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『リゼロ』第3期:高橋李依インタビュー【連載第2回】

秋アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』3rd season 声優インタビュー連載第2回:エミリア役 高橋李依さん|一発目からスバルが驚くくらいデカめの氷を撃ち始めて「さすが物理!」と思いました(笑)

 

1stから2nd、2ndから3rdへ。次につなげていく「リゼロ」の新シリーズ

――約3年半ぶりのTVシリーズの制作が決まった時の感想と、どのような気持ちで収録に臨もうと思われましたか?

高橋:3rdが決まった時はすごく嬉しかったです。2ndが決まった時は、最初のシリーズが「1st season」なんて名前ですらなかったので、みんなでつかみ取ったという気持ちが大きくて。

2ndは主に「試練」を描いていたエピソードだったこともあり、エミリアにもだいぶクローズアップして、かなり話数を割いていただきました。一人ひとりと向き合うエピソードでもあったので「視聴者の方に本当に楽しんでいただけるだろうか?」という不安はずっとありましたね。

2ndでシリーズが終わってしまったら責任を感じてしまうなと思っていたので、3rdが決まってホッとしました。

エミリアや各キャラの背景を深掘り、作品の根幹部分でもある魔女周りもきちんと描いた上で、「次に繋げる」。きっとそれが、2nd全体の目標でもあっただろうし、2ndの良さにもなっていくであろうと思っていたので、3rdに繋がって良かったです。

――そして3rdでは、試練を乗り越えて強くなったエミリアがいよいよ前向きに動き出します。

高橋:ベアトリス(CV.新井里美)はもちろん、オットー(CV.天﨑滉平)、ガーフィール(CV.岡本信彦)ともスバルが向き合ってきたことで、エミリア陣営が完成できました。

 

 

「わんぱくになっていく」エミリアならではの成長

――3rdの台本を読まれて感じた印象や演じ方の変化はありましたか?

高橋:まず3rdの初回にあたる51話の台本が2冊に渡っていて、すごく分厚くてビックリしました(笑)。A、B、C、Dパートに分けて、私は3日間に渡って収録しました。

私がいつも『リゼロ』を演じさせていただく時は、私自身の中にある考え方や、役者として悩んでいるタイミングとシンクロする瞬間も多いので、自分の等身大で演じたらやりやすいというヒントがありました。

なので、いま自分が持っている感覚を活かすように演じていこう、というのは1stでも2ndでも同じで。変に盛ったり、クセ付けをしないようにしていました。

ただ、試練を超えた後の3rdにて等身大で演じてみると、なんだか深刻に聴こえてしまっているようで。

試練を経て、いろいろ見てきたから感覚が変わる。これに関しての解釈は間違っていないのですが、「肝が据わる」と言った表現方法を、アウトプットしていく時の舵取りが難しかったんです。

お芝居の方法で思いつくのは、肝が据わった時はどこか達観していたり、まとっている空気感が大人びたり、落ち着いたり、立派になる方向で成長を描いたりします。ところがどっこい、エミリアの場合は、わんぱくになっていくらしくて(笑)。

 

 
意外ではあるけれど、確かにエミリアはそうなんです。ひらがながちょっと多い言い回しやちょっと穏やかな言葉選びなど、「エミリア節」みたいな話し方は常にあったから、わかります。

試練を乗り越えて、わんぱくになるエミリア。ただしわんぱくって言っても、流石に試練で得たものは纏っていた方がいいかなという想いもあって。「どの程度、わんぱくになってもいいんでしょうか?」というチューニングは、アフレコをしながら見つけていきました。

――3rdのエミリアのセリフには清々しさやたくましさだけでなく、不安や曖昧さも少し感じられました。

高橋:パックに対する不安と、理屈の曖昧さ、ですかね。その辺を抱きつつではあるのですが、前面に出てくる感情は、たくましいところの方で。それを同時に内包するには、一生懸命というシンプルで巨大なエネルギーと、わんぱくさの足し引きで、どうにかこうにか。

試練を乗り越えた人はこうなるであろうという、テンプレートな成長にはならない。でも何も考えてないわけじゃない。それがとても難しかったです。

――長月先生や監督から改めてディレクションやオーダーはありましたか?

高橋:51話の時、どのくらいの塩梅でいったらエミリアらしくあれるのかを音響監督の(明田川)仁さんに相談したら「試練は忘れて」と。

きっと試練を越えたエミリアの強さは、私の声色から聴こえなくていいんだ。逆に「1回試練があったことを忘れてみて」ということで、しっかりさをあえて下げていく指示が意外でした。でもそうすることで、エミリアらしい肝の据わり方に近付いたんですよね。この表現の先にいたのか、と。

エミリアにしかない成長方法を、一緒に探してもらった感じでした。

 

リテイクをしても見守ってくれる温かな現場で、エミリアらしい表現を模索

――3rdでは皆さんそろって、収録できていると伺いました。

高橋:そうですね。51話から初参加のリリアナ役の山根 綺ちゃんは、本当だったらBパートの出番から収録する予定でしたが、1日目、Aパートしか録り終わらなくて、綺ちゃんはただ見学に来た人になってしまうことも(笑)。

ただ、『リゼロ』をしっかり見て現場に来てくれたのもあって、「『リゼロ』のどこがおもしろかった?」と質問して、たくさん感想を聞かせてもらっちゃいました。

――1st以来のキャストも多かったのでは?

高橋:王選メンバーとかはかなり久しぶりでしたね!

 

 

――収録の裏話を教えてください。

高橋:ゆっけ氏(小林さん)と隣同士で座っていて、「試練を越えたエミリアとしてどう会話したらいいのか難しいんだよね」と話していて。こっそり、頼もしいヒントを頂いたりしていました。

あと51話の「ちゅーじゃ赤ちゃんはできないんでしょ。勉強したんだから」のセリフが、実はめちゃめちゃリテイクしていまして。

以前から意外なセリフでリテイクが出ることはありましたが、ここもその一つでした。テンション違いで何パターンも録りましたし。現場にいる長月先生や監督がGOサインを出したということは、相当いいエミリアが録れているとも思うので(笑)、あとでそのシーンを見返して、ぜひ噛み締めてほしいです。

ガーフィール役の岡本さんは「エミリア、ムズイね、これ」と、そっと共感してくれたり、整理するお手伝いをしてくれるので、いつも頑張れています。

またミミ役の藤井ゆきよさんも「私、今の好きだったよ」と声をかけてくださったり、皆さんが私を温かく見守ってくれて……。そのおかげで私も、表現の引き出しをずっと模索し続け、挑み続けることができていました。

 

 

(C)長月達平・株式会社 KADOKAWA 刊/Re:ゼロから始める異世界生活3製作委員会
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