『真夜中ぱんチ』譜風役・羊宮妃那さんインタビュー|控えめでありながら、芯の強さを持った譜風 「第7話ではギャップを感じていただけたんじゃないかなと思います」【スタッフ・声優インタビュー連載第10回】
P.A.WORKSの『パリピ孔明』スタッフが贈る、オリジナルTVアニメーション『真夜中ぱんチ』が2024年7月8日(月)より放送中!
世界でもっとも見られている動画投稿サイト「NewTube」で活躍する3人組NewTuber「はりきりシスターズ」の「まさ吉」こと真咲は、とある事件がきっかけでチャンネルをクビに。 起死回生を狙う真咲の前に現れたのは、なぜか彼女に運命を感じたヴァンパイアのりぶ。
超人的な能力を持つりぶと一緒なら、最高の動画が撮れるはず……? チャンネル登録100万人を目指して邁進していく、ワケあり動画投稿者たちのハイテンション・ガールズ“再生”ストーリーです。
アニメイトタイムズでは、スタッフ&キャストのインタビューを連載中。第10回は譜風役・羊宮妃那さんです。控えめで恥ずかしがり屋ながら、自分の好きなものに対してまっすぐな譜風。どのような想いで譜風役に挑んだのかを伺いました。
芯の強さがしっかり見えるように
――とっても可愛くてクセになるキャラクターの譜風ちゃん。羊宮さんがこれまで演じてきたキャラクターとはまた違った魅力がありますよね。
譜風役・羊宮妃那さん(以下、羊宮):本当にそう思います! キービジュアル的なものだけで言うと「羊宮が演じているなら、きっとこういうキャラクターかな……」と予想されていた方もいらっしゃったかもしれません。だからこそ、第7話ではギャップを感じていただけるかなと思っています(笑)。
――譜風ちゃんがまさかのNewTuber・異端児(キッズ)のファンこと“異端ガールズ”だったっていう……あのギャップがたまらなかったです。
羊宮:暴走が止まりませんでしたね(笑)。
――オーディションの段階から、そういったギャップのある子なんだと理解されていたのですか?
羊宮:そうですね。第4話で明かされた譜風ちゃんの過去のお話もあったので、「ギャップのある子なんだな」と感じていました。ただ、オーディションの時はもうちょっと内気な感じで、声も今より高めで、もう少し、弱々しい感じで作っていました。また、譜風ちゃんは歌のオーディションもあったので。
――第4話ではエンディングテーマ「君へ」を歌われていますし、音楽も大好きですしね。
羊宮:そうなんです。それでオーディションでも歌を歌わせていただいたのですが、その時に「キャラクターから結構外れたところの歌声を求められているんだな」と知りました。
でも実際アフレコに入ると、歌が歌えるキャラクターだからこそ、スタジオで作っていった高めの声よりも、芯がしっかり見えるような声が求められていることを知りました。歌える素地がある、しっかりした子であることを見せたいというお話も伺ったので、そこで改めて考えて。だから声質はアフレコで作っていきました。
――へえ! そこにもひとつギャップが。
羊宮:そうですね。テープオーディションとスタジオ(の声の作り方)は一緒だったんですけど、アフレコでガラッと変えました。
未だに忘れられない!「異端児でした☆」
――ストーリーがものすごくリズミカルで、テンポ感が抜群な印象を受けましたが、全体的なシナリオやセリフを通して思ったことはありますか?
羊宮:テンポ感がすごく良いですよね! この作品はみんなとの掛け合いがすごく気持ちがよくて。また、普通の会話のように見えていた部分に、忍ばせていた気持ちがあって。例えば、譜風ちゃんは苺子ちゃん(CV.伊藤ゆいな)のことを自分より下だと思っていたようでして……。
――途中で「ん?」って思うところがありますよね(笑)。
羊宮:そうなんですよ(笑)。途中で「私、苺子ちゃんよりバカだ」って言いながら向かうシーンが分かりやすくて。でもそれまでのシーンってわからないんですよね。私が知ったのは、現場のディレクションでした。さらに、「それ以上にもっとやっちゃっていいです」「もっと馬鹿にしていいです」というディレクションもあって。実は譜風ちゃんの心の中は真っ黒だったりするのかなって(笑)。
――わははは。
羊宮:でも根はいい子なので……そこは過去のお話を見ていただいたら分かると思います。
――そこもまた譜風ちゃんの魅力のひとつで、それを現場で知っていったのですね。
羊宮:そうですね。現場で声の加減が180度変わりました。あと、周りも結構わちゃわちゃしてるので……(笑)。その子たちの生みの親である本間(修)監督が、普通の譜風ちゃんにするわけはないのかなと今はすごく思います。
――譜風ちゃんは他にどのようなディレクションがくるんでしょうか?
