迅火、真介の激闘・成長が描かれた第12話は、印河の言葉に“むなしさ”も感じた――『戦国妖狐』真介役・木村良平さんインタビュー|みんなで仕上げた第一部を最終回までぜひ見届けてほしい
人間好きの妖狐・たまと、人間嫌いの主人公・迅火(じんか)の“義姉弟”が人間にあだなす闇(かたわら)退治の旅を続ける戦国バトルファンタジーアニメ『戦国妖狐 世直し姉弟編』(原作:水上悟志)がついに閉幕!
物語の終盤では、迅火、たま、真介それぞれが想いを抱えて断怪衆の総本山へ。迅火は道錬と、真介は烈深と激闘を繰り広げます。息も絶え絶えの迅火は自身の頭の中に手を突っ込み、尾が7本になる進化を見せ、道錬を撃破。一方の真介は魔剣・荒吹の力で決戦の場を空へ移します。荒吹の言葉で覚醒した真介は「天地割り」で烈深の武装を解き、殴り合いの末、勝利を収めます。
戦いの中で人間と闇は同じ存在で、違うのは肉体(うつわ)だけだと悟った迅火と真介。そこに野禅に操られ巨大な城のロボットと化した泰山が襲い掛かってきます。山の神が大きな山の闇で対抗し、泰山を倒すと、精霊転化(せいれいてんげ)した野禅が現れ、遂に最終決戦へ。戦いの結末は、第一部「世直し姉弟編」の最終回となる第13話へと持ち越されるのでした。
アニメイトタイムズでは、キャスト・スタッフへのインタビュー連載を実施中。今回は、真介役を演じる木村良平さんに第一部を振り返った感想と、作品の魅力、見どころなどを語っていただきました。
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第12話は迅火や真介の成長が見える一方、印河の言葉に“むなしさ”も感じた回
――真介にとって大切なエピソードとなった第12話を振り返った感想と、印象深いシーンやセリフを教えてください。
真介役・木村良平さん(以下、木村):山の神の修行でみんな少しずつ変わって、野禅率いる断怪衆との決戦に臨んだ中でも、みんながまた更なる変化や成長を遂げていったところがよかったです。でも真介は、魔剣の荒吹から気付きをもたらされたものの、心に平穏が訪れるわけではなくて。迅火も成長を遂げたけれど、たまは危うさを感じていたりと、成長ではあるんですが、後々への禍根を残すようなお話で印象的な回でした。
あとは断怪衆の印河が「ほらな、不毛なんだよ。いくら力を求めても……。より強い力に塗りつぶし返されるだけだ」と言っていたことが一番しっくりきて。すごくむなしい回だった気もするんですよね。断怪衆四獣将の烈深も、ついこの間までろくに戦えなかった真介に負けてしまったり、迅火も道錬を熱い激闘の末に倒したのに、神同士の戦いから見れば、ちっぽけで。すごくむなしくて、あの中ではもはや一番弱い部類の印河が本質を捉えていたのも印象的でした。
――激闘ばかりだったので、キャストの皆さんの熱演も素晴らしかったです。
木村:みんな叫んでいましたね。話数が進むにつれて、叫ぶことが増えていって。でも一緒に収録出来るようにしてくれたスタッフの皆さんに感謝しています。一緒に掛け合うことで、ぶつかり合って、高まっていくものですから。
シリアスとコメディのバランスが気持ちいい作品。映像面ではカメラテクニックに感心
――原作や台本を読んだり、演じてみて感じた作品の印象や魅力をお聞かせください。
木村:僕は極力、原作を読みたくない派で、特に真介のようにずっと登場している役柄だと内容も把握できてしまうので。演じ始めた頃は「ほのぼのした旅ができるのかな」と思っていましたが、序盤からヘビーな展開になって、一人一人が抱えているものをちゃんと受け取ろうとするとズシンとくるものがあって。先が読めなくてワクワクするし、合間ではちゃんと笑わせてくれるし、バランスが気持ちいい作品だなと思いました。
――コメディシーンとシリアスシーンの差がかなり大きいですよね。
木村:しかも予兆もなくやってくるので心構えができなくて。
――だからこそ視聴者側も目を離せなくなって、引き込まれます。
木村:演じている側も集中していないと、ガラっと変わってしまうので。「前のカットに引きずられちゃったな」と思ったら台無しになってしまいますから。
――特に真介は序盤でコメディの部分を担うことが多いですし、シリアスな時の感情や表情もわかりやすいので幅が大きいですよね。
木村:でも第7話以降では、真介のふざけたところがなくなってしまって寂しかったです。その分、りんずがおもしろくしてくれましたが、逆に今度はりんずに引っ張られて迅火がおもしろくなるのも作品全体のバランスがとれていいなと思いました。
――アニメの映像をご覧になった感想をお聞かせください。
木村:すごかったですね。収録中はまだ完成していなかったので、バトルシーンも「こんな感じです」と聞きながらやっていました。気合を入れているとは聞いていましたが、いざアニメを見たら、画がすごく動くし、カメラもすごくいいなと思いました。
バトルシーンは引きでわかりやすく見せるのかなと思ったら、ぐーっと寄って、「何が起きているんだ!?」と思わせてから、後で起きたことを見せたりして。更に勢いを感じたし、こういうテクニックもあるんだなと感心しました。
あとこの作品は表情が強いので、そこに影響を受けて僕らも芝居していますし、見せ方もどんどん変わっていくのもおもしろいですね。そして色味も好きです。色自体は今も昔も変わらないのに、なぜか室町時代のような、ネイチャーな感じがあのくっきりした色にあって。
――戦国時代的な世界観なのに、巨大な敵やロボットみたいな建物が登場したり、バトルシーンで技名が漢字で大きく表示されるのもおもしろいですね。
木村:ともすれば雑とも言える世界観はいいですよね。バリーなんて口からビームを出していましたから(笑)。山の神も平気で「V!」とか言うし。「知るか!」と言いそうなキャラが「知るか!」という感じのことをやってくれるのは気持ちいいですね。