この記事をかいた人
- 胃の上心臓
- 拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ロボットアニメ作品やTYPE-MOONの作品を主に追いかけている。
――達也たちが進級して2年生になるということで、『第3シーズン』の台本やシナリオをチェックしての感想もお願いします。
中村:達也は口調や性格、落ち着いた雰囲気から、本人にそのつもりがなくとも偉そうに見えてしまいがちで。今まではそれでも一番下の学年として生徒会などと関わっていましたが、今回は下級生が登場してきて結構メインで深雪を補佐する立場になります。
今まで掛け合いをするキャラクターは主に同級生や目上の人でしたが、今回からは後輩が出てくる。そういう変化は演じている中でも感じていました。下級生に対してあまり上からになりすぎてもよくないし、でも達也だからあまり気を使いすぎるのもどうなんだろうかみたいに、そこの言い方や塩梅は気を付けました。
そして第1シーズンから10年ということは、僕も10年分歳を取ってしまいましたから、自然と偉そうになってしまうところがありまして……。
早見:そんなことないですよ!
一同:(笑)。
中村:後輩に対して喋る感覚が昔と違うんです。意識していない年齢感や立場から見たものが出ないようにしないといけないので、演じる時にそれが出てしまう理由を考えることがあります。
早見:私は、七草香澄&泉美の後輩ズに翻弄される深雪がちょっといいなって思いました。司波兄妹は端から見ても完成されているところがあって、特にお兄様は技術も才能も人間性も揺るぎない。ついていく深雪もそういう存在としてみんなから見られていたので、パーソナルスペースにグッと入り込んでくる人はそこまで多くなかったと思います。今回は深雪が後輩との関わり方を考えてちょっとあたふたするシーンがあったりして、そこが『第3シーズン』ならではで新鮮だと思っています。
――水波は達也や深雪の下級生として新たに入学してくるかと思います。そんな1年生側の視点からみて、2年生になった司波兄弟にどんな印象を持ちましたか?
安野:おふたりは双璧をなす偉大な存在です。学園生活を一緒に送るようになってからは、周囲から一目を置かれて流石だなという想いが絶対にあるんじゃないかなと。家でおふたりの側にいる時と、学校で対外的に従妹であり後輩として扱ってもらえる時とで居心地が違うだろうなと思ったりもします。やはりおふたりだけの世界にはそっと触れないように、離れたところから少しだけ心をざわつかせたりしつつ見守っているような感覚があります。
「おっ?」と思ったのが、七草姉妹との出会いのシーンで泉美ちゃんが深雪さまの方にわーっと寄ってくるところ。水波はそれを引きはがそうとするのですが、こういうキリっとした凛々しい一面は初めて見ました。外でもきちんとガーディアンとしての意識を持ちつつ、おふたりとの学園生活の中でまた色々な表情が見られそうだなと思いました。
――また、達也たちが進級して新入生が入ったので、3年生だった七草真由美や十文字克人は卒業、桐原武明たち2年生が進級して3年生になっています。先輩方の活躍にも期待できそうですか?
中村:真由美は本当に学校を去ったのかと思わんばかりの登場をします。
早見:十文字さんも出てきます!
中村:だから掛け合い的には懐かしい感じがあります。『来訪者編』では同級生たちやアンジェリーナ=クドウ=シールズとの絡みが多かったのですが、今回は学校の中での物語が多いので、そういう意味で真由美とは懐かしいやり取りをしています。
直接やり取りのない先輩方もちょこちょこ登場していて、『第3シーズン』では第1シーズンから見てくれている人たちがより楽しめるというか。これまでに明らかになった情報がある前提で物語が進みます。エピソードが完全に繋がっているので、まだこれまでのシリーズを知らない方はぜひ見てから楽しんでもらいたいです。
そういう意味では、過去に登場したキャラクターの再登場や出番の多さがより目立っているかなと。生徒会の話があるので服部刑部少丞範蔵とかも出てきますし、その辺りは面白い部分です。
早見:中村さんのおっしゃる通り先輩方はたくさん登場するので、ご期待ください!先輩たち同士の会話もありますし、七草先輩は双子の妹たちとのやりとりもありますので、また新しい一面が見られますよ。
――安野さんは達也たち以上の先輩方やその他のキャラクターたちの印象はいかがでしょう?
安野:このシリーズは本当に色々な場所で関わるキャラクターが多く、九校戦がまたあるので他校の生徒さんたちと偶然出会うなんてこともあります。本当に色々な物語が絡み合う中で、これまでのキャラクターがたくさん顔を見せるシーズンになると思います!
――ここで安野さんへの質問なのですが、水波の印象や演じる際にどんなことを意識されているのかを教えてください。
安野:演じている時の印象としては、水波はガーディアンになるため長く四葉家で訓練を受けてきたところがあるので、自分の感情を殺すことがとても上手な女の子です。
ゲームの時から「ちょっと可愛すぎる」とか「感情が出過ぎている」「感情を殺してもう少し抑えてみよう」みたいなディレクションをよくいただいていました。その期間が長かったので、私としても水波と向き合うときの心構えでいようとアフレコに臨んでいました。
『第3シーズン』ではそんな水波が少し違う表情を見せてくれるので、これまでとは少し違う「もうちょっと感情をあらわにしてほしい」「普段通りではなくあわあわと慌てている感じをだしてほしい」みたいな彼女の素を引き出すようなディレクションが多かったことを覚えています。
3~4テイクくらい同じシーンを繰り返して、彼女の感情をどれくらい出していいのかちょっとずつ試したこともありました。そのおかげでここまで感情を露わにしていい女の子だったのかと、今回のアフレコで改めて出会い直した気分になったんです。彼女の可愛いところやこれまでと違った表情が見られると思いますので、楽しみにしていてください!
――『魔法科高校の劣等生 追憶編』で見た目的にはそっくりな桜井穂波が登場していますが、彼女を意識した部分や参考にした部分はあったりするのでしょうか?
安野:穂波さんと水波は外見は似ていても、感情表現の仕方も含めてあまり似たところはないように感じています。血筋としては同じ調整体で姪にあたりますが、やはり穂波さんの背中は大きいので……。
水波もいずれは穂波さんのように、深雪様のガーディアンとして全力を尽くしたいと思っているんじゃないかなと。面影はあるけれど、内面としてはそれぞれの使命感みたいなもので、穂波さんも水波も深雪様たちと向き合っているのかなと思っています。
――中村さんと早見さんは水波の印象はいかがでしょうか。
早見:『追憶編』で穂波さんとの物語を経験しているので、少し感慨深い気持ちになりました。けれど安野さんがおっしゃったように、そっくりではあっても別の人格の持ち主なので、これから一緒に生活を共にするにあたって深雪は「水波ちゃんは水波ちゃん」として接していると思います。気さくに話しかけたり、ちょっとお姉さんっぽい振る舞いをしたり、ふたりのやり取りだから生まれる会話があるので、同級生たちとはまた違う距離感なのかなって思っています。
中村:達也は深雪以上に穂波との出来事がきっかけで、調整体という存在に対して思う所があるように思います。顔や表情や所作、そういうものを見た時に思い出す何かがあると感じていて。作中でそういう描写が入る訳ではないのですが、ひょっとしたら達也にもそういう一面があるのかなとか。だから割と接し方が難しいと感じているのではないかと。
早見:お兄様の方が割としっかり距離感を維持していますよね。
中村:関係値を保つというよりあまりフレンドリーにならない感じですね。対する深雪が友達のような距離感になるので、ひょっとしたら達也にはそういう部分がある気がしています。
――ありがとうございます。水波は司波兄妹にかなり迫るキャラクターになりそうですが、やはりこの兄妹にはふたりだけの世界みたいなものがありそうです。安野さんはその点はどんな感想を持ちましたか?
安野:家の中での水波は、おふたりの身の回りのお世話をしなければという気持ちが最初はあったと思います。ですが達也様のお世話は深雪様にとってのテリトリーになっているので、水波はそんなおふたりの神域と自分がやってもいい仕事のすみ分けを、手探りで理解していくことになるんじゃないかと。顔に出る訳ではないのですが、水波はかなり気を遣う方だと思うので、家に来たばかりの猫のように距離感を測っていくと思います。
――最後に放送へ向けてファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
中村:今回の『第3シーズン』は、ゲームやコラボなどでみなさんに『魔法科』というコンテンツをお届けし続けられる状況で迎えられました。アフレコはそろそろ終了なのですが、凄くスムーズに進んでいます。その中で絵素材を拝見しましたが、こういう方向性でいきたいのだろうなというイメージを強く受けることがありました。これまで見て下さった方や新たに触れる方たちにも、楽しんでもらえればと思いますのでよろしくお願いします。
早見:いよいよ『第3シーズン』が始まります。進級したことで司波兄妹もまた違う歩み方をしていくと思いますが、このふたりは新しいキャラクターがたくさん登場してもブレません。既に本PVが公開されていますが、「『魔法科』がまた始まるぞ!」という勢いとエネルギーに溢れています。また、LiSAさんが「Rising Hope」以来にオープニング主題歌「Shouted Serenade」を担当されているので、第1シーズンから見ていただいている方は熱い気持ちになっていただけるはずです。これから『魔法科』に触れる方にも一緒に楽しんでいただければと思います。
安野:水波は『第3シーズン』では第1話から登場させていただいています。『来訪者編』が助走だとすると、今回はしっかり物語に関わる土俵に立てるシーズンだなと嬉しく思います。学園の外で行われるバトルシーンや九校戦といった作画的な見どころ、そして舞台が変わる展開的な見どころ など、色々な見どころが盛りだくさんです。水波としては、緊迫するシーンや深雪様とほっと和める瞬間もちらほら描いていただいているので、そういうシーンは私も楽しみです。揺れる深雪様の心を追いかけることにもなりますので、みなさんも色々なところに楽しみを見つけていただければ嬉しいです。
[文・胃の上心臓]
拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ガンダムシリーズをはじめとするロボットアニメやTYPE-MOONを主に追いかけている。そして、10代からゲームセンター通いを続ける「機動戦士ガンダム vs.シリーズ」おじ勢。 ライトノベル原作や美少女ゲーム、格闘ゲームなども大好物。最近だと『ダイの大冒険』、『うたわれるもの』、劇場版『G-レコ』、劇場版『ピンドラ』がイチオシです。