“友達の在り方”を教えてくれるラストに感動――第1作『映画 忍たま乱太郎』(1996年)初見レビュー|「忍術学園VSドクタケ」の攻防戦が約47分にぎゅっと詰め込まれている
※本稿は『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』の場面カットを使用しております。
尼子騒兵衛先生の漫画『落第忍者乱太郎』から生まれ、人々から愛されている国民的人気TVアニメ『忍たま乱太郎』。2024年12月20日(金)より『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』が全国公開となります。
このたび映画公開を記念して、1996年6月29日(土)に公開された『忍たま乱太郎』初の映画『映画 忍たま乱太郎』の期間限定無料配信が決定、さらに全国3劇場での『劇場版 忍たま』過去作品の一挙≪応援上映≫の実施が決定しました。
そこでアニメイトタイムズでは『映画 忍たま乱太郎』の初見レビューをお届けします。初見だからこそ感じた作品の魅力や印象的だった部分の感想を綴りました。
※本稿には『映画 忍たま乱太郎』のネタバレが若干含まれております。完全初見で楽しみたい方は本作をご覧になったあとに本記事をご覧ください。
あらすじ
忍術学園の夏休み、学園長に頼まれて輸入した硝石を運ぶのを手伝っていたしんべヱと団蔵は、道中、極悪非道の稗田八方斎の攻撃を受け、硝石を盗まれてしまう。
八方斎の後を追った団蔵をさらわれたと勘違いしたしんべヱは、忍術学園一年は組の仲間とともに八方斎の潜むドクタケの出城へと向かった。乱太郎、きり丸、しんべヱの3人組は、そこで八方斎が硝石を火薬として使うのではなく、中国の秘薬・軽身剤の材料に使うことを知った。
軽身剤とは飲めば空を自在に飛ぶことができるという幻の薬で、もしそれが八方斎の手に落ちたら、日本はおろか、世界が彼らの支配下におかれることになる。なんとかして防ぎたい乱太郎たちだったが、八方斎につかまってしまい、軽身剤の人体実験に使われそうになってしまう。
すんでのところで土井先生に助けられた乱太郎たちは、後から駆けつけた仲間と力を合わせてドクタケの出城を破壊、硝石を取り返した。八方斎は少し残った軽身剤を飲んで逃亡を試みるが、軽身剤の正体は実は強力な下剤で、激しい腹痛に襲われるのだった。(「松竹」公式ホームページより引用 https://www.shochiku.co.jp/cinema/database/04449/ )
初見の方にもおすすめする理由3つ
ストーリーが分かりやすい!
初見の方にも本作をおすすめする理由はいくつかありますが、まずひとつに「物語の分かりやすさ」が挙げられます。
本作の冒頭では八方斎によって盗まれた硝石を取り返すべく、そして盗まれた際に八方斎の後をつけていた団蔵の行方を探るべく忍術学園一年は組の仲間とともに乱太郎、きり丸、しんべヱがドクタケの出城へと向かう様子が描かれています。(別ルートで一年は組の担任の山田伝蔵や土井半助もドクタケの出城に潜入しています)
「忍術学園VSドクタケ」という構図で物語が展開されていくので、どの世代の方にも分かりやすいストーリーが約44分(EDを含めれば47分)の中に詰め込まれていました。
ふいに訪れるギャグが面白い
硝石を強奪しようと八方斎がしんべヱと団蔵の前に現れた際にはしんべヱが稗田八方斎(ひえた はっぽうさい)に向かって「ドクタケ城の冷えたチンゲン菜だ!」と言ったり(今回に限らず八方斎は名前でよくいじられており、この下りは定番である)、そもそもドクタケの出城が城主の木野小次郎竹高の顔の形だったりと、こういうクスッとさせられるギャグが常に作品の真ん中にあるような空気感は『忍たま』ならではだといつも思います。
