タマは“パーティの中で”一番のしっかりもの! ダメなセンセーを放っておけない素直さが素敵――夏アニメ『異世界失格』タマ役・鈴代紗弓さんが第3話を振り返る【インタビュー連載第3回】
大久保さんからのオススメ書籍についての感想は?
――この連載では、次に登場するキャストさんへのオススメの文学作品をお聞きしています。まず前回の大久保さんから、江戸川乱歩の『人間椅子』を下記のようにコメントいただいています。
「私が初めて読んだ江戸川乱歩作品です。選択肢が3つくらいあって読み手に選ばせるような作品なんですよね。正直、女性が読んで気持ち悪いと思う作品です(笑)。でも私の中では、この作品が江戸川乱歩作品の入門編にいいかなと思うんですよね。本以外でも無料のネット図書館の『青空文庫』などで読めるし、短編でさくっと読めるのに、読み終わった後、『これって結局、どういうことだったんだろう?」と考える余地があるので、面白いです」
――作品はご存知でしたか?
鈴代:いえ、知らなかったです。でもタイトルを聞くと不穏な感じですね(笑)。女性が読んで気持ち悪いと感じる作品を、私に勧める理由も知りたいです(笑)。
――ちなみに神谷さんが大久保さんに勧めた作品は江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』でした。あとは東野圭吾さんの「加賀恭一郎シリーズ」の1つの『悪意』も大久保さんのオススメとのことです。
「全部読み終わった後に『ああ、こういうことか」って。私はそういう作品が好きなので。シリーズ4作目ですが、加賀恭一郎が刑事だということがわかっていれば、だいたい読むことができるので、これもオススメの作品です」
鈴代:あまり本について詳しくない私も、東野圭吾さんのお名前は聞いたことがあります。瑠美さんも神谷さんもよく本を読まれているんですね。瑠美さんに勧められたからには絶対に読みます
木野さんへのオススメ作品は「文学作品」「ファンタジー」そして「ビジネス書」!?
――では木野さんに勧めたい文学作品のご紹介をお願いします。
鈴代:文豪の作品というと、学生時代に授業で読んだ夏目漱石の『こころ』しか浮かばなくて(笑)。私もお二人みたいに、華麗に文豪と作品名を言って、「すごい!」と思われたい!(笑) なので今、読みたいと思っている本でもいいですか?
――はい。
鈴代:樋口一葉の『たけくらべ』です。
――新しい作品なのかと思ったら、学校の推薦図書にも入るようなスタンダードな作品で。
鈴代:知らなかった(笑)。少女が大人になるまでの過程を繊細に描いた作品だと何かに書いてあって。文豪の作品はちょっと難しいイメージがあるけど、この作品はラノベでもおかしくないような内容なのかなと気になっています。
――文豪作品でなければオススメしたい作品は?
鈴代:『星の王子さま』(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ作)が好きです。あと今読んでいるのは……『売れるコピーライティング単語帳』です。
――今、調べたら8万部売れていて、ビジネスマンの必携本みたいですね。
鈴代:私、台本を読むのにもめちゃめちゃ時間がかかるタイプなんです。あと話す時も1を言いたいだけなのに、5くらい言っちゃうんですよね。言葉を知らなさ過ぎてこの本を買いました。コピーライティングの本ですが、1つの言葉でキャッチーで印象に残る言葉が載っているので、ためになります。まだ読んでいる最中なんですけど……。ここまでで、もし次にバトンタッチする木野さんが気になったものがあれば読んでいただけると嬉しいです。
文豪をテーマにした作品らしくセンセーの「言葉」に注目を!
――改めて本作の見どころについてお聞かせください。
鈴代:このアニメは導入から結構シリアスな要素が強かったと思いますが、キャラも増えて、どんどんパーティっぽくなってきました。どちらかと言えば絡みにくいセンセーと(笑)、アネットとタマにニアが加わって、会話劇としてもより楽しんでいただけると思います。今後は今回のコータローやスズキのように魔王を倒すために集められた転移者たちが敵になったり、今まではミラクルで何とかなったけど、第3話のようにいよいよ何とかならなくなってきた中で、センセーたちがどう立ち向かっていくのかを見届けていただきたいです。
あとタマの本名や抱えている問題など、一人ひとりのキャラにスポットが当たっていくので、それらを経てセンセーは果たして、さっちゃんと出会えるのかも楽しんでいただきたいです。
個人的には、センセーがさらっと言うセリフは、一見簡単そうな言葉に思えるけど、実は簡単には出てこないワードチョイスなので、文豪をテーマにした作品らしく、言葉も楽しんでください。もちろんセンセーの持つギフテッドの内容も。ほかにも、旅で出会っていく悩みや問題を抱えた人に、死を望んでいるセンセーの言葉が響いたり、人生が変わったりします。そこがこの作品の大きな見どころでもあるのかなと思っています。
先日放送された第3話で、1つの山場を越え、仲間も増えたセンセーたちの旅が本格的に始まったと思っています。アネットとイーシャの関係性やイーシャの想いなどにも注目してください。
――では皆さんへメッセージをお願いします。
鈴代:今まで転生ものの本を読んだり、アニメを見てきた方は「転生」ではなく、「転移」という点に新鮮さを感じた方もいらっしゃるかもしれません。「転生」はファンタジーっぽいけど、「転移」だからこその生々しさが……特に本作のセンセーにはあるのかなと思います。
対照的にアネットやタマはファンタジーらしくて、現実っぽさとファンタジーっぽさが交じり合っているところも楽しんでいただけるのではないかなと思います。ミステリアスなストーリーと、カラフルで個性がバラバラなキャラたちのやり取りは肩の力を抜いて見ていただけるかなと思うので、第4話以降も引き続きよろしくお願いします。
連載バックナンバー
『異世界失格』作品情報
あらすじ
憂い多き人生の如く渦を巻く激流へと身を投げ...るよりも早く、猛スピードで突っ込んできた〝例のトラック〟によって。
文豪が目を覚ますとそこは、異世界の教会。案内人は、慈愛に満ちた瞳で微笑みかける。
「ようこそ冒険者よ。あなたは選ばれ、転移したのです」
御多分に洩れず、勇者の使命を背負わされてしまう文豪。だが、彼は転移者の誰もが与えられる〝あるもの〟を持たなかった......。
「...ふふ。恥の多い生涯だ」
この世でも、異世界(あの世)でも <失格者>の烙印を押された文豪(センセー)の冒険が幕を開ける。
きっと、どこかにいるはずの「さっちゃん」を見つけ出し、今度こそ、あの日の本懐——心中を遂げるために。
キャスト
(C)野田 宏・若松卓宏・小学館/「異世界失格」製作委員会