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- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。
『暗殺教室』や『魔人探偵脳嚙ネウロ』で知られる漫画家・松井優征先生の作品『逃げ上手の若君』。2024年7月よりアニメの放送が始まった今期注目作のひとつです。
本作は、滅亡した鎌倉幕府で1人生き残った幕府の跡継ぎ・北条時行が、“逃げ隠れ”の才能を活かし、鎌倉奪還のため厳しい試練と戦いに身を投じていく物語。
本稿では主人公・北条時行の情報を一挙にお届け! 逃げ隠れを活かした強さに加え、性格や人柄などを交えて解説していきます。
※本記事は若干のネタバレが含まれます。
鎌倉幕府の執権・北条高時の嫡男。鎌倉幕府の跡継ぎだが、地位や権力に興味がない優しい性格。武芸の稽古は逃げるほど嫌い。自身も信頼を寄せていた足利高氏の謀反によって幕府が滅亡し、8歳にして故郷も親兄弟も失ってしまう。逃げ落ちた諏訪の血で、諏訪頼重から逃げ隠れの才を見抜かれ、その才能を磨き、鎌倉奪還を目指す。
鎌倉幕府統治下で平和に暮らしていた頃から武芸の指南役から逃げ回っていた時行。本気を出せば大人でも容易に捕まえられないほど、ずば抜けた逃げ隠れの能力を持っていましたが、周囲の大人からは「怠惰」「臆病」と言われ、評価されるどころか欠点として見られていました。
しかし、逃げ隠れの才能は、見方を変えれば生き延びる才能ということ。鎌倉幕府が滅亡し、命を狙われる立場になった時行は、“生存本能の怪物”としてその才能をさらに開花させていきます。
時行のすごいところは、怯えながら逃げ隠れするのではなく、楽しんでいるところ。生死の境のヒリつく緊張がたまらなく大好きで、ギリギリで敵の刀をかわすことにも、紙一重のところで矢を避けることにも、頬を紅潮させるほどの興奮を覚えているのです。
逃げ隠れに特化した才能の時行ですが、武術に関してはお世辞にも強いとは言えません。弓はそこそこの腕前であるものの、刀に関しては藁束にさえ歯が立たないほどダメダメ。頼重曰く、時行の筋肉は常に逃げられる準備をしているため、へっぴり腰で刀を振ってしまっているのだとか……。
そんな不得意な武術であっても、“逃げ”で活路を見出していきます。馬で逃げながら矢を放つ術や退きながら斬る技など、時行ならではの“逃げながら”の武術を身に着け、強敵に立ち向かっていきます。
鎌倉幕府の跡継ぎという正真正銘のお坊ちゃまである時行ですが、高慢さや擦れたところがなく、非常に素直で優しい心を持っています。幕府が滅び、信頼していた人々からの数えきれない裏切りに遭ってからも、その人柄は変わりません。
優しく仲間思いな時行は、時に身を挺して郎党(家臣)をかばったり、戦で撤退する際に殿(しんがり・最も危険な最後尾)を務めたりする中で仲間たちの心を掴んでいきます。
時行の郎党「逃若党(ちょうじゃとう)」は、時行の人柄に惹かれて集まった彼の配下。全員が時行とあまり年齢の変わらない子供ですが、それぞれ大人顔負けの能力を持っています。主従関係ではあるものの、時行とは気さくな関係。
雫(しずく)
神力を操る秘術を使える諏訪大社の巫女。お家全般を取り仕切る「逃若党」の執事的役割。時行を“兄様(にいさま)”と呼び慕っている。時行と同い年。
国司の圧政に耐えかねた諏訪神党の武将・保科が兵を挙げ反乱を起こします。しかし、その兵力差から勝ち目はなく、国と全面戦争となってしまうため諏訪からも援軍は出せない状況です。
そこで、時行と「逃若党」に、保科軍のもとへ行き戦いを止めさせ、保科やそこに住む民らを無事に逃がすというミッションが与えられました。
すでに臨戦態勢の保科本陣に赴いた時行一党でしたが、保科軍は皆死ぬ覚悟で戦に向かおうとしており、とても止められる雰囲気ではありません。それほどまでに国司の圧政が苦しく屈辱的だったのです。
これ以上ないほど高ぶった戦意を衰えさせるため、時行たちはできるだけ味方が死なないように戦を援護。それでも死ぬことにこだわり続ける保科に、時行は「貴方達は美しく死ぬ自分に酔ってるだけだ」「潔く死んでも何も残らない! せいぜい無力な子が残るだけだ!」と逃げて生き残るよう一喝。
時行の気迫に圧倒された保科は考えを改め、撤退を決行。無事逃げて生き延びることに成功し、時行一党とも強い絆で結ばれることとなります。これを機に、時行は死にたがりの武士を生きたがりにして仲間を増やすという目標を掲げるのでした。
後醍醐天皇の「各地に残った親北条勢力を討伐せよ」という命令に従った連合軍と、諏訪側の勢力が信濃の各地でぶつかり、3つの戦場で同時に戦が勃発します。「逃若党」に課されたミッションは、3つの戦場の伝令役。戦況や重要な情報を各戦場に伝えて回るというものです。
戦場での伝令は、見つけ次第迷わず殺すか、捕まえて拷問するのが普通であり、とても危険な役割なのですが、そこは逃げ上手の時行。持ち前の逃げの力と諏訪で身につけた馬術で、生き生きと各戦場間を駆け抜けます。
伝達のために昼夜を問わず走り続けるだけでなく、時には郎党たちと軍議にも参加し、時には戦場に立って、戦を学んでいく時行。諏訪の武士たちは、自分たちのために命をかけて働きまわる時行の姿に心を打たれ、彼を強く信頼するようになります。
生き生きと楽しそうに危険な戦場を駆け回り、さらに一回り成長する時行に注目です!
北条時行を演じるのは結川あさきさん。2月15日生まれ、東京都出身。『となりの妖怪さん』の杉本睦実役をはじめ、『トラペジウム』の東ゆう役など、数々の人気キャラクターを演じています。
鎌倉幕府の滅亡により、あっという間にすべてを奪われた時行。潔く死ぬことを美学とする武士の社会で、逃げて、隠れて、天下を狙います。命がけの鬼ごっこに身を投じた侍王子の生涯をごらんあれ!
作品名 | 逃げ上手の若君 |
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スケジュール | 2024年7月6日(土)〜2024年9月28日(土) TOKYO MX・ BS11ほか |
あらすじ | 時は西暦1333年、武士による日本統治の礎を築いた鎌倉幕府は、信頼していた幕臣・足利高氏の謀反によって滅亡する。 全てを失い、絶望の淵へと叩き落とされた幕府の正統後継者・北条時行は、神を名乗る神官・諏訪頼重の手引きで燃え落ちる鎌倉を脱出するのだった…。 逃げ落ちてたどり着いた諏訪の地で、信頼できる仲間と出会い、鎌倉奪還の力を蓄えていく時行。時代が移ろう大きなうねりを、「戦って」「死ぬ」武士の生き様とは反対に「逃げて」「生きる」ことで乗り越えていく。 英雄ひしめく乱世で繰り広げられる、時行の天下を取り戻す鬼ごっこの行方は―――。 |
話数 | 全12話 |
キャスト | 北条時行:結川あさき 雫:矢野妃菜喜 弧次郎:日野まり 亜也子:鈴代紗弓 風間玄蕃:悠木碧 吹雪:戸谷菊之介 諏訪頼重:中村悠一 足利高氏:小西克幸 小笠原貞宗:青山穣 諏訪盛高:石黒史剛 市河助房:山本高広 瘴奸:東地宏樹 |
スタッフ | 原作:松井優征(集英社「週刊少年ジャンプ」連載) 監督:山﨑雄太 シリーズ構成:冨田頼子 キャラクターデザイン:西谷泰史 副監督:川上雄介 プロップデザイン:よごいぬ サブキャラクターデザイン:高橋沙妃 色彩設計:中島和子 美術監督:小島あゆみ 美術設定:taracod takao 建築考証:鴎利一 タイポグラフィ:濱祐斗 特殊効果:入佐芽詠美 撮影監督:佐久間悠也 CGディレクター:有沢包三 宮地克明 編集:平木大輔 音響監督:藤田亜紀子 音楽:GEMBI 立山秋航 音響効果:三井友和 制作:CloverWorks |
主題歌 | OP:「プランA」DISH// ED:「鎌倉STYLE」ぼっちぼろまる |
1990年生まれ、福岡県出身。小学生の頃『シャーマンキング』でオタクになり、以降『鋼の錬金術師』『今日からマ王!』『おおきく振りかぶって』などの作品と共に青春時代を過ごす。結婚・出産を機にライターとなり、現在はアプリゲーム『アイドリッシュセブン』を中心に様々な作品を楽しみつつ、面白い記事とは……?を考える日々。BUMP OF CHICKENとUNISON SQUARE GARDENの熱烈なファン。