また、山田先生と土井先生がドクタケの出城へ女装をして潜入するのですが、その際も女装に対してノリノリといった様子で即座に女装をしてみせた山田先生の姿に土井先生がとても大きな叫びをあげてびっくりするという場面があります。そういったキャラクターたちの感情表現の豊かさも常に楽しさが漂う作風のわけなのかなと感じたり。
そしてやはり忍者モノなので、カッコいい忍者の姿の中にギャグが入っているギャップがツボに入るという方も多いのではないでしょうか。
今回でいうと、ドクタケの出城へと向かうも八方斎らに拘束されてしまった忍たまたちを山田先生と土井先生、山田先生の息子・山田利吉(こちらはドクタケ忍者を装い潜入していた)が助けに行くのですが、あのシーンは「さすが忍者!」という感じがしてカッコよかったです。
個人的にはドクタケの出城にて、女装した山田先生と土井先生にドクタケ忍者を装った利吉が合流した際の、「父上(利吉)」「利吉か?!(山田先生)」「お話があります。外へ出ましょう(利吉)」という会話が敵の目を欺いている忍者感が強くて刺さりました。
友達の在り方を教えてくれるラスト
中国の秘薬・軽身剤の“秘伝書”を巡り、乱太郎&きり丸と八方斎が端的にいえば競争をするのですが、秘伝書を見事掴んだ乱太郎に対し八方斎はきり丸を人質にとりました。そして、秘伝書を寄越せさもなければと爆弾を用意し、きり丸の命を脅かすことを示唆します。
そして秘伝書ときり丸を天秤にかけた乱太郎はきり丸を選ぶのですが、“友達を想う気持ち”が現れている乱太郎の答えは友達の在り方を視聴者に見せているようで心が温かくなりました。
[文/笹本千尋]
【『劇場版 忍たま乱太郎』2作品一挙≪応援上映≫実施決定】
『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』公開を記念して、
全国3劇場での『劇場版 忍たま』過去作品の一挙≪応援上映≫の実施が決定しました。
当日はポスターや非売品グッズが当たる、プレゼント抽選回も実施します!
詳しくは以下をご確認ください。
https://sh-anime.shochiku.co.jp/nintama-movie/news/712
『劇場版 忍たま乱太郎』2作品一挙≪応援上映≫
【上映作品】
・『映画 忍たま乱太郎』(1996年)
・『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』(2011年)
【会場・スケジュール】
◆東京:新宿ピカデリー 10月29日(火) 18:30の回
◆愛知:ミッドランドスクエア シネマ 11月2日(土) 14:00の回
◆兵庫:MOVIXあまがさき 11月2日(土) 14:00の回
【鑑賞料金】
3,000円(税込)
※特別興行につき、各種招待券・無料鑑賞券・SMTMembersクーポンはご利用いただけません。
『映画 忍たま乱太郎』作品情報
スタッフ
原作:尼子騒兵衛 「落第忍者乱太郎」より
総監督:芝山努
監督・絵コンテ:小山常夫
シリーズ構成:浦沢義雄
音楽:馬飼野康二
キャラクターデザイン:藤森雅也
アニメーション制作:亜細亜堂
キャスト
乱太郎:高山みなみ
きり丸:田中真弓
しんべヱ:一龍斎貞友
山田伝蔵:大塚周夫
(C)1996・尼子騒兵衛・総合ビジョン (C)映画「忍たま乱太郎」製作委員会
作品概要
あらすじ
タソガレドキ忍者・諸泉尊奈門との決闘に向かった後、消息を絶ってしまった土井先生―
山田先生と六年生による土井先生の捜索が始まる中、担任不在の一年は組では、タソガレドキ忍軍の忍び組頭・雑渡昆奈門と、尊奈門が教壇に立つことに!
そんな中、きり丸は偶然、土井先生が置かれた状況を知ってしまうのだった。
一方、土井先生捜索中の六年生の前に突如現れたのは、ドクタケ忍者隊の冷徹な軍師・天鬼。
その顔は、土井先生と瓜二つで―
忍たま達に立ちはだかる最強の敵を前に、今、強き「絆」が試される。
果たして乱太郎、きり丸、しんべヱたちは、土井先生を取り戻すことができるのか―??
キャスト
(C)尼子騒兵衛/劇場版忍たま乱太郎製作委員会