『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく！』青山吉能さんにとって《結束バンド》メンバーの存在とは／インタビュー

結束バンドの楽曲から入った人は劇場総集編で作品と曲との関係性を深めてほしい

――劇場総集編をどんな人に観てほしいですか？

青山：『ぼっち・ざ・ろっく！』を知らなくても、結束バンドの曲は聴いたことがあるっていう人が結構いらっしゃるんですよ。今はサブスクが主流なので、そういうことが全然あるんですけど、その曲が、作品の中でどんな効果を生み出しているのか、というのをぜひ知ってほしいです。

歌詞も「何となくカッコいい言葉が並んでいるな」ってところから、作品を知ることで、もっと深く曲を知ることができると思うんですよね。たとえば、後藤ひとりが作詞をしていて、作曲を山田リョウがしている。それをわかっていると、あのぼっちちゃん（後藤ひとり）が、こんな歌詞を書くの!?とか、山田の作曲センスやば！みたいになるんです。よくよく聴けば、ベースがバチイケの曲ばかりなんですよ。「山田リョウ、自分のことしか考えてねえじゃねーか！」とか、そういうところまで見えてきたりするんです。

曲と物語が密接に関わっている分、曲だけしか知らなかった方は、ぜひこの機会に、作品とくっつけてほしいなと思います。

――青山さんも、この作品がきっかけでギターを始めることになりましたよね。ギターを弾くと楽曲の捉え方も変わるのではないですか？

青山：それまでは、私の中で曲の大半を占めていたのは歌だったんです。でも改めてギターだけを弾いてみると、こんなに難しいことをしていたんだ！と思いましたし、サビの中でもコードって何度も変わるし、変わるたびに物語が変わる。コードが変わるってエモいな、みたいなことが感じられて、歌と歌詞だけでいい曲だと思っていたものが、コードのエモさからも曲を聴けるようになったのは、自分の中で大きな発見でした。

――TVアニメが大ヒットをし、今回の劇場総集編など、驚くことばかりが起こっていると思いますが、中でも驚いたことはありますか？

青山：まだ現実じゃないので、現実じゃないかもしれないんですけど、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024』に出ることになったんですよね。まだ嘘かもしれないですよね？　この間ちょうど第2弾の発表があって、ASIAN KUNG-FU GENERATIONさんと同じ日で、「同日やないかい！」と思いました。ちょっと考えられないんですけど、要するに同じ空気を吸うっていうことですよね？　私はアジカンさんのライブに行ったことがないので、生身で生きているアジカンさんにはお会いしたことがないんです。

――裏で挨拶をする事があるかもしれないですし、キャスト4人で出るからにはあの曲もやるのか？と思ってしまいますけど。

青山：どうなんですかね。でも4人で出るってことになったから、どうなっちゃうんだろう。考えただけで、いろんな何かが出てしまいそうですが、今は頑張ります！としか言えないです（笑）。

――結束バンドは、キャスト同士の仲の良さも感じられますが、青山さんにとって結束バンドは、どんな存在になっていますか？

青山：結構『ぼっち・ざ・ろっく！』での稼働が多いので、そういう意味ではかなり頻繁に会っているんですけど、会うたびに「このあと、ご飯行く？」みたいな感じで、軽くご飯へ行ったり、私の誕生日の日にも3人が集まってくれたので、『ぼっち・ざ・ろっく！』がなかったら、私、誕生日孤独だったのかな？と考えたくらい、かけがえがなさすぎるものをメンバーにはもらっています。

――それこそ1クール3ヶ月で終わってしまう作品が多い中、関係性がこうやって長く続いているのは素晴らしいことですよね。

青山：そうですね。（鈴代）紗弓とか育美さん、（水野）朔も、それぞれ人に対して前向きなんです。特に朔なんて、一番後輩で、遠慮しちゃうみたいなところがあると思ったけど、自分から「ここに行きたいです」「皆さん、明日何していますか？」って言ってくれたりするから、嬉しすぎると思ったり。そういう間柄になれたのも、みんなが人を大好きで、この作品が大好きだからなんだろうなと思います。

――後藤ひとりって、みんなからちやほやされたい！って目標があったと思うんですが、青山さんは、すでにその目標を叶えていると思うのですが、みんなからちやほやされた、褒められたことで印象に残っていることってありますか？

青山：私、褒め言葉を素直に受け止められないところがあるんですよ。「そのお洋服、おしゃれだね」って言われると、「身の丈に合ってない服を着るなよ」と言っているのかな？みたいに捉えるんです。そういう皮肉なのではないか？みたいな。

実際にそれに気付けなかったことがあって、小学校の通信簿で、「いつも賑やかで」と書いてあって嬉しかったんですけど、その後の三者面談で、それがうるさくて落ち着きがないという意味だったことが判明したんですね。それを賑やかと表現してくださったんだと。大人になればなるほど、そういうことって多いと思うから、褒め言葉は、そのまま受け取ってはいけないと思ってます。現代進行形で！

――ちやほやされたとしても、そんなことはないと、どこかで思ってしまうんですね（笑）。

青山：今だけなんだろうなと。来年には、青山吉能、吉能ってなんて読むんだ？と言われてるんだろうと思うと、褒められたとしても、それを受け取らないでおこうと思っています……。

――すごく、ぼっちちゃんを演じるのにふさわしいメンタリティだと思いました。確かに、ぼっちちゃんも、ちやほやされたとて、一瞬は舞い上がるけど、ちょっと経ったらそんなことないと思っているかもしれないですね。

青山：かもしれない！

――ありがとうございます。では最後に『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく！ Re:／Re:Re:』を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

青山：ちょうど8月4日に『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024』があって、9日には後編も始まるので、すごく絶好のタイミングだと思っています。音楽を聴いて、結束バンドいいじゃん！と思った方は、映画館へ行ってください。よろしくお願いします！

　
［文＆写真・塚越淳一］