『ATRI -My Dear Moments-』連載第10回:細谷佳正さん(野島竜司役)|アニメならではの結末を楽しみにしてほしい
アニプレックス社のノベルゲームブランド「ANIPLEX.EXE」の第1弾タイトル『ATRI-My Dear Moments-』がTVアニメ化し、2024年7月より放送中です。
アニメイトタイムズでは放送に合わせて、スタッフ・メインキャスト陣へのインタビュー連載を実施しています。第10回目は前回に引き続き野島竜司役・細谷佳正さん。
今回は、ロボットに心は宿るのか、人間と心を通わせることができるのかという本作に込められたテーマを深掘りしています。
また、細谷さんが気になったキャラクターについても言及。なんと印象に残ったのは意外なキャラクターを演じるあの声優さんで……!?
前回はこちら
小野賢章さんと赤尾ひかるさんの演技の雰囲気のバランスが面白い
――直近に放送された第9話で印象に残っているシーンをお教えください。
野島竜司役・細谷佳正さん(以下、細谷):第9話や第10話、このあたりで描かれた心のありかについて問いかけるシーンです。アトリには心があるのか、そもそも心って何なのか、人間にはあるとされているけどロボットには宿らないのか?
深い問いだと思うのですが、それをあの綺麗な絵と世界観でサラッとやってしまうことが印象的でした。作中の登場人物が別の登場人物に問いかけるシーンで、ここが深い見所ですよ、みたいなアピールみたいなものはないけど、視聴者の中には何かを思ったり考えたりする方もいるだろうなと思いました。
――そんなテーマがこの作品に隠されているなんて思いもよらなかった人もいるかもしれません。
細谷:本作にゲームの収録から関わらせて頂いた者としては、原作ゲームの物語が本当に良かったので、その流れになっても驚きはありませんでした。もともとそのテーマを描きたいし、問いかけたかったんだと思います。
――それほど多い訳ではありませんが、竜司としてアトリと掛け合うシーンはどんなことを意識されていますか?
細谷:夏生が船で何か作業をしているシーンがあって。竜司は、夏生と水菜萌をふたりきりにしようと気を遣って、アトリに一緒にスイカを取りに行こうと誘うんですけど、その時の竜司とアトリとのやり取りが印象に残っています。竜司は、アトリを年下の子供として扱っている感じがしました。
竜司は、水菜萌の目線や夏生に対する態度で、彼女は夏生が好きなんだと言うことをわかっているんですね。けれどアトリはそういう“雰囲気を察する”ということが出来ません。そこがロボットの表現として面白いと思いました。夏生さんは好きな人、水菜萌は友達、という切り分けの間にまだ何もないみたいな。
竜司は空気が読めるので、アトリにはわからない部分を「子供にはまだ早い」みたいに扱っている。このシーンでは竜司が少し大人に見えました。