羊宮:基本的には「もっと苺子ちゃんを見下していいです」というのが一番多かったですね(笑)。私も結構ハチャメチャにして……第3話のにんにくのお話も楽しんでいました(笑)。
その一方、第4話の時は「そこはそこまで張らなくていいです」「そこは落ち込まずに」などのディレクションをいただきました。一応、内向きな子ではあるので、そこは意図があったんだろうなと。ただ、基本的には「もっとはっちゃけて」という方向性で、あまり「抑えて」というのはなかったと思います。
――アフレコ現場もわちゃわちゃしていました?
羊宮:めっちゃ賑やかです! 現場の雰囲気がとてもあたたかくて、自然と『真夜中ぱんチ』の世界に入り込める感じでした。朝一の収録ではあったんですけども、すっとその世界に入りこむことができて。
――真夜中ではないものの、本当に「おはよう」だったわけですね(笑)。
羊宮:そうなんです。朝からみんなで叫んでいました。叫ばない回はなかったくらいで。ずっと温まっている状態で、沈んでいる時はなかったです。キャスト同士もすごく仲良しで。監督さんたちがいらっしゃる調整ブースからも笑い声が聴こえてきました。それこそ、異端児(キッズ)からの挨拶の仕方――(声真似をして)「異端児(キッズ)でした☆」で、もうキャスト陣が大笑いして。
同席しているスタッフ一同:(笑)
羊宮:あの独特の語尾上げ、キャスト陣は大好きなんですよ(笑)。このインタビュー時点では放送前なので、まだ皆さんが見られていない段階なんですけど……早く皆さんの反応が見たくて見たくて仕方ないです。
――改めてその7話を振り返ってみるとどのような印象がありますか?
羊宮:オーディションの段階で、譜風ちゃんが異端児を推すセリフがありましたが、その時からとてもぶっ飛んでました(笑)。その時も自分の全力をぶつけてはいたんですけど、そのあとのディレクションで「もっとやっちゃっても大丈夫です」と。
オーディション合格後、じゃあどう演じていこうかとなった時に……「叫びながら推しを語るのはどんな感じなんだろうかな」と思い、友だちに実際に語っているところを見せてもらったり、SNSで調べたりして、推しを限界値まで推すことを勉強しました。実際に異端児がとってもすごいんです……。初めて異端児のおふたりの声を聴いたときの衝撃が未だに忘れられません。
――岡本信彦さんとは別作品での共演がありましたが、その時とはふたりが違った立ち位置に……(笑)。
羊宮:そうなんです(笑)。ご一緒させていただいた時、岡本さんはアドリブがすごくユニークで、しかも、ポンポンといろいろな角度から新しいアイデアや表現が次々と飛び出してきてと、常に現場を盛り上げてくださる印象があったんです。だから異端児はどうなるんだろうと思っていたら、もう本当にすごくて……! 現場の中で、ものすごく盛り上がっていましたし、めちゃくちゃ流行りました!
真夜中ぱんチの挨拶も好きなんですけども、異端児の挨拶……あれは大物ですね(笑)。譜風ちゃんが推す気持ちが分かりました。だからこそ、演じやすかったです。「尊い〜!」って。
――(笑)。推しがいる方にとって共感しやすいキャラクターだと思います。また、この作品自体が動画配信者をテーマにしていることもあって、内容が理解しやすくて。
羊宮:そうですね。駆け出しNewTuberとして活動している真夜中ぱんチも、活躍されているNewTuberさんたちの立ち位置も、とてもわかりやすいですし、空気感も伝わるんじゃないかなと思います。
アニメらしい表現がありつつも、内容としては、身近に感じられるものになっていて。譜風ちゃんのような子っていると思うんです。表ではあまり喋らないけど、推しや好きなものを語る時については饒舌になって、そこに対してなにか言われたときには「違う!」と自分の意見を言えるという。すごく魅力的な子だと思いますし、親近感を持つ方も多いんじゃないかなって思います。
――羊宮さんが譜風ちゃん以外で気になるキャラクターというと?
羊宮:譜風ちゃん以外だと真咲ちゃん(CV.長谷川育美)ですね。でも、ゆきちゃん(CV.茅野愛衣)も最高なんですよ! 第7話の段階だと、まだ控えているギャップがあるのですが……そのギャップを知ると、皆さんトロンとなると思います(笑)。でも本当に全員が大好きです! 見ていて裏切らない……いや、裏切るけれども(笑)。
――裏切るけど裏切らない!
羊宮:それこそいい話だなって思ってたら「やっぱりそこに落ち着くんだね……」という展開も待ち受けていますし。改めて『真夜中ぱんチ』がいいなって思える、そんな作品だなと思います。