映画
『化け猫あんずちゃん』監督・久野遥子&山下敦弘インタビュー

あんずちゃんは猫である――『化け猫あんずちゃん』久野遥子&山下敦弘監督インタビュー|“寺の化け猫”という設定に込められた作品の裏テーマも判明!?

いましろたかし先生の漫画を原作としたアニメ映画『化け猫あんずちゃん』が、2024年7月19日(金)より全国公開となります。

『苦役列車』『カラオケ行こ!』などでお馴染みの映画監督・山下敦弘さんによる実写映像を、アニメ・イラスト・漫画など幅広いジャンルで活躍するクリエイター・久野遥子さんが、ロトスコープでアニメ化した本作。

アニメーション制作を『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』などを制作するシンエイ動画と、気鋭のフランスアニメスタジオ・Miyu Productionsが合同で手掛けており、その特殊な制作過程も話題を呼んでいる作品です。

そんなスペシャルな体制で生み出された本作は、寺の化け猫・あんずちゃん(演:森山未來)と大人びた少女・かりんちゃん(演:五藤希愛)のひと夏を描いた、大人も子供も楽しめるアニメ映画になっています。

このたび、アニメイトタイムズでは、久野遥子監督、山下敦弘監督にインタビューを実施!

アニメや漫画に造詣が深い久野監督独自の視点、山下監督が生み出す実写映画ならではの作劇など、本作をより楽しむための素敵なお話をたっぷりと伺いました。

最高の夏休み映画『化け猫あんずちゃん』が、きっとあなたの夏を素敵に彩ってくれるはず!

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化け猫あんずちゃん
雷の鳴る豪雨の中。お寺の和尚さんは段ボールの中で鳴いている子猫をみつける。その子猫は「あんず」と名付けられ、それは大切に育てられた。だが、おかしなことに10年・20年経っても、死ななかった。30年たった頃、どうした加減なのかいつしか人間の言葉を話し、人間のように暮らす「化け猫」になっていた。移動手段は原付。お仕事は按摩のアルバイト。現在37歳。そんなあんずちゃんの元へ、親子ゲンカの末ずっと行方知れずだった和尚さんの息子が11歳の娘「かりん」を連れて帰ってくる。しかしまた和尚とケンカし、彼女を置いて去ってしまう。大人の前ではいつもとっても“いい子”のかりんちゃん。お世話を頼まれたあんずちゃんはしぶしぶ面倒をみるのだが、どうも一筋縄ではいかない気配が……。作品名化け猫あんずちゃん放送形態劇場版アニメスケジュール2024年7月19日(金)キャストあんず:森山未來かりん:五藤希愛哲也:青木崇高柚季:市川実和子おしょーさん:鈴木慶一貧乏神:水澤紳吾閻魔大王:宇野祥平スタッフ監督:久野遥子 山下敦弘原作:いましろたかし『化け猫あんずちゃん』(講談社KCデラックス刊)制作プロダクション:シンエイ動画×MiyuProductions脚本:いまおかしんじ音楽:...

いましろ先生の原作に“かりん”という新しい軸をプラス

ーーまずは、おふたりが本作に携わるまでの経緯をお聞かせください。

山下敦弘(以下、山下):僕は8年前に近藤くん(近藤慶一プロデューサー)に声をかけてもらって、企画の立ち上げから参加しています。近藤くんとは、『苦役列車』という作品で彼が助監督をやっていた時代から色々な現場でご一緒していました。久野さんは『花とアリス殺人事件』にロトスコープアニメーションディレクターとして参加した際、近藤くんと出会ったようです。

ーーもともとおふたりで作品を作るということも決まっていたのでしょうか?

久野遥子(以下、久野):近藤さんの中ではそうだったのかもしれません(笑)。

山下:(笑)。いましろたかし先生とも『あんずちゃん』の連載前から面識がありました。「今度、ボンボンで描くんだ」と言われて、子供向けの雑誌で描くんだなと思いながら読んでみると、いましろ節は健在で(笑)。ただ、それまでと違うタッチやアプローチも感じられて、面白く読んでいたことを覚えています。

久野:いましろさんの漫画には、主人公の男の葛藤ややるせなさ、背負ったものが丁寧に描かれています。それ自体は、『あんずちゃん』にも引き継がれているんですけど、あんずちゃんは猫なので、能天気で何も背負っていない感じがします。いましろさんの作品の中でも新機軸という印象でしたね。

ーー良い意味で力が抜けているというか。

久野:本当に力が抜けていますよね(笑)。

ーーそんな原作を映像化するにあたって、どのような話し合いがあったのでしょうか?

山下:映画にするうえで、「もうひとつ軸を作りたい」という話になり、かりんという少女を新たなキャラクターとして登場させることになりました。制作の中で、僕が本作を「かりんの映画」にしようする度に、久野さんが「これはあんずちゃんの映画です」と引き戻す……という流れが何度かあって(笑)。久野さんには、そのあたりのバランスをとっていただきました。

久野:あんずちゃん自体は能動的に動くキャラクターではないので、物語の軸にするのはとても難しい。一方で、かりんを前に出しすぎると映画の印象が変わってしまう。両者のバランスを整えると、作品の手触りがどんどん良くなっていきました。

山下:先ほど話に挙がった近藤くんと脚本のいまおかしんじさんも含め、かなりシンプルな脚本の初稿から、6年ほどかけてゆっくり練り上げていったんです。

ーー初稿の制作から6年も……!

久野:実を言うと、作品がどのくらいのペースで動いていくのか未知数だったので、脚本を練ることくらいしかできませんでした(笑)。Miyu Productionsさんが2019年から参加されて、そこから制作が一気に進んでいった気がします。打ち合わせの頻度も上がって、脚本もぎゅっと固まって。

山下:色々ありましたが、最終的にはあんずとかりんの話に着地しました。かなり迷走していた時期もありましたけど……。

久野:あんずとかりんのふたりのお話にするのは決まっていたものの、中身は紆余曲折でした。色々な構想がありましたよね(笑)。

山下:あんずが急に悩み始めたり。

久野:あんずが街を出ていったり。

ーー(笑)。

山下:その都度、キャラクターの見え方が変わって、今はちょうど良い感じに落ち着いている気がします。原作の持ち味を残しつつ、ちゃんとふたりの映画になったなと。

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