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『ボルテスⅤ レガシー』マーク A. レイエス V監督インタビュー

フィリピンからボルテスⅤにすべてをかけて――監督の大きすぎる「ボルテスⅤ愛」が実写にボルトイン! 映画『ボルテスV レガシー』マーク A. レイエス V監督インタビュー

1977年~1978年にかけて放送されたTVアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』。本作へのフィリピンからの“大きすぎる愛”が込められた実写版が、映画『ボルテスV レガシー』として2024年10月18日(金)より日本に凱旋し劇場公開されます。

アニメイトタイムズでは、本作の監督であるマーク A. レイエス Vさんにインタビューを実施。アニメ版へのリスペクトや、デザイン面の現代的なアップデートをどうしたのか、主題歌「ボルテスⅤの歌」の好きな歌詞など、様々な角度から監督の『ボルテスⅤ』への“大きすぎる愛”を伺いました!

 

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ボルテスV レガシー
ある日地球は“ボアザン星”からやってきたプリンス・ザルドス率いる軍隊からの攻撃を受ける。通常の兵器が全く通じない中、スティーヴ、ビッグ・バート、リトル・ジョンのアームストロング3兄弟とマーク・ゴードン、ジェイミー・ロビンソンの5人は、密かに製造されていた5機のマシンに乗り込み戦いに挑む。敵側は勝利を確実なものとするため、より強大な獣型ロボット“ビースト・ファイター”を繰り出してきた。5人はそれに対抗するため「レッツ・ボルトイン!」のかけ声とともにマシンを合体させ、巨大な人型ロボット“ボルテスV”となる。果たしてボルテス・チームの5人は、地球を守ることができるのか――作品名ボルテスVレガシー放送形態実写映画シリーズ超電磁マシーンボルテスVスケジュール2024年10月18日(金)キャストスティーヴ・アームストロング:ミゲル・タンフェリックス(小林千晃)マーク・ゴードン:ラドソン・フローレス(金城大和)ロバート・“ビッグ・バート”・アームストロング:マット・ロザノ(花倉桔道)“リトル・ジョン”・アームストロング:ラファエル・ランディコ(小市眞琴)ジェイミー・ロビンソン:イザベル・オルテガ(中島愛)フロスガー/ネッド・アームストロング:ー(三...

 

『ボルテスⅤ』の歴史を背負う覚悟でタイトルに入れた「レガシー」という言葉

――テレビアニメ『超電磁マシーン ボルテス V』はフィリピンで最も人気があるアニメの一つと伺っていますが、監督がアニメ版で特に印象に残っているシーンや好きなキャラクターを教えてください。

マーク A. レイエス V監督(以下、マーク):やはり、まず一番はボルトマシンの発進シーンですね。幼少期に見て、スティーヴ(テレビアニメ版の剛 健一)がボルトクルーザー、マーク(テレビアニメ版の峰 一平)がボルトボンバーといった流れでコックピットに乗り込んで、ビッグファルコンから飛び立つ場面はとても印象に残っています。今回の映画『ボルテスⅤ レガシー』とテレビアニメ版を見比べていただくとわかりますが、本当にそっくりそのまま再現しています。

 

 
もう一つ印象に残っているのは、お母さんの最期です。お母さんが自分の子供たちを守るために自らを犠牲にして戦い抜いた姿は、脳裏に永遠に刻まれるほど鮮烈な印象を残しています。母を失ったアームストロング兄弟(テレビアニメ版の剛兄弟)が、早く父親と再会できるように願わずにはいられず、子供ながらにこれは単なるロボットアニメではない作品だと感じました。

――今回の実写版ではボルテスⅤをはじめ各マシーンやキャラクターの衣装などが、見事に現代的にアップデートされていました。監督が愛してやまない『ボルテスⅤ』を実写化するにあたって、デザイン面で心がけたことや参考にした作品があれば教えてください。

マーク:本作のフィリピンでの公開は2023年でしたが、現代の観客に納得してもらえるような作品を目指しました。今の観客は『アベンジャーズ』や『パシフィック・リム』などを見てきているので、非常に目が肥えています。

ボルテスⅤに搭乗する際のパイロットスーツも、2年の歳月をかけてデザインに相当こだわって作り込みました。しかも一着が非常に高価なため、間違いは許されない状況だったんです。原作にオマージュを捧げ、かけ離れたものにならないように気をつけつつ、現代の観客を満足させる作品にすることを意識して作っていましたね。

 

 

――実写化にあたってアニメから変えるべきではないと思われた要素や、逆に制作年代やアニメと実写というメディアの違いから変える必要があると判断した要素があれば教えてください。

マーク:ストーリーライン自体はアニメ版を忠実に踏襲するというのは、最初から決めていたことです。アニメ版があのようなエンディングですので、そこに付け加えて新しいストーリーを始めようとしたら、当然ですが東映さんとも様々な交渉が必要になるため現実的ではありません。あのエンディングという着地点は同じで、その間をどうするかが工夫すべきところでした。

そこで、より効果的にストーリーを伝えられるように、幾つかのエピソードの順序を変えて語っていくことにしました。例えば実写版では、出だしはアニメ版と同じように始まりますが、そこからはボアザン帝国のスカールーク内に場面が変わり、まずはボアザン帝国の背景や物語を明確に描きました。アニメ版とは語る順序を変えることで、よりストーリーに入り込めるようにしているんです。

――今回の実写版ではアームストロング兄弟と母親の関係が非常に丁寧に描かれており、アニメ版では厳しい母親だったのが、実写版では優しい母親として描かれているのが特に印象的でした。このアレンジはどのような意図で行われたのでしょうか?

マーク:フィリピンでは、あの母親像が本作の人気の大きなポイントの一つなんです。フィリピンという国は家族を大事にする社会で、家族を描いている物語は非常に訴求力があります。

今回、大河ドラマ的な要素を持つ作品を作っていることもあり、母親役としての存在感を打ち出せるようなキャラクターにしなければなりませんでした。アニメ版とは違う部分でタフさを見せる母親像であってほしかったんです。

アニメ版では母親は第2話で亡くなってしまいますが、今回の実写版のテレビシリーズでは視聴者は2週間ほど母親の活躍を見ることになります。その時間があれば、息子たちとの関係性をしっかりと確立できますし、彼女がビッグファルコンにおいて重い責任を背負っていることもわかります。

それがあるからこそ、母親のあの戦闘シーンでは演じる役者も感極まり、それを見ている視聴者も感極まることで敵に対して復讐心を抱くはずです。そういった物語や感情を引っ張っていくことを意識しながら、あの母親像を作っています。

※編集部注:フィリピンでは『ボルテスⅤ レガシー』は劇場で公開された映画に加え、全90話のテレビシリーズがあり、月曜~金曜の週5日、午後8時からの30分間というゴールデンタイムに放送されており、日本の一般的なテレビ番組とは放送ペースが異なっている。

 

 

――そんなアレンジの一つに、今回はタイトルに「レガシー(遺産)」という言葉が付いていることがあります。あえて「ボルテスⅤ」と「レガシー」を組み合わせたタイトルにしたのは、どういった想いからでしょうか?

マーク:タイトルに「レガシー」を含めるという話は、テレサクセス(Telesuccess Productions)のオーナーのラリー・チャンさんと、その息子のラーソン・チャンさんとの間で話し合いが行われて、最終的に「レガシー」を入れるべきだという話になったんです。

フィリピンにおいては40年も放送が続いていた人気アニメですし、このような実写化がフィリピンで作られるのは、この先しばらくは無いだろうと思います。こういった大事な歴史を背負いながら世の中に届けるつもりでいますので、タイトルに「レガシー」という単語を入れるのがふさわしいという結論になりました。

※編集部注:テレサクセス(Telesuccess Productions)は東映のフィリピンにおけるライセンシー会社。

 

 

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