人たちばかりなので、「あっ!」と驚いてもらえるんじゃないかなと。
安野:第1話の収録から10人くらい参加していたので、本当に人数が多いなと圧倒されました。その中で、私は主に第1シーズンから登場している司波兄妹のクラスメイト組のみなさんとご一緒しました。『来訪者編』の時は、そんなにみなさんと顔をあわせることがなかったんです。第1シーズンは完成状態で拝見しまして、たくさんの登場人物それぞれに見せ場があるのだなと思っていました。そんな方々とアフレコ現場で一緒になるのは『第3シーズン』のアフレコが初めてだったので、「これが『魔法科』の座組……!」とソワソワしていました。
――前作までで特に印象深いエピソードはありますでしょうか?
中村:『魔法科』には色々な見方があると思っています。その気づきを得られたのが、第1シーズンで九校戦の後にお風呂に入るシーンです。みんな華々しく戦ったのは変わりないのですが、その場面ではほとんど女子しか映ってないんです。第1シーズンは小野学監督でしたが本領を見た気がしましたね。
この作品はドラマだけでもハマることはできるけれど、登場キャラクターが多いので、それぞれのすみ分けや見せ方が上手じゃないとハマりにくい。その点、小野監督はこういう演出やキャラクターの魅力の見せ方が上手いなと感じました。
早見:『第3シーズン』で深雪たちが2年生に進級したことを加味すると、第1シーズンの第1話が印象的だなと思っています。当時のアフレコも、序盤は特にお兄様の台詞に難解なものが多かったことをいまだに覚えていまして……。
中村:最初は何を言っているのかわからなくて苦労したよね。
一同:(笑)。
早見:それもありますし、これから学園生活にとどまらないスケールの大きな物語が始まるんだというドキドキ感も覚えています! 第1シーズンからご覧になっている方は、ぜひ今回の『第3シーズン』と比較してもらいたいです。例えば、深雪たちが1年生の時に描かれた九校戦のエピソードが今回もあります。そういう部分も楽しめるんじゃないかなと。
安野:私は水波にとって初めてのお勤めだった、オフショアタワーで深雪様たちを護衛するところが印象深いです。何十階建てのビルの構造や人員配置を一瞬で把握したところを目の当たりにして、本当に達也様は凄いな……と。それと、高層階から飛び降りるシーンはハリウッド映画もビックリな大立ち回りでした。その後から正式に従妹としてお世話になるのですが、一連の流れがジェットコースターのようで嬉しい運びになったと思っています。
――『魔法科』の用語はかなり難しいものが多いように思います。その点で収録時に苦労することはあるのでしょうか?
中村:『魔法科』の用語ですか……?
早見:それについては中村さんが一番だと思うので、お任せします!
中村:この作品と初めて向き合うことになった第1シーズンでは、ベースの説明がとにかく多かったので大分調べました。『来訪者編』以降は視聴者の方が理解している前提になっていますが、やはりどういう理屈なのか自分でわかっていないと伝えられないですし。
でも作中の魔法や技術がどういう理屈なのかしっかり設定があるので面白かったです。正直に言ってしまえば知らなくても構わないし、「すげぇ」で済ませてしまって良い部分ではあるのですが、調べないと伝えられないなと思いながら演じていました。
やっぱり『第3シーズン』になっても用語やメカニズムについて調べないと、視聴者に伝えるのは難しいなと思います。普通に生活していればわかる範囲の言葉ではない部分がとにかく多いので、そういう点で難しさがあります。
――達也は本当に説明台詞が多いですものね……。
中村:なんでなんでしょうね……。
早見:やっぱりお兄様は技術者でもあるので!
中村:深雪が完全に聞き手に回っていること、僕はちょっと懸念しているんですよ!?
早見:だって、ご自分で作れるから……。
中村:いやいや、もうちょっと説明してもらって……。
一同:(笑)。
早見:深雪はまだその域に達していないですし、自分で解析して製作して調整もできるお兄様のように、全てを理解していないとちゃんと説明はできないんじゃないかなと思います。
――とはいえ、早見さんや安野さんも難しい部分はあるのではないでしょうか?
早見:もちろん私たちにも難しい部分はあります。例えば長い用語とかだと、どこで区切ってひとつのワードになるのかわからなかったりしました。そればっかりは現場で確認しないといけないのですが、こういうことは他では中々ないんです。
技名とかならあるけれど、『魔法科』では説明台詞や大人たちの陰謀にまつわる会話の中でどう読むのか悩む台詞があります。九校戦という現実でいうところの運動会や大会のような学生イベントにも難しい用語が挟まれますし、なにより競技名もかなり個性的ですし。そのあたりが絡み合っていくと中々に複雑で難解だと思いますね。
安野:私もこの作品への出演が決まった時には、CADやサイオンといった用語が何を意味しているのか調べないとひとつずつ前に進めないような状態でした。ふんわり言いたいことが理解できるようになったところで、今度は物語自体の難しさにぶち当たりました。
先ほども少し出ていましたが、それは国が関わっている案件だから自分たちは関われないみたいな大人同士の思惑のぶつかり合いがこの作品にはあって。けれど学校で起きた事件でも、達也様は軍とも関係を持っていたりする。出ていくタイミングやその行動に対してどういう風に見られてしまうと不利益を被るだとか、そういう大人の建前や駆け引きにも巻き込まれていて、あまりにもハイパー高校生過ぎるなと思いながら調べていました。
私も作品をチェックしていると「〇〇家が関わっているからウチはあまり深く関われない」みたいな話が出てきたりして、どうしてなのかその理由が気になってしまったり。作中世界でのキャラクター同士の関係性や対立が入り組んでいるので、知れば知るほど深みが増していく一方です!