『ATRI -My Dear Moments-』連載第9回:細谷佳正さん(野島竜司役)|小野賢章さん演じる主人公・斑鳩夏生が引き立つよう演じた竜司のお芝居へのこだわりとは
アニプレックス社のノベルゲームブランド「ANIPLEX.EXE」の第1弾タイトル『ATRI-My Dear Moments-』がTVアニメ化し、2024年7月より放送中です。
アニメイトタイムズでは放送に合わせて、スタッフ・メインキャスト陣へのインタビュー連載を実施しています。第9回目は野島竜司役・細谷佳正さんが登場!
竜司は小野賢章さん演じる主人公・斑鳩夏生以外の主要な男性キャラクターとなっており、夏生と掛け合うシーンが多数存在します。
今回はその中でも夏生と竜司の活躍が多かった第4話&5話についてや、アニメで再び演じた竜司の印象を伺っています。これまでの物語を振り返りこれから先への期待を膨らませるためにも、ぜひご一読いただけますと幸いです。
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小野さんから発せられる台詞は多面的で色々な捉え方ができる
――まずは覚えている範囲でゲームの収録当時のことをお教えいただければと思います。
野島竜司役・細谷佳正さん(以下、細谷):確かあまりうかがったことのない変わったスタジオでの収録だったと思います。地上からだと一階建に見えるのですが実はそこは二階で、降りた先のスタジオで収録したなと。この作品が、ANIPLEX.EXEの最初の作品だったので、当日スタッフの皆さんがそこで制作した初めてのゲームなんだ、と嬉しそうに語られていました。
TVアニメは夏生とアトリにフォーカスした物語ですが、ゲームではそれぞれのキャラクターを掘り下げた物語があって、シナリオを読んだ時に、物語に力を入れていると言うか、そこに自信を持ってアピールしたい作品なんだなという印象を受けました。
当時はアニメ化の話はありませんでしたけど、収録が終わった後に「アニメ化できたら良いですね」という話はしましたね。
――本作の物語や世界観への印象は?
細谷:アフレコ時や夏生とアトリが出演しているPV収録時に完成映像が一部見られたのですが(※本インタビューはアニメ放送前の時期にて実施)キャラクターデザインももちろんですけど、風景の描き方にも力を入れているんだなと思いました。
風景や背景描写へのこだわりって、世界観や物語に自信を持っているからこそなんだろうなと思いましたし、原作ゲームファンのみなさんにも安心して楽しんでもらいたいというのもあるんだろうなと感じました。
――アニメで改めて演じた竜司の印象はいかがでしたか?
細谷:竜司はやんちゃで不良っぽい雰囲気を持っているのですが、本当に不良と言うわけではなく、自分はいわゆる現場で叩き上げられたタイプで、夏生のようなエリートではない事とか、自分たちの住む島は本土に比べて弱い立場に置かれていてるとか、そんな状況に拗ねているし、恵まれている本土の人たち(夏生)に対する反骨精神とか、競争心から、アンチテーゼみたいなものを態度で示しはするけれど、それを理由に他人を攻撃するような人ではなくて、自分が大事に思っている仲間や友達には優しいんですけど、それを素直に表現する事はしたがらない。そういう意味では器用ではないというか、あんなふうに不良っぽく振る舞わないと存在できないシャイな一面があるキャラクターという印象でした。
――演じる際に気を付けた部分、ゲームから変わった部分はありましたか?
細谷:夏生を小野賢章くんが演じることがゲームから一番変化したところだと思います。
夏生は先生だし、周囲のキャラクターより落ち着いた雰囲気を纏っているから、それを邪魔しないように、竜司は未熟で青くというか、夏生よりも小さい人物に見えるようにしたいと思っていました。
竜司は島の仲間たちの間ではリーダー的なポジションだけど、夏生と対峙した時にそうであってはいけないというか。竜司が未熟で少し愚かに見えれば、夏生の精神的に成熟している感じや、ロボットであるアトリを人間と対等に見ようとする、夏生の高い精神性が見えやすいだろうなと。
――先ほど小野さんのお名前があがりましたので、声が付いた夏生の印象も掘り下げさせてください。
細谷:賢章君が夏生役を務めることは、WEBニュースで知りました。
賢章君の持つ雰囲気や声音、空気感は他に無いと思いますし、色々な受け取り方ができる、奥行きがあるお芝居が素敵な演者さんだと感じています。賢章君が夏生を演じることでこの作品はTVアニメというより実写的な雰囲気になったと思うし、個人的にですが作品に箔がついた気がしました。
賢章くんの持つ雰囲気と、アトリ役の赤尾さんの持つ雰囲気の違いが、人間とアンドロイドの質感の違いを自然に印象付けている感じがして、いいなと感じます。
――ありがとうございます。スタッフ陣からのディレクションで印象に残ったものもお聴かせください。
細谷:音響監督の明田川仁さんとのやり取りが印象に残っています。仁さんの現場では、身体が大きいとか、強くて落ち着いた大人の役を振られることが多いので、竜司のような若い役を振られることが珍しかったんですね。だから頑張ろうと思って。でも最初のアフレコでテストが終わった後に、「どうした細谷?!」と(笑)。
何だか、無理があったんでしょうね(笑